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【挿話】 空想のみなもと その1

実はここまで読んでいただいたお話、ただの空想という訳ではなく、元ネタがあるものも一定数ございます❀.*゚

それぞれちょこちょことあげていくので、ぜひぜひ併せてご覧くださいまし♪


デコレエションもあらばやと…「夢百首 雑百首」

福永せんせの歌集「夢百首 雑百首」より、「クリスマス」の一首を題材にしてみました。

せつかくの樅の木なれば  デコレエションもあらばやと
妻にせがみつ

「夢百首 雑百首」より
もみの木を飾らないかいっておねだり、可愛すぎませんか…?

福永せんせのお茶目で可愛い姿が、三十一文字から見えてくるような一句。
あまりに愛らしく、愛おしい句だったので空想を広げてみました❀.*゚

ちなみに、「デコレエションもあらばやと」の冒頭、

「ラジオ局の知り合いがね、くれたんだ。今年は一回り大きいのを飾るからって」
「なるほど、それで……」

「デコレエションもあらばやと」より

これにも元となった和歌がありまして。
それがこちら。

ラヂオ屋の おまけにくれし樅の木の
緑に映ゆる鉢をうれしむ

「夢百首 雑百首」より

そう。
福永せんせ、ほんとに貰ってきてるんですよ。樅の木。

「おまけにくれし」ってのが可愛いですよね(真顔)

絶対これ、貰った樅の木を「クリスマスなんだからさ、この木をデコレエションしたいんだ。いいかい?」っておねだりしてるじゃん福永せんせ…可愛いが過ぎんか……???

というところから、空想を膨らませて書いてみたのが「デコレエションもあらばやと」でした♪

ほい、では次っ!

明滅するを、あきもせで…「夢百首 雑百首」

樅の木を飾り付けた後、しばしの暖かな団らんを描いたお話。
こちらも元ネタは「夢百首 雑百首」の「クリスマス」のこちらの一首。

豆球の 明滅するを 飽きもせで
眺むる吾に 時はゆらげる

「夢百首 雑百首」より
豆球にこだわってた理由はここだったり。(左ページ)

お話のなかにも、福永せんせがこのように「豆球」にこだわって飾りつけを選んだ描写があったのですが、それはこの和歌から来ていたりします。

「やっぱり、豆球のにしてよかったですねぇ」

小さな夕陽が、たくさん。見ているだけでもそれは暖かで。
LEDにはない、人の温もりが光っているようだ。

「だろう?だからこだわって正解って言ったじゃないか」
暖かな光にちかちか照らされる、彼の得意げな顔も柔らかくて。

「明滅するを、あきもせで」より

ちなみに、筆者の私も飾りつけはLEDより豆球派です。
幼い頃に祖父がクリスマスツリーを出してくれたとき、豆球の電飾のオレンジや緑、赤の色にすごく暖かみを感じて…

私は幼い頃の思い出ってほとんど残ってない民なのですが、この記憶だけは妙に鮮明で。
なので、福永せんせのこだわりにも賛成してみた次第です♪

福永せんせとの、暖かなクリスマス。
三十一文字から生まれた優しい想像を、皆さんにも楽しんでもらえてたらいいなぁ…と思う今日この頃です。

では、最後はこちら!

いっぱい食べる、君が好き…「玩草亭百花譜」下巻

福永せんせとの、美味しくてやわらかいお正月を描いたこのお話。
実は、出てきた食べ物はすべて、実際に福永せんせが食べていたものだったりします。

その元ネタを探ったのが、福永せんせの唯一の画集「玩草亭百花譜」の下巻です。

サイズはA4くらい。なかなか大判の3冊です

帯にもあるように、また本の名前にもあるように、主な題材となったのは野に咲く草花。
ですが、下巻には「御馳走帳」として、福永せんせのお正月ご飯を書き(描き)留めたものが掲載されているんです。

「枝付きみかん」の文字が既にかわいい…
どの食べ物もやわらかいタッチで描かれているのが素敵

で、こうして見ていると「本当に、食べることがお好きだったんだなぁ」「こういうの食べて『美味しい』ってにこにこしてたのかしら」と、ふわふわした想像が広がるものでして。

例えば、このシーン。

「あ、これも食べちゃおうかなぁ」
並べたかまぼこや桜の形の人参を箸で摘む仕草も、

「んんん…ローストチキンとサラミ、どっちから行こう…」
こうして、美味しいお肉を前に悩む仕草も。

「いっぱい食べる、君が好き」より

このシーンは、福永せんせのスケッチや

ちゃんと立体的なんですよ…好き…
私がお偉いさんなら、かまぼこのパッケージに採用するのに…

この「御馳走帳」の一覧を見ながらメニューを選びました❀.*゚

「ローストチキン」も「サラミ」もあるんですよ…!

また、この回想シーンにも「御馳走帳」のエッセンスを加えてたり。

ぼうっとテレビのショートアニメを観てたら、ポンカンジャムが空っぽになってて驚いたんだっけ。
ヨーグルトに乗せようと密かに狙ってたのに。

「いっぱい食べる、君が好き」より

これは、実は「御馳走帳」のちょっとしたひと言から取ってるんですよ♪

右側ページに注目!

「味としてはポンカンジャムに及ぶものなし」……
うん、めちゃくちゃ好物じゃないですか福永せんせ!

こんなにポンカンジャムお好きなら、きっと美味しい美味しいってぺろっと食べきっちゃうんだろうな…
それ、確実に可愛いし慕わしいな……という思いから、朝食のときのちょっとしたひとコマとして入れてみました。

ちなみに、私は割と食い意地張ってるほうなのですが、福永せんせ相手なら取っといたお菓子とかジャムとか食べられてもきっと怒らないだろうな…と思っております。愛ゆえに。
(むしろ嬉々として色々あげるかもしれない…)

福永せんせを追いかけ、まだまだこれから

きっとまだまだ、福永せんせのことで知らないことってあると思うんです。
事実、まだ深く触れきれていない歌も、詩も、随筆も。まだまだあります。

だからこそ、まだまだこれから。
彼が、福永せんせが遺したたくさんの愛おしい言葉たちに触れながら、空想を膨らませ、物語を綴っていきたいなと思っているのです。

また彼の遺した言葉から物語が生まれたら、挿話として話せることが貯まってきたら、こうして記事にまとめていきたいなと思うので、何卒よろしくお願いします☘️🕊‎𓈒𓏸

福永せんせ、まだまだ、追いかけさせてくださいね。

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