【オンチェーン分析】Doodlesのマーケティング施策Doodles Certified Viralがどのような効果をもたらしているのか
こんにちは、ぐっさんです。
今日は珍しくNFTに関する、それもDoodlesに関するオンチェーン分析です。
Dune Japanを立ち上げたのもあり、今後オンチェーン分析に関する記事は、書いていく予定ですし、寄稿したりもしていく予定です。
オンチェーン分析について、もっと知りたい人は是非「オンチェーン分析のすゝめ」をご一読ください。
また、本記事でも使用しているDuneやDune SQLの使い方について知りたいという方は、以下のドキュメントをぜひご活用ください。
オンチェーン分析に関する寄稿の依頼は、下記のフォームあるいは僕のTwitterのDMなどからお問い合わせください。
Doodlesについて
Doodlesの紹介をそこまでする必要はないかなと思いますが、Doodlesは、2021年にローンチされたNFTプロジェクトで、NFTを追っている人なら一度は見たことがある特徴的なクリエイティブのコレクションです。
Doodlesの初期のコレクションは、Ethereumメインネットで発行されており、10,000枚の発行量です。Doodles以外にも着せ替え可能なDoodles 2や着せ替えアイテムの入手可能なGenesis BOX、アイテムを複製できるDooplicatorなどのNFTがあります。
Webサイトを見にいくと、NFT以外にもフィジカルのグッズも公開されています。
実はDoodlesはブルーチップの中では好きなプロジェクトで、Doodlesの1,000ピースパズルを購入して家に飾ってるくらいには好きです。
個人的には、フィジカルグッズの中でもパズル販売はIPのマーケティングにはめちゃくちゃ良いと思いました。
というのも、パズルって完成しない期間は、めちゃくちゃムシャクシャして、ずっとパズルのこと考えてるんですよ。なので、パズルを進めてる期間はDoodlesのことを考える時間が長くなるんです。パズルを完成させるのは大変だったんですが、その分思い入れが強くなるし、IPが好きになる。それにまんまとハマり、僕はDoodlesが結構好きです。
グッズ関連でいうと、Pudgy PenguinもWalmartと提携して玩具を販売してコレクションのトレーディングボリュームを伸ばしたなんてニュースがありましたが、やはりフィジカルに落とし込まれると愛着も湧くし、知名度も一気に上がります。
NFTというメディアだと分かりにくいですが、IP自体をどういうふうにディストリビューションするかという視点で考えると、NFTに縛られる必要は全くないので、今後もこういったフィジカルグッズの展開は強化するプロジェクトが増えそうです。
他にも最高ブランド責任者には、Pharrell Williamsが就任するなどブランド構築に力を割いています。最近ではDoodlesはMVも出しているんですが、そこにもPharrell Williams氏が携わっています。
Doodles Certified Viralについて
Doodles Certified Viralというのは毎週水曜日にZoraでミント可能なNFTを公開し、22セントでDoodlesのNFTをゲットすることができるイベントです。
大規模なオンチェーンIPでは初の試みだそうです。
先ほどの自分が実際に取り組んだパズルを使った施策は、IPを深くファンになってもらうのに対して、Doodles Certified Viralの施策は、IPをより多くの人に認知してもらう施策であり、DoodlesというIPのステークホルダーを増やすような施策といえます。
以前、自分の記事でWrapNFTという概念の可能性について言及したことがありますが、今回のDoodles Certified Viralの話は、非常に近いです。
記事の内容を簡単にまとめますが、Wrap NFTというのは、元のNFTに裏付けを持って発行されるレプリカのようなものです。
世の中のあらゆる価値あるアート作品やブランドは本物の流通量が少ないです。今でこそSNSがあるので、流通量が少なくても認知が取れますが、昔はそうではありませんでした。
なので、レプリカや模造品を流通することで本物を持っている擬似体験を提供することで、オリジナルの認知獲得をしていました。つまり、レプリカはオリジナルのディストリビューション戦略において非常に重要な役割を担っているのです。
この話はNFTにおいても同じでBlue chipのようなNFTで2万点程度しか最大流通量がありません。ここにWrap NFTを使ってレプリカを発行することでIPの認知を広げることに寄与するのではないかとという可能性を示しました。
今回はWrapのようなオリジナルのNFTを参照するわけではないですが、DoodlesのIPをより多くのユーザーにディストリビューションすることを目的としているので、話として近いと思っています。
Doodles Certified Viralの影響をはかる指標
2024年8月21日にスタートしたDoodles Certified Viralは、2024年9月7日時点ですでに147,832点がミントされています。
Doodles Certified Viralが、Doodlesに与える影響をどのように捉えるべきでしょうか。いくつか考えられます。
Doodlesの価値向上
Doodlesの価格推移
Doodlesのディストリビーションに関する効用
Doodles Certified Viralの発行量
