キケロ「老年について」#13 体力をうまく使う

 私に君たち2人のような体力がないのは事実だ。しかし、君たちだってあの百人隊長のような体力はないだろう。そして君たちより彼の方が体力があるからより優れた人間だ、ということにもならないだろう。
 つまり、体力がどうであれ、皆が自分に見合った活動に従事し、力をうまく使えるよう精進すればいいのだ。そうしていれば、自分には体力がないなどと感じることもないだろう。
 肉体の強さという恩恵は、それに恵まれているうちには存分に活かせてよいが、失ってしまったからと言って嘆かないことだ。
 若者が少年時代の終わりを嘆くべきではない。壮年が去りゆく青年時代を嘆くべきでないのも同じだ。
 人生の道のりは変えることができない。自然の道はたった1本。そこを歩くのも一度きりだ。
 人生の各段階にはそれぞれふさわしい性質がある。それは果実とも言うべきものだ。少年のはかなさ、青年の大胆さ、中年の本気、そして老年の成熟。しかるべき季節に収穫してやらなければならない。

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