RTG

九州の勤め人。テキストサイトのノリで書いています。長文バカ一代。ごくまれにパルプも書きます。

RTG

九州の勤め人。テキストサイトのノリで書いています。長文バカ一代。ごくまれにパルプも書きます。

マガジン

  • PULP

    パルプ小説及び創作関連。

  • マジメか

    ネタ的でないやつ。

  • ネタ

    ネタ成分多めのやつ。

  • 自分用ブックマーク

    特に読み返したい人様の記事。

  • 厳選茶葉

    個人的傑作選。

最近の記事

  • 固定された記事

「なんでもいいから何か書け」

大学院の同期による野郎3人でのWEB飲み会もお開きに差し掛かったころ、出し抜けに津田沼(仮名)は俺にそう言い放った。 「これまでなんべんも言ってきたけど、君、表現したいもんがなんかあるんじゃないの?だったらなんでもいいから書きなよ、まずは」 寝っ転がりながら津田沼は続ける。ついでにケツも掻いている。 なんて横柄な野郎だ、と思いながらも、俺は図星を突かれて言い返すことはできなかった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 子どもの頃から、本が、活字が、好きだった。

    • 逆噴射小説大賞2024ライナーノーツ【後編】

       この記事の続きを書く。 泥とプラチナ◯二作目。掏摸の話。今年の8月末に書いた。  当初この作品を仕上げるつもりはなかったが、一作目の次に書いた作品が友人たちに不評だったため、やむなく制作に着手した経緯がある。 ○本作の着想は、おれが私淑する浅田次郎先生の小説『天切り松 闇がたり』から得た。大正・昭和初期の東京が舞台のピカレスクロマンだ。なおシリーズ化しており、現在第5巻まで発刊されている。  夜盗に強盗、掏摸に詐欺。各ジャンルの超一流を揃えた義賊の一門がプロの技を駆使

      • 逆噴射小説大賞2024ライナーノーツ【前編】

         逆噴射小説大賞。  パルプ小説の書き出し800字で争う物書き蛮族どもの祭典。今年で第7回を迎える伝統のインク・オクトーバーフェスト。  今年もこの大賞に参戦した。おれは全7回中第4回から参戦したので、今年で4回目の参戦となる。  途中参戦とはいえ、参戦回数だけならぼちぼちベテランの域ではある。だが、産みの苦しみは初参戦してこの方ちっとも変わらない。いつもひいひい言いながらどうにかこうにかやっている。  今回も、応募した2作品について語る。 クラヴマンの祈り◯一作目。農

        • 泥とプラチナ

           職安通りの交差点で、ユキオは今日の獲物を決めた。  顔に龍を彫った半グレが対岸から歩いてくる。肩で風切る仕草は高揚感の表れだ。パンツの右ポケットの膨らみは現ナマを詰めた財布に違いない。  それを盗る。  まずは歩調のテンポを盗む。BPMは112、一秒間に二歩足らずのペースを正確に刻んで接近する。  次に呼吸。雑踏に耳を澄ませ獲物の呼気を聴き分ける。自信有りげな深めの息吹を寸分違わずなぞり尽くす。  そして、心。表情と仕草から推測する。  ナイフじみた眼光とそびやかす肩、威嚇

        • 固定された記事

        「なんでもいいから何か書け」

        マガジン

        • PULP
          27本
        • マジメか
          33本
        • ネタ
          42本
        • 自分用ブックマーク
          92本
        • 厳選茶葉
          7本

        記事

          クラヴマンの祈り

           父祖から受け継ぐトウキビ畑こそが、ボギー・クラヴマンの総てだった。  夜明け前、妻の遺影の前で両指を組み、愛と祈りの言葉を捧げる。トウキビの粉を溶いた湯を啜ると、鍬、鋤、あるいはトウキビの種を携え畑に向かう。鍬と鋤にて赤土の塊を砕き、一粒一粒に慈しみを籠めて小指半の深さで種を植える。  クラヴマン家のトウキビ畑は、一族の歴史の当体である。飢餓に苛まれるラスバの集落を救わんとの一心から、クラヴマンの始祖は知識も道具も持たぬ身で痩せ枯れた土地を拓き、血みどろに成り果てながらコヨ

