発生学からソフトウェアアーキテクチャを考察してみよう3
こんにちは。前回は一次胚葉、脊索について考察しましたね。今回は胚子期の考察をしていきましょう。
part1 : 発生学からソフトウェアアーキテクチャを考察してみよう1|むら|note
前回 : 発生学からソフトウェアアーキテクチャを考察してみよう2|むら|note
胚子期
Part1で「胚発生において一般性が特殊性より先に現れる」という法則を紹介しましたが、一般的な枠組みが分化するのがこの胚子期までになります。胚子期のあたりから種の特徴が表れてきます。
胚子期では頭部と体幹部で分化するものが違います。今回は胚子期の頭部の考察をしていきましょう。
胚子期(頭部)
一次脳胞
頭部では脳胞と呼ばれる腔ができます。この時点で皮質などの「実装」はまだされません。つまり、脳の枠組みだけが形成されます。まず、一次胚葉前端の外胚葉が神経版を形成し、そこから前脳胞、中脳胞、菱脳胞の三つの領域を作ります。
前脳胞→大脳、間脳
中脳胞→中脳
菱脳胞→後脳、髄脳
一次脳胞では以上の部位に分化します。大脳、間脳は二つである一つの責任を果たしていると考えられます。また、後脳と髄脳でも同様のことが言えます。
二次脳胞
時間がたつと一次脳胞の領域が細かくなります。前脳胞が終脳、間脳、中脳はそのまま、菱脳胞が後脳胞、髄脳胞に分化されます。
終脳→脳半球
間脳→視床
中脳→中脳
後脳→橋、小脳
髄脳胞→延髄
二次脳胞は最終的に以上の脳部位になります。二次脳胞の時点で動物の脳の領域化は終了し、それぞれの領域が実装されて脳の部位が完成されます。
脊椎動物で脳の部位間のつながり、つまり脳の構造は等しくなっています。このことは二次脳胞が一般的かつ抽象度の高い構造であることを示唆しています。二次脳胞の領域化の後にそれぞれの領域を実装することで固有の脳に進化していくわけです。実際に、哺乳類と鳥類では脳の部位間の構造は等しいものの、大脳半球の中身は全く別の物となっています。ここで重要なのは大脳半球の中身は違えども、データのアウトプットは等しいことです。二次脳胞はオブジェクト指向言語でいうインターフェースのようなものと言えるでしょう。
結論
今回は胚子期の頭部の分化を考察しました。脳胞の領域化で脳の一般的かつ抽象度の高い構造を作っていることがわかりました。
次回は体幹部の考察をしていきます。良ければ見ていただけると嬉しいです。
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