
コミュニティ形成の役割を担うミームコイン

最近、ソラナのミームコインが好調だ。昨年末からBonkをはじめ、ピンクの帽子をかぶった犬(WIF)、よだれを垂らすナマケモノ(Slerf)など、ミームコインが続々と急騰し、ソラナチェーンに活気がみなぎっている。
現在、時価総額が10億ドルを超えるミームコインは、1日30億ドル以上の出来高を生み出し、ソラナブロックチェーンを牽引している。
ミームコインブームはソラナに限定されたものではない。既にブロックチェーン領域では一般的な現象となっており、急速に普及している。
10億ドルの評価額を得たことで話題になったFarcasterプロトコルは基軸チェーン上で「ソーシャルメディアネットワーク × ミームコイン」の市場を攻略しようとしている。NFTマーケットプレイスのBlurが主導するBlastは、「ゲーム × ミームコイン」の領域を狙う。
だが現在、投資家の間ではミームコインに対する意見は二極化している。
一部の投資家はミームコインの価格上昇に高揚する中、バリュー投資家(本来の価値よりも低く見積もられている割安な銘柄に投資する投資家)は市場を混乱させるミームコインを不快に感じているのだ。
このような状況下でミームコインはどのように評価されるべきなのだろうか?
イノベーションは純粋な「面白さ」から生まれる

17年前、iPhoneが初めて発売された際、多くの専門家たちはあざ笑った。コーヒーが作れるトースターに需要はないとして、iPhoneを見下したのである。携帯電話、MP3プレーヤー、カメラはそれぞれ別々に存在すべきだと彼らは考えていた。
しかし、この数百ドルの未知のデバイスはIT愛好家たちの好奇心をくすぐった。彼らは後に自らの経験を活かし、前例のないビジネスを生み出していくことになる。この時にiPhoneと出会い、現在億万長者となっている人物も多くいる。
米国の有名なベンチャーキャピタリストであるa16zのクリス・ディクソンは、最終的に世界を変えるような革新的なアイデアは、初期段階では大衆や専門家からあまり価値がないと見なされる傾向があると述べた。
しかし、そんな世界を変えるようなアイデアにはもう一つの共通点がある。それはまるで玩具のような「面白さ・楽しさ」を備えているということだ。
ミームコインは暗号通貨界の玩具
玩具は一見役に立たないように見えるかもしれないが、技術の進歩や社会の認識の変化によって、その本当の価値が明らかになる。
その典型的な例がインターネットだ。初期段階では通信速度は遅く、できることも限られていたため、ほとんどの人にとって無価値なものと見なされていた。しかし、そのインターネットで ”遊び” 続けた者達は、特有のコミュニティや文化を築き、技術的な欠点を趣味の感覚で補っていった。
結果的には、かつてはオンラインネットワークから予期せず生まれた副産物のようなものが、今では世界規模の技術革新や新たな社会変化をもたらしている。
Google、Amazon、Apple、Teslaなどの偉大な企業も、最初はその意義を問う批判を背負いながらスタートした。新しいアイデアが持つ本質的な価値を理解することは簡単ではないのだ。
暗号通貨業界の玩具と言えば、おそらくミームコインに相当する。
ほとんどのミームコインには優れた技術や野心的なビジョンがない。ミームコインはミームを愛するコミュニティのためだけに存在している。
しかし、視点を少し変えてみると、暗号通貨の世界ではコミュニティこそがすべてかもしれない。「かわいらしさ」がすべてを勝ち取る。かわいい犬の画像が予想以上の変化をもたらすかもしれない。もしさらに多くのミームコイン信者が増え、コミュニティと文化が定着し、巨大な波及効果が生まれれば、その先に何が起こるかは誰にも予想できない。
ミームコインの役割
初期のミームコインには、その愛らしさに魅了されて遊ばれていた玩具のような感覚があったが、現在のミームコインは明らかにコミュニティの形成に重点を置いている。ある種のユーティリティが生まれたのだ。
ミームコインの話題性とユーザーを集める拡散力は、すでにいくつかの成功事例を通じてその有用性を示している。
例えば、Solanaを基にしたTelegramトレーディングボット(AIと機械学習を活用して市場を観察し、事前定義されたアルゴリズムに沿って暗号通貨取引を自動的に実行するソフトウェアプログラム)であるBONKbotは、2022年末にユーザーに$BONKがエアドロップされたことから始まった。
独立したチームがこのトレーディングボットをリリースし、取引手数料の一部をBONKトークンの購入、そして焼却に充てることでトークン保有者との経済的利害を一致させた。
このトレーディングボットは直近、1日の出来高が2億ドルを超え、BaseやBlastなどの他のプラットフォームと同等の水準に達している。
この戦略は、インフラプロジェクトにも適用できる。
例えば、イーサリアムのLayer 2であるShibariumが始動したことで、SHIBはガス手数料を通じて焼却されるようになり、持続的な需要が生まれた。この手法は、ミームコインをL2に統合することで、既存のSHIB保有者コミュニティを活性化しつつ、新規L2の初期採用の課題を克服することができる。
SocialFiとMemecoinを組み合わせてBaseで発行された$DEGENトークンは、元々Farcaster上でソーシャル決済用のミームコインとしてペアリングされていた。しかし、現在はFarcaster上に構築されたショート動画プラットフォームであるDraculaや予測市場Perlで基軸通貨として使用され、わずか1か月で4万4千人の保有者を集めた。
このように$DEGENはさまざまなソーシャルアプリで基軸通貨としての有用性を証明し、流動性と時価総額を自然に増加させた。
web3インフラを構築する専門企業であるSyndicateは、最近、$DEGENホルダーに新しいユーティリティと流動性を提供するために、$DEGENを基軸通貨として使用するL3、Degen Chainを構築しようとしている。
結局、可愛い子犬や猫の動画に勝るものはインターネット上に存在しないのである。ミームコインは、複雑なweb3.0技術や分散型プロトコルに満ちた暗号通貨業界に、ワクワクや楽しさ、ストーリー性をもたらす。
おそらく将来、ミームコインはさまざまな暗号通貨の分野で繁栄するだろう。新しいオンラインのコミュニティ通貨として機能するのだ。シンプルなDogecoinの画像から始まったミームコインは、確実に進化している。
この先ミームコインがどのような発展を遂げるのか、楽しみに見守っていきたい。