今日が誕生日の君へ✦4月7日生まれ✦
「4月7日生まれの君へ」
誕生日おめでとう
今日は君にある物語を聞かせよう
昔々、古い町に
誰が作ったかも分からない木馬があった
長い間雨にさらされ
その体はあちこちが痛んでいた
「そろそろ終わりだ」
木馬はそう感じていた
ある夜、小さな星が瞬いて彼に告げた
「情熱の炎を燃やしなさい、そうすれば本物の馬になれる」と
木馬は一縷の望みをかけて心の炎を燃やした
その瞬間彼の体は燃え上がり
腐った体が剥がれ落ちて代わりに翼が生えた
翼を持った馬は天高く飛び上がりどこまでも駆けた
「世界の果てへ」
馬は感じるままに情熱のままに駆けた
やがて大きな虹が現れ
その下をくぐると彼の翼は虹色に変わった
見下ろせば一面の花畑
「僕はどこへ行くんだろう」
自分でも分からなかったけれど
馬はどこかへ向かって飛んでいた、まっすぐに
長い長い年月が過ぎた頃
彼はオレンジ色の夕陽の中をゆっくりと飛んでいた
ふと背中に温かな体温を感じた
「少し眠らせてちょうだい」
いつの間にか美しい女性が彼の背中に乗って
その体を彼に預けていた
彼はゆっくりと優しく茜色の空を飛んだ
これが君と僕の物語だ
poète:中井由梨子
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