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忘れられない日

なかなか話が進まず「もう焦るのは辞めよう」と腹を括った私達の結婚話。年末になぜ早く進めたいかをつらつら話したところ「分かった」とだけ言った彼。

出張から帰った彼と1週間ぶりに再会したのは私の実家だ。何となくの打ち合わせだけして、その場で彼の実家に行く段取りを終え、いきなり話が進み始めた。

私の親族はとても仲が良い。年末年始、GW、お盆には必ず集まる。今回は皆が集まるその場で、彼から報告する事にした。しかし、人数が多い故、なかなか切り出すタイミングを掴めず焦る私。

始まって1時間くらい経った頃だろうか、突然上の従姉妹が「結婚って…」という話題を祖父母に振った。(もちろん従姉妹は何も知らない。)「今だ!」と彼を急かし、徐に話始めた。(正確には「彼から話があります」と言ったのかもしれない。)

元々口下手な彼が一生懸命に、本来はスーツで来るべきところ軽装で申し訳ないということ、年度内を目途に入籍したいことを皆に伝えてくれた。真っ先に目に入ったのは、話の途中でポロポロと涙をこぼす叔父叔母の姿。次にそれを見て泣く母。正面を見れば従姉妹2人と、10年以上泣いているところなど見たことが無い弟まで皆涙をこぼしている。もっと盛大に、明るくなるかと思っていたので、私まで涙。

私が皆に散々心配をかけてきたこと、そしてとても愛されてきたこと、結婚が喜んでもらえていること。短い時間ではあったが、これらをひしひしと感じることが出来た。

翌日、実家のリビングで。私と母で食事の片づけをし、ダイニングテーブルには彼と弟が2人だけ。「兄さん」と弟が声をかけた。昨日まで呼び方が定まらず、気まずい雰囲気だったのに。2人で楽しそうにゲームの話をし、帰りは弟の運転で駅まで送ってもらった。

「ありがとうね、またね!」ぎこちなく弟の名前を呼ぶ彼。楽しかったと言ってくれた。短い時間と少しの出来事だったが、また少し私達の絆が強くなった気がするし、弟のことも更に大切に思えるようになった気がする。

ちなみに私と弟と同じく、全く人見知りをしない従姉妹たちは、彼のことを呼び捨てで呼ぶ。笑

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Eri.T
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