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犬になる夢を見た
大好きなご主人に飼われて
毎日お散歩に行って
お話を聞いて撫でてもらえる
そんな犬になりたかった
ふざけた夢に心が跳ねて
もう少し生きてみようと思えた
顔の無いご主人との永遠は
やさしい一つの季節のようで
少しずつ遠ざかり
お散歩行こうって鳴いても
離さないでって叫んでも
いつしか声すら届かなくなった
夢は涙と一緒に溶けていった
言葉は首輪や鎖として
布団やご飯皿として残った
心の中を幸せな犬と悲しい犬が
交互にくるくるぐるぐる回り続ける
ふわふわと地に足のつかない夢の中で
死んでしまえたら良かったね
顔の無いご主人を追いかけて走る夢
もらった言葉のお布団で眠る夢
幻を愛したせいで
心の中は永遠に痛い
ごしゅじん
ごしゅじん
いぬはもうねむりたい
ごしゅじん
ごしゅじん