弁護士事務所から内容証明が届いて訴えられそうになった話。
ある日突然内容証明が送られてきて「あなたは権利を侵害しているから、1週間以内に改めないと訴えます」と書かれていたら…。そんな私の体験談と、対応策についてのお話です。
■その日は突然訪れた。
2017年5月、今から5年ほど前のお話です。
2012年に佰食屋がOPENし、2015年3月に高島屋京都店のすぐそばに佰食屋すき焼き専科がOPEN、そして2017年3月に錦市場の中に佰食屋肉寿司専科がOPENと、2年に1店舗ずつ順調に店舗を増やしていました。
お店のOPENというものは、何度経験してもギリギリまでバタバタ!前日まで準備が終わらずてんてこ舞い!いつも非常に苦労してお店を作り上げるのですが、2017年3月1日に佰食屋肉寿司専科がOPENして、ようやく軌道に乗り始めた2017年5月。
郵便局の方が
「手渡しのお届け物で~す!」
と郵便物を届けてくださいました。
それがこれです。
え!!!!!!
弁護士事務所から!!!???
動悸が激しくなるのを感じながら恐る恐る封を開けると、中には内容証明の独特の雰囲気(文字数や文字間に特徴がある)の5枚の紙が入っていました。
要約すると、こんなことが書いてありました。
これぞ青天の霹靂(へきれき)。あまりに突然のことで、思考が停止し、しばらくフリーズしていたように感じます。
既にお店の外観の垂れ幕やHP、メニューなど「肉寿司」はあらゆるところに記載しており、1週間で全て排除するというのは物理的に不可能。
そもそも「肉寿司専門店」としてOPENしているのに、「肉寿司」という言葉がつかえないなんて、お店が成り立ちません。
「肉寿司」というのはメニューの名前だから、例えば「カレー」とか「オムライス」と同じ扱いなのでは?それであれば、「肉寿司」というメニュー名を独占して使用することはおかしいのではないか?と疑問を持ちました。
そこで、誰か専門家に相談すべきだと考え、その場でスマホで調べて見つけたのが、無料相談窓口でした。
■INPIT(インピット)知財総合支援窓口
全国共通ナビダイヤル:0570-082100
※全国共通電話番号に電話すると、一番近くの窓口に電話がつながります。
※私の場合は京都の「京都発明協会」につながりました。
※そのまま電話で弁理士の先生等に相談、後日個別相談予約も可能です。
※相談は無料。何度でも利用できます。
すぐさま電話して相談したところ、翌日に「無料弁護士相談」の予約をして弁護士の先生と一緒に対策を練りましょう、ということに!!
そこで弁護士の先生と相談し、作戦を立ててくださいました。
やることが分かれば、あとは1つずつ丁寧に実施していくのみ。
①2週間の猶予を依頼する文書を送る。
②「佰食屋肉寿司専科」という商標出願を行う。
③反論を考えて相手を納得させる。
他の登録商標を調べてみたところ、「元祖近江肉寿司」が取得できているのを発見。これがいけるなら「佰食屋肉寿司専科」も登録できるため、権利の侵害にあたらないという内容と共に、争うつもりは無いという姿勢を伝える。
この文章を送ったあと、何かアクションがあるか待っていたのですが、音沙汰無し。そのことを再度弁護士の先生に報告すると、
とお返事が・・!!!!
④そして商標登録ができた!
■しかし、翌年・・・
また同じような内容証明が届きました。
もともと内容証明を送ってきた会社が、別の会社に吸収合併されたようで、新しい母体の会社から同じ内容での内容証明が送られてきたのでした。
2回目のこの時は、
「昨年こういったやり取りをしていました。既に私たちは「佰食屋肉寿司専科」という商標登録もしているので、権利の侵害には当たりません」とメールでお伝えするのみで、むしろ先方より「それは失礼しました」という謝罪の連絡もあったほどです。
■商標登録は、自分を守るためのもの。
新しく会社を立ち上げたり、新商品を発売したりする際に、小さな会社や個人で事業をされている方は商標登録をしていない方も多いかと思います。
しかし、商標登録は【後からその商品を考え付いた人だとしても、先に出願した人の権利になる】という性質があります。
先日も、ゆっくり茶番劇の騒動があったばかりです。
商標登録については、大手でもメタバースでも訴訟や問題が多々出てきています。
そう思っていたら、他の誰かが先にその商標を登録していまい、他の人が使えないように訴えてくるかもしれないのです・・・!
商標登録は、
小さな会社ほど、
自分たちを守るために
取ってほしいと思います。
■余談。
ちなみに、最初に内容証明が来てから2年後。
なんと、3回目の内容証明が・・・笑。
前年と同じ会社から同じように届いたので、さすがに私も少しだけ怒りました。笑
先方からは平謝りされましたけどね・・・笑。
ピンチは自分を成長させてくれます。この経験があったからこそ、私は今でも全ての新事業はローンチするまえに商標登録するようにしています。
もちろん、無料弁護士相談も何度も活用していますし、商標登録は全て自分で資料を作ります。
知識は力なり。
私の経験が皆様のお役に立てば幸いです。
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弁護士事務所から
内容証明が届いて
訴えられそうになった話。
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株式会社minitts
代表取締役 中村朱美
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Thanks!!
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