          クラヴマンの祈り

          【逆噴射プラクティス】あのころ俊弥おじさんと

           僕が満十歳を迎えた九年前のその日に、父は交通事故で不帰の人となった。明朗だった母は一週間も泣き通した後、永遠の喪に服すかのように全く笑わぬ人となった。当時の僕はそれ以前からいじめの標的にされていたが、父が死んでからは更にえげつなく虐げられた。裸で吊るされた事もあれば砂を食べさせられた事もある。母も僕も、生きる事に倦み疲れていた。  トシヤ伯父さんが家に来たのはその頃だった。離婚の末に転がり込んできた母の兄は、逞しい背中いっぱいに般若の顔を彫っていた。母は迷惑そうだったが、僕

          【逆噴射プラクティス】あのころ俊弥おじさんと

          孤塁について(あるいは、オタク/マイナーコンテンツの一般化について思うこと)。

             前回、オタクコンテンツを熱く語る還暦超えのおっさんの話を書いた。  書きながら色々と思うところがあったが、その内容まで記事に入れると話がとっ散らかってしまうのでやめた。  本稿では、その"思うところ"についてダラダラと述べる。    返すがえすも、今日びのオタクコンテンツはよくもここまで市民権を得られたものだと思う。上の記事はいささか極端な例だとしても、ごく普通の人が萌えキャラの跋扈するソシャゲを臆面もなくプレイしている姿などはどこでも目にするようになった。  職

          孤塁について(あるいは、オタク/マイナーコンテンツの一般化について思うこと)。

          怱々(そうそう)たるフリートーク。

             先日の晩、マックでメシを食っていた。晩飯をハンバーガーセットで済ますとは我ながら自堕落で不健康だと思うが、てめえの振る舞いを正当化するだけの口実や気概なぞハナから持ち合わせていない。  おれが陣取ったカウンター席の向かいにはテーブル席が置かれていた。そのテーブルを囲む4つのチェアは、一席余さずおっさん達のケツで埋められている。  一括りに「おっさん」と呼称してもその年齢層はピンからキリまであるわけだが、そのおっさんどもはピンの中のピン、軒並み還暦はカタいであろう、どいつ

          怱々(そうそう)たるフリートーク。

          逆噴射小説大賞2023ライナーノーツ【後編】

           この記事の続きを書く。 セイント◯二作目。麻雀もの(のような何か)。 ◯二作目を書くに当たり、おれはどのような作風のパルプを書くべきかについて悩んでいた。  昨年、おれは『ロストジャイヴ』『月面着火』の二作をこの賞に応募した。片やアクション、片やSF。両作ともに、いかにもパルプという感じの作風だ。結果はどちらも二次選考を通過し、そしてどちらも最終選考に至っていない。 ◯二次選考突破の時点で十分誇れる実績には違いない。だが賞レースに参加する以上、出来うる限り上を目指した

          逆噴射小説大賞2023ライナーノーツ【後編】

          逆噴射小説大賞2023ライナーノーツ【前編】

           逆噴射小説大賞。  ノンジャンルのエンタメ小説800字の冒頭で面白さを競う、比類なきインクオクトーバーフェスト。  今年で第6回を数えるこの大賞に、おれは一昨年から参戦している。一昨年は最終選考まで到達したが、去年は二次選考通過で終わった(二次選考通過の時点で十分すごいことだが)。  上に行けるものなら行きたいが、遮二無二それを目指すほどのハングリーさは持ち合わせていない。ただ、己の物書きとしての腕前は確かめておきたい。そういうふわっとしたモチベーションで参戦した。  以

