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【徹底解説】2024年最注目の投資先は?クリプト投資ガイド#3 Solana編

前回のガイドではイーサリアムが仮想通貨市場のナスダックになり、レイヤー2の成長による恩恵が続くと予測した。本稿ではSolana(ソラナ)の現在の仮想通貨市場での位置付けを考察する。

ソラナにはクリプト界のギャンブラーが集う

まずソラナは、通称ディジェンと呼ばれる、ハイリスクなプロジェクトに全財産を賭けてしまうような恐れ知らずのトレーダーが集まるブロックチェーンであることを指摘しておきたい。

従来の仮想通貨コミュニティは主にビットコインとイーサリアムで構成され、分散化が重視されてきた。仮想通貨は金融ネットワークとして機能することを目指す一方で、分散性は欠かせない要素だ。

しかし、ソラナはブロックチェーンに対してより事業的なアプローチを取っている。2024年から始まるサイクルではオンチェーンの実用性を活かし、ディジェン向けの小口取引に特化したネットワークとなる可能性が高い。

2021年の強気相場ではイーサリアムは手数料が高く、処理速度が低かったにも関わらず、ユーザーの購買力を背景に急騰した。一方でイーサリアム以外のアルトレイヤー1(L1)は高いパフォーマンスと低コストで多くのユーザーを引き付けた。BNBチェーンや、Fantomなどが例として挙げられる。

この時期のアルトL1の顕著な特徴の一つは売買回転率の高さである。一部のDeFiユーザーが継続的にプロジェクトを乗り換え、アルトL1のDeFiへの投資を促進し価格を押し上げたが、同時にTVLのバブルを引き起こした。

今サイクルにおけるソラナの利点はイーサリアムに匹敵する購買力に加え、その売買回転率の高さである。

購買力の基準は、L1の上に$10億ドル以上のFDVを持つトークンがあるかどうかだ。現時点でソラナは、アルトL1の中で唯一オンチェーンに10億ドル相当の時価総額を持つトークンを育てることに成功している。$JTO、$BONK、$HONEY、$MOBILEなどのトークンは10億ドルを超えるFDVを持ち、今後登場する多くのトークンも10億ドルを超える可能性がある。

購買力のもう一つの指標は、そのブロックチェーン上で発行されたステーブルコインの数だ。現在、ステーブルコインが多く発行されているプラットフォームは主にイーサリアム、トロン、ソラナの3つである。

ステーブルコインが多いということは、即座に引き出し可能な流動性が存在していることを意味する。ソラナには既に18億ドル相当のステーブルコインが発行されており、FTXの崩壊後は、USDCがUSDTを上回っている。

小口取引への特化

仮想通貨の売買回転率を見る際に最も重要なのはナラティブ/ストーリー性の豊かさだ。他のアルトL1と比較してソラナは優れた機能性と流動性を持ち、これらが売買回転率を向上させている。

さらに、現在のサイクルが始まる前にDePINセクターをほとんど取り入れたことは重要だ。DePINとは分散型物理インフラネットワークを指す。

ソラナの新たなナラティブ、DePIN

2022年11月、世界第3位の取引所であるFTXの破産はソラナのレイヤー1エコシステムに大きな打撃を与えた。ソラナの主要なNFTプロジェクトの1つであるDeGodは、イーサリアムへの移行を発表し、ソラナトークンの価値の低下はネットワークの流動性とユーザーに影響を与えた。

DePINは既存のP2Eモデルに類似しているが、ハードウェアの購入に埋没費用がかかり、ゲームNFTよりも流動性が低いためサイクルが比較的長い。このサイクルが成り立つには報酬が持続可能であることが前提だ。持続可能な報酬には流動性とオンチェーンUXが重要であるため、ソラナは非常に適していると言える。

DePINに対する関心が戻りつつある今、ソラナのハードウェアエコシステムはさらに拡大する可能性が高い。今年も数多くのプロジェクトがソラナ上で登場するだろう。

高い購買力を持つソラナユーザーはこれらのプロジェクトに投資し、その資産はソラナのTVLをさらに膨らませる。特にDePINセクターに関してはソラナ以外に投資に値するプロジェクトを見つけるのは困難である。

つまり、ソラナはDeFiの投機戦略に長けたトレーダーが活発なチェーンとなる。投資家を継続的に惹きつけるブロックチェーンとして確立されるだろう。将来的にはドルを持つユーザーがソラナ上でUSDCを発行する形でソラナへの投資を始めるかもしれない。Visaとの提携に基づき、一般のユーザーも含めたUSDCの小口取引ブロックチェーンになる可能性がある。

また、注目すべきはソラナ・モバイルの「Saga」である。ソラナのスマートフォンを購入すると、ソラナエコシステムのトークンを受け取ることができるという仕組みとなっている。

これはクリプトウィンター(仮想通貨の冬の時代)時にはあまり影響は見られなかったものの、ブルマーケットが近づくとトークン価格が上昇し、現在は未開封のスマートフォンの中古価格は発売価格に対して8倍の水準となっている。

こういった報酬はSagaの需要を増加させ、結果として製品の品質を向上させる。長期的には、ソラナの小口取引ネットワークを発展させる触媒として機能するだろう。これはDePinのフライホイール効果が好循環を生む典型例だ。

行動データに基づくAIエコシステムの成長余地

さらに忘れてはならないのが、DePINエコシステムが拡大すればするほど、ユーザーの行動データが大量に蓄積されていくことだ。この行動データはソラナのAIエコシステムに統合することで最大限に活用することができる。

ソラナのTurbineは最大128MBのブロックデータの迅速な処理を可能にしており、AIデータの検証にも対応できる。さらにFiredancerを適用し、ネットワークのトランザクション処理能力を動的に最適化することで、10倍の1250MBが処理可能になる。コストは従来の最小仕様より約3.09倍高くなるが、コストに対するTPSの効率は3倍に増加する。

この点においてイーサリアムとは異なる検証手段としてDAレイヤーの地位を築くことができ、将来的にAIデータの検証、オンチェーンデータMLなど、DePIN+AIがソラナに長期的な成長を促す分野になる

ソラナは高い拡張性で知られているが、昨年だけでもブロックチェーンが8回停止したと報告されている。これにより一部ではソラナの信頼性に疑念を抱くものもいる。

しかし、裏を返せばソラナは独自のストレステストを幾度も経験しているということだ。

この過程においてソラナの開発者コミュニティではEVMではなく、Rust言語を基にした高速な処理速度を持つSVM(Solana VM)が採用され始めた。今ではソラナベースのプロジェクトを開発する際には以前よりも低コストで開発者を確保し、成熟したSVM環境の上で開発することができる。

2024年のサイクルでは、多くのプロジェクトがSVMを採用し、ソラナのナラティブを持つアプリチェーンやL2/L3製品が登場する見込みだ。例えばElipsisはSVMを活用したRaaSを近くリリースする予定であり、Maker DAOもSVMを活用した小口取引専用のアプリチェーンの構築を提案している。これらの新しいSVMプロジェクトはソラナエコシステムの拡大と流動性に貢献するだろう。


ビットコイン編、イーサリアム編はこちら:


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