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1冊目

1冊目『神さまの貨物』

記念すべき(なにも記念したくないけど)
1冊目は、『神様の貨物』に決定。

「涙なしには読めない、人生の課題図書」
という帯の文章に惹かれたのと、
訳者が河野万里子さんだったから。

本題に入る前に少しだけ説明すると、
河野万里子さんに出会ったのは、学生時代。
「悲しみよこんにちは」というフランソワーズ・サガンの超超超超名作を読んだことがきっかけでした。



そのころ、サガンと言えば朝吹登水子さんという訳者が訳していて、もちろんそれもとても素敵なのだけど、まだ幼いわたしにはいまいち理解できないところが多かった。
イメージ的には、朝吹さんの訳は真四角の大理石みたいな。
整っていて、美しい印象だった。当時の新潮文庫の印刷や書体イメージもあると思う。



河野さんのことばは、丸みがあってやさしいかんじ。
で、わかりやすくてシンプル。
たとえばわたしが好きなのは、
「彼のそばにいると、すべてが簡単になった。」
朝吹さんは同じ箇所を
「彼のそばでは、何事も容易に変って行った。」
と訳している。これはもう好みの問題だけど、わたしは河野さんの訳が好きだ。

そんわけで、
「傷ついたわたしに、河野さんのことば、良く効くかも!!」
と決めました。

1冊目『神さまの貨物』
ジャン=クロード・グランベール(河野万里子・訳)
大きな暗い森に貧しい木こりの夫婦が住んでいた。ある日、森を走りぬける貨物列車の小窓が開き、雪のうえに赤ちゃんが投げられた。明日の見えない世界で、大人たちは託された命を守ろうとし…。人間への信頼を呼び覚ます物語。


やっぱり、超やさしいことばだった…。

「むかしむかし」からはじまり、まるでおとぎ話のように話がすすみます。
曖昧でやさしい言葉が多い一方で、そこにある現実はとてもつらい。

まるでおとぎ話のように、やさしい言葉で書かれた世界。その一方で、そこにある現実はとてもつらい。第二次世界大戦、強制収容所、ホロコースト…。その途方もないつらさの中、ひとびとが選んだ行動に、心が動きました。史実を思うと、簡単に感動や希望などの言葉を使えませんが、やさしさとつよさをかんじる一冊です。
やさしさとつよさは、すごくよく似ているのかもと思います。

『神様の貨物』POP


最後の一行、思わず泣いちゃったな…。

「そう、ただ一つ存在に値するもの――実際の人生でも物語のなかでも、ほんとうにあってほしいもの、それは

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