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【仮想通貨】香港のETF承認、ただの承認ではない理由

香港当局、ビットコインとイーサリアムの現物ETFを上場承認

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香港証券先物委員会(SFC)が4月15日、ビットコインとイーサリアム現物ETFを承認しました。米国のビットコイン現物ETFが仮想通貨市場の構造を大きく変えているため、香港のETF承認による資金流入には大きな期待が寄せられています。

この期待感は、主に二つの要因から構成されています:

(1)中国政府の仮想通貨に対する(好意的な)姿勢の変化

(2)中国資本の流入の可能性

中国政府はこれまでビットコインのマイニングを禁止し、仮想通貨に対して否定的な姿勢を取り続けていましたが、香港で承認されたビットコインとイーサリアムの現物ETFは、まさに変化の兆しであると専門家たちは見ています。

このような見解の根拠は、香港政府が承認した三つのETFの全てが中国本土に拠点を置く資産運用会社によって管理されるという事実です。

例えば、ボセラアセットマネジメントは中国で2.5兆元(約25兆円)以上の資産を運用しており、中国の代表的な資産運用会社と言えます。これら主要な金融機関の参入は、中国政府の仮想通貨に対する姿勢の変化を示唆しているのではないでしょうか。

 「香港のビットコインETFへの期待を抑えるべき」  ブルームバーグ・アナリスト

一方で、米国のETF専門家である、ジェームズ・セイファート氏とエリック・バルチュナス氏は、香港で承認されたビットコイン現物ETFが、米国のETFほど市場に大きな影響を与えないとして、懐疑的な見解を表明しています。

米国のETF市場の規模は約9兆ドル(約990兆円)であるのに対し、香港のETF市場は500億ドル(約75兆円)、中国本土のETF市場は380億ドル(57兆円)と、米国市場に比べて相対的に小さいとの指摘です。さらに、ETFの運用手数料が1~2%と比較的高いため、資本流入が制限される可能性が高く、香港ETF市場によるビットコインの爆発的な成長は期待されにくいという予測を立てています。

 「年末までに約12兆円の大規模な資金流入が見込まれる」  Foresight News

香港のブロックチェーン専門メディアであるForesight Newsは、ブルームバーグのアナリスト達とは異なる意見を持っています。中国の金融機関の幹部とのインタビューによると、数ヶ月以内に最低でも1500億円以上が香港のビットコイン現物ETFに流入すると予想され、年末までには12兆円以上の資金が投資されるとのことです。

またForesight Newsは、香港の現物ETFの運用手数料が高い理由について解説しています。香港の金融当局が仮想通貨に対する保険を要求しているため、手数料は高く設定されており、実際の運用手数料は米国と同水準であるとの主張です。よって、手数料の高めな水準は必ずしも悪い方向には働かず、現物ETFへの資金流入や市場の成長に対して楽観的な見通しを崩す必要はないとのことです。

現物償還モデル

また、香港で承認されたビットコイン現物ETFが現物償還モデルを採用している点に注目する必要があります。現物償還モデルは、機関投資家(Authorized Participants、APs)が現物市場で直接ビットコインを購入し、それをETFの株式に交換して価格差益を得る方式を指します。

ビットコインの現物価格がETFの純資産価値(NAV)よりも低い場合、APはビットコインを購入してETFの株式に交換し、その逆の場合にはETFの株式を売却してビットコインを回収し、市場に売却できます。したがって、香港のビットコイン現物ETFが現物償還方式を採用することで、機関投資家が市場により直接的に介入することが期待され、その方式により市場に安定と透明性をもたらされるとの見方です。

それで…価格は上がるのか?

香港のETFに対する期待は、ビットコインよりもイーサリアムに傾いています。これはイーサリアムのICOが香港で行われたことから、香港がイーサリアムの発祥地と見なされているためかもしれません。 ”イーサリアムは揶揄された時に最も輝く” というマーケットの表現があります。つまり、市場の関心が低いとき、大口投資家はイーサリアムを買う傾向があるということです。

ETH / BTCチャート

上記のチャートの黄色い領域は、前回の半減期を表しています。ビットコイン半減期の間、イーサリアムはあまり注目されず、価格上昇も目立ちませんでした。しかし、チャートの下部に表示されている青い線を見ると、クジラの積み立てが継続して上昇していることが分かります。人々がビットコインに注目している間、大口投資家は粛々とイーサリアムを買い集めていたのです。今回の半減期はどうでしょうか?

今回の半減期でもすでに似たような動きが見られます。ビットコインに対するイーサリアムの交換レートは0.048に下がっており、この期間に大口投資家がイーサリアムを積極的に購入しています。前回の半減期と同様に、ビットコインの半減期後にイーサリアムの価格が上昇する可能性があります。さらに、香港でのイーサリアムETFの承認もあり、投資家の姿勢はより強まる方向にあるといえるでしょう。

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