【徹底解説】2024年最注目の投資先は?クリプト投資ガイド#7 レイヤー1・レイヤー2編
第一世代のレイヤー1とレイヤー2
レイヤー1とdAppの関係性
いわゆる第一世代と呼ばれる、前回の強気相場で登場したレイヤー1(L1)は、激しい競争に巻き込まれている。
ただ、L1同士は激しい戦いを繰り広げているが、これにより、各L1に属するdAppは比較的良い思いをしている。なぜなら、dAppがローンチされると、L1がトークンをリワードとして提供していたからだ。
現在、ほとんどの第一世代L1はトークンを全てアンロックし、市場に流通させているので、このような状況では持続的にネットワークの価値上昇を支えることは難しい。
そのため、強気相場の兆候が現れると、それに便乗して魅力的なナラティブ・ストーリー性を作り出す傾向がみられる。事前にdAppに投資した資金を回収する時期という訳である。
したがって、L1にとって成功の鍵となるのは、前サイクルに注目されたトークンと比較して、いかに新たな付加価値のあるdAppやインフラのストーリー性を備えているかである。
マーケットでは常に新鮮なストーリー性が好まれる。
GameFiやDePINなどの奥深いセクターは、似通ったコンセプトばかりのDeFiよりも魅力的であり、新しい流動性をより効果的に引き付ける。第1世代のアルトL1やL2は、こういった新鮮なストーリー性を通じてトークンの価値上昇を図った。
不動産取引との類似性とサトシチャート
実は、L1とL2は不動産売買取引に似た特性を持っている。各ネットワークはブロックチェーン上のブロックスペースをユーザーに販売し、収益を上げている。
人気エリアの物件に関心が向けられるように、ユーザーはストーリー性のあるL1とL2に興味があり、これはブロックスペースの売買益に直接影響している。
一方で、市場で魅力的なストーリー性を構築できなかったL1やL2のプロジェクトは、自然にBTCに対するパフォーマンスが低下し、やがて存在感が薄れていく。
この現象を直接表す指標は、サトシチャートだ。もしサトシチャート(トークン/BTC)が前サイクルの安値よりも低い価格帯で推移している場合、魅力的なストーリー性の構築に失敗したことを示している。このような負のスパイラルに陥ったプロジェクトは、一般的にビットコインに比べて極端にパフォーマンスが低下する
2024年の時点で、市場と相性の良いストーリー性を構築したレイヤープロジェクトの例として、SolanaとMetisが挙げられる。
Solanaは、前回の強気相場でユーザーインフラ、DeFi、DePINに大きく投資をし、FTX崩壊による急落はSolana Foundationと関連機関がブルマーケットに賭けたことで乗り越えられた。結果的に、1月16日時点のSolanaの時価総額は約410億ドルで安定している。
一方、Metisは、L2の特性を把握し、分散型シーケンサーに基づくトークン実用性の実装やエコシステムファンドの設立などを通じて、安値に比べて6倍の水準まで上がっている。
新興レイヤー1とレイヤー2に求められるもの
一方で、新興のアルトL1に求められるストーリー性は第一世代のL1とは少し異なる。
後発のレイヤー1の優位性
そもそも後発のアルトL1は、必然的に有利な立場にある。既存のL1よりも優れたユーザー体験を提供したり、業界で成功したストーリー性を取り入れることで、後発の優位性を活かすことができる。
昨年初めに大きく成長を遂げたAvalancheの主要DEXであるTrader Joeなどが一例だ。
後発のアルトL1はより恵まれた技術環境下でプロジェクトを開発することができる。既存のL1と比較して、メインネットの様々な側面(開発言語、拡張性、VM/仮想マシン、流動性など)で、より迅速かつ低コストでユーザーのオンボーディングや開発者環境の構築ができる。
重要となるストーリー
また、一般的にトークンのほとんどが市場に流通していないため、ストーリー性に沿った適切なブランディングを用いることで、トークン価格の大幅な上昇が期待できる。(例:Aptos、Sui、Sei、dydx、Celestiaなど)
上記の業界で成功したストーリー性とは、暗号通貨の歴史や既存のプロジェクトから生まれたカルチャー、習わし、または技術などを指す。ストーリー性を利用して大幅なトークンの価値上昇が達成された経緯があれば、これは新興プロジェクトの重要な糧になる。
その代表例がフェアローンチである。最近成功したほとんどのDeFiプロジェクトはトークン発行にフェアローンチの手法を採用している。
フェアローンチ以外には、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)、Instamine、プルーフ・オブ・ナレッジ(PoK)などがある。
このように成功したストーリー性を採用する利点の一つは、以前に成功したチェーン・サービスに肯定的な印象を持つコミュニティからの支持を得られることだ。
暗号通貨の領域でコミュニティ文化をゼロから築くことは非常に難しい。しかし、ストーリー性を活用してコミュニティを引き寄せることで、比較的低コストでエコシステムの確立、ユーザーの確保、トークン価値の上昇を目指すことができる。(例:Kaspa、Bittensor、Berachain)
新興のアルトL1およびL2の特徴は、下降相場サイクル中に資金調達とエコシステムプロジェクトの開発を行い、上昇相場サイクル中にトークンを発行(Token Generating Event)することだ。
そのため、市場の流通量が発行総額の10〜15%の範囲で維持されるという特性がある。流通量が少ないため、ストーリー性の構築の成否が流動性に大きく影響する。
また、ストーリー性を構築し、大きな成功を納めた新興アルトL1・L2は高い水準の時価総額を維持するためにエコシステムの管理に取り組む必要がある。ファンドを育成し、ネットワークを継続的に活性化するようなメカニズムを確立することが重要だ。
結局、全てはサイクルなのである。
トークン発行を完了した後、新興のアルトL1・L2は、次世代のアルトL1・L2として成功するために準備をしなければならない。エコシステムファンドを設立し、さまざまなインセンティブを通じてユーザーを引き付ける必要がある。
まだ大量のトークンがロックされているため、一部のトークンを積極的にDeFiエコシステムに割り当て、高いAPRをアピールし、新しいユーザーと流動性を確保することもできる。
ネイティブトークンのリワードやエアドロップを含む高いAPRの提供は流動性を生み、トークン価値の上昇、担保付きローンやデリバティブ取引量の増加へと繋がる。
つまり、トークン価格の上昇とTVLの増加を促進する流動性循環モデルを構築することが(理想では)可能となる訳だ。
このような流動性インフラの構築は、ミーム、ガバナンス、ゲームなどのエコシステムトークンの価値を向上させ、アルトL1・L2トークンの上昇を牽引するエンジンとして機能する。
代表的な例として、前サイクルのアバランチ、ポリゴン、ソラナなどが、上昇のポテンシャルを創出するためにL1競争に乗じて流動性インフラを構築した。
今回のサイクルでは、SUI、ARB、MANTA、BLASTなどのプロジェクトが、上昇ポテンシャルを創出するためにさまざまなエコシステムプログラムを通じて流動性インフラを構築している。
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