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不器用な恋
孟嘗君は、大昔の斉の国の人だけれど。
リスクヘッジの天才宰相じゃない?
そういうところが好きだし憧れる。
3000人の食客を抱え、
その人達の意見や知恵を汲み上げて
政治に活かす。
例えば。
国は人が動かしているから。
誰かに目の上のたんこぶと観られてしまえば切り落とされる。
そうなった時のためにも、諸外国に拠点は用意しておく。もちろん普段は各国の情報収集も。
戦は人をなるべく傷つけないように。
門番を鶏の鳴き真似で騙して、夜のうちに開門させて混乱させたり、その隙に忍び込ませて大切な資料を奪わせたり。
1人ではできないあれやこれやを、仲間と共にこなしていく。
素晴らしい宰相ではありませんか。
………だからといってね。
いくら「孟嘗君が好み」と、伝え聞いたと言われましても。
私の近しい人を通すにしても、限度があるんじゃない?
周りの人全員が、「あの人はお菓子をくれる親切な人だからいい人」みたいな褒め方するって、あり得なくない?
「お菓子をあげるから褒めて」って頼まれたみたいに異口同音って、可笑しくない?
孟嘗君だったら、まずは人脈作りからでしょ?そこから間違えてない?
いきなりお菓子渡して、助け舟を頼み込むなんて、しないんじゃないかな。
なんか嫌じゃない?
私は好きじゃない。
………え?
だったらもっと詳しく孟嘗君について教えてくれませんか?ですって?
………しょうがないなぁ。
そうね、教えてあげても良いけれど。
まずは先生と生徒ね。
恋だとかそういうのは無しで。
…なんだか、嬉しそうですけれど。
#百人百色
#夜をこめて鳥の空音ははかるともよに逢坂の関は許さじ
#62番物語と絵
ちょこっとおまけ。