          逆噴射小説大賞2023ライナーノーツ【前編】

          ピットインにて考える(逆噴射小説大賞2023二次選考結果発表に寄せて)。

           RTGです。いつも大変お世話になっております。  職場の忘年会から帰ってきてそのままキーボードを叩いています。つまり酔っている。乱文になることをお許しください。  本題。  逆噴射小説大賞の二次選考結果が発表されました。  昨年に続き、今年も応募上限は一人につき2発まで。  自分も2発撃ちました。結果はこちら。  一発目:討手は闇に→二次選考落選。  二発目:セイント→二次選考突破。  結果:一発命中。  昨年に続いての両弾命中はなりませんでしたが、兎にも角にも

          ピットインにて考える(逆噴射小説大賞2023二次選考結果発表に寄せて)。

          地方文学賞に小説を応募してみた結果。

           RTGです。いつも大変お世話になっております。   まずはこれまでのあらすじから。  以上。  詳しくは以下の記事に書いています。    で、結果が出ました。  入選しました。入賞の一つ下です。馴染みのフォロワーさん向けに例えると、逆噴射小説大賞の最終選考に相当するものと思われます。  めでたいことです。応募総数は現状不明ですが、おそらく50本は優に超えるものと思われます。その中で数本しか選ばれない入賞・入選作の一角を、初挑戦の身で占める事ができました。  なお応募

          地方文学賞に小説を応募してみた結果。

          セイント

           モグリの雀荘経営という商売柄、アクの強い人間は腐るほど目の当たりにしてきた。しかし完は別格だった。  氷雨の夜、白シャツ姿の完は傘も差さずに私の店に現れた。常連の柿沼の紹介だと言うが、柿沼は廻銭を詰めきれないまま蒸発している。  柿沼氏の穴埋めです。完はそう言って手に提げたコンビニ袋から百万の束を三つ掴んで私に手渡すと、濡れそぼった髪も拭かずに一人欠けのチェアに腰掛けた。卓を囲む先客たちが揃って向けた奇異の視線を、完は一顧だにせず言い放った。 「残り一束。それっきりです。始

          セイント

          討手は闇に

             宵五ツの鐘が谺する。  自邸の奥座敷にて、御用人茂野兵庫は目の前に端座する男を面妖な面持ちで眺め尽くした。  藤川惣治郎。手練揃いの柏道場にあって麒麟児と謳われた遣い手ながら、失明により藩の勤めを退いている。しかしその剣才は喪われず、盲いてなお冴えを増す一方と聞き及ぶ。  兵庫の招致に際し、惣治郎は伴も杖も携えることなく現れた。 「ときに藤川。今宵、月は出ておるか」  兵庫は訊いた。無論、惣治郎への試しである。 「出ておりまする」  瞑目したまま惣治郎は答える。出し

          討手は闇に

          【業務連絡】 今夜0時に逆噴射小説大賞の一発目を撃ちます。 https://diehardtales.com/n/n23ff04fae3b4 ばくはつしたり人が4んだりしないお話です。ごあんしんください。 なお、昼過ぎまでですが明日も仕事です。 かんべんしてください。

          【業務連絡】 今夜0時に逆噴射小説大賞の一発目を撃ちます。 https://diehardtales.com/n/n23ff04fae3b4 ばくはつしたり人が4んだりしないお話です。ごあんしんください。 なお、昼過ぎまでですが明日も仕事です。 かんべんしてください。

          業務連絡スペシャル(生存報告と創作活動について)。

           RTGです。いつも大変お世話になっております。  皆さんお変わりありませんでしょうか。私は仕事が大変です。  今年に入ってから仕事の中身がすげえめんどくさくなったんですよ。具体的には言えないけど、2~3ヶ月ごとに仕事のスキームがゼロから変わるの。今やってることに慣れる間もなくGo To ネクストステージのエブリデイ。賽の河原で石積まされてんのかと思う有様。  そういうわけで、仕事をして仕事をして仕事をして仕事をして書類をカリカリカリカリカリカリカリカリやっておりました。娑

          業務連絡スペシャル(生存報告と創作活動について)。