第8回 100分de読書会 開催レポート
こんにちは、運営の柚淡です。
この記事は第8回読書会 5月16日 小説フリー回の開催レポートです。
今回は2名の方に参加して頂きました。以下では
・名前(HN)
・書籍名/作者
・あらすじ、内容、感想など
の順に書き表しています。
〇紹介本
1.やすあきさん
I/西加奈子
『さらば』が有名な作家さん。
手に取ったきっかけは西加奈子さんが好きだから。
いつかは手に取ろうとしていた本を今回読んだ。
一言でいうと、クライマックスがよい!
アイという女の子が主人公で、アイ目線で話が展開される。
彼女はシリア出身の孤児で日本人とアメリカの夫婦の養子になった。シリアから日本に移り住んでからもずっと、いままでの戦死・災害死の人数を数えている。幼い頃の経験からか自分の身のふりを考えて行動してしまう子。
重い作品で、結婚後にこどもがどうしても欲しいと熱望するくだりが印象的である。これは自身のアイデンティティの不安定さを表しており、
養父母からありったけの愛情を注がれていたのだが、これでいいのか?
という恵まれた環境でのもやもやを表現している。
最後に鬱屈した子であるアイがどのようにして晴れていくのかに注目!
西加奈子さんの他のオススメ作品
『さくら』近年映画化されていた
2.むめいさん
息吹/テッドチャン
物理学科の友人らの間で有名になっていた短編集。
SF作家さんだが現在の生涯作品数が2冊しかなく、その2冊で文学賞を総なめしている。
「息吹」20頁程度
人間などが存在しない架空の世界での話。
分厚いクロムの壁の中の世界で、人間の代わりにロボットたちが生きており、彼らは「自分たちが生きているわけ」や「何故思考できるのか」を考えている。
ロボットなので食べる描写はないが、空気圧が高圧から低圧への遷移をベースに動いているため、高圧の空気を補充することによって生きている。
あるとき主人公は、僕らが圧力差を消費することでこの世界自体を消費するのかもしれないと危機感を抱く。
いずれ何もおこらなくなってしまうのではないか?
僕たちの宇宙はいずれ死に絶えてしまうのではないか?
主人公はとても不安に感じたが、希望を捨てずに書記の残した。
いったい書記の最後に何を残したのか?
この話は架空の世界での出来事だが、実世界でも19世紀の物理学・社会背景に同様な事柄がでてくるので、その歴史とのリンクを感じられる作品。
もう一つの著作「あなたの人生の物語」
以上、参加者様の2冊の紹介でした。
最後に、第8回の活動tweetを掲載して終わります。