Doodles Certified Viralの保有者数
Doodlesの保有者数とDoodles Certified Viralの保有者数の比
Doodlesの愛着獲得
Doodles Certified Viralのトークン保有量分布
Doodles Certified Viralのユーザーリテンション
上記の指標を元にダッシュボードを作成しました。
今回作成したダッシュボード:
Doodles Certified ViralがDoodlesのコレクションに与える影響
Doodles Certified ViralがDoodlesに与える影響に関するオンチェーン分析
Doodles Certified Viralの影響の全体感
作成したダッシュボードを元に分析をしていきます。まず、Doodles Certified ViralがDoodlesへの影響を考えるにあたり、前提の整理をします。
今回は認知拡大の施策ということもあり、Doodles Certified ViralはERC1155で発行されているため、1つのトークンに対して複数量を取得することが可能になり、ユニークトークン数と総トークン数という形で分けています。
つまり、1アカウントあたりで考えると、Doodlesは2.41個、Doodles Certified Viralは7.69個保有していることになります。
さらに、Doodles Certified ViralはDoodlesのホルダー数と比較して10.647倍(Holder_impact)のホルダーがおり、認知拡大という目的に則した数字が出ています。
Doodlesの流通量と価格への影響
次に、トランザクション数の推移を見ていきましょう。
下記のグラフにおいて、
棒グラフ:Doodles Certified Viralのトランザクション数の推移
線グラフ:Doodlesのトランザクション数の推移
を示しています。
正直この二つのデータにどれくらい相関があるのかは、もう少し統計的な分析をする必要がありそうですが、9月4日ごろなんかは、Doodles Certified Viralの保有者数が増えたタイミングで、Doodles の取引が増えているので、もしかしたら一定の相関があるかもしれません。
一方で価格推移とDoodles Certified Viralのトランザクション推移を見て見ましょう
下記のグラフにおいて、
棒グラフ:Doodles Certified Viralのトランザクション数の推移
線グラフ:Doodlesの価格
を示しています。
こちらはあまり相関がなさそうです。ただ、この施策はボディブローのように長期的にわたって効いてくると仮説を立てているので、1~2週間やそこらで爆伸びするとは思っていませんでした。
Doodles Certified Viralのトークン保有量の分布と継続率
先述した通り、今回の施策はERC1155で発行されているため1つのトークンIDに複数量発行することができます。あるユーザーに関しては1つのトークンに対して数百の量をミントしているということもありました。
各ホルダーごとに保有する合計のトークン量(例えば、トークンID 1で10個、トークンID 2で30個、トークンID 3で5個をミントした場合の合計トークン量45個)の分布は以下の通りです。
ほとんどのユーザーは1つのトークンに対して複数個ミントしないため、全体の88%のユーザーは10個以下です。10%のユーザーは10個〜20個以下、数%で20個以上といった分布です。
9月7日時点で、Doodles Certified Viralは3つ出ています。各トークンIDレベルで保有量を見ると以下のようになります。
3つのうち1つのトークンを保有しているユーザーが30,726アカウント
3つのうち2つのトークンを保有しているユーザーが9,123アカウント
3つのうち全てのトークンを保有しているユーザーが4,824アカウント
つまり、全てのトークンを取得しているのはユーザーは10%近くしかいないわけです。なかなか少ないです。
これはあくまでも仮説ですが、Doodlesにとって、この施策は毎週水曜日に新しいトークンが出るから、zoraにmintしにいくというユーザーの習慣化を作ることが重要だと考えています。
習慣としてmintするようになれば、それはもはやIPのファンです。パズル戦略においては接触時間も回数も多かった分、IPに対する愛着が湧いたのと同じ原理です。いわゆる単純接触効果というやつです。
しかし、なかなかこの継続率を見るとユーザーの習慣化というものがどれだけハードなものかというのが分かります。
この継続率という指標をもう少し深ぼって見たときに、ユーザーが参加したタイミングで見るとどうでしょうか。
Doodles Certified Viralを初回から認知しているユーザーと最近認知したユーザーでDoodlesに対する熱量は違います。
下記では、参入タイミングごとでユーザーの継続率を測っています。
正直現時点では、データが少ないため、なんともいえませんが、初回から参加しているユーザーと2回目から参加しているユーザーで次の参加に対する継続率に大きな差はありません。
しかし、初回で参加しているユーザーに関して、2回目と3回目の間での継続率に差はなく、ほとんど維持しています。
この施策は1週間ごとで新しいトークンが発行されるものの、過去のトークンがクローズするわけではないので、一部継続率が上昇することがあります。
まとめ
今回は2024年8月からスタートしたDoodlesの新しいマーケティング施策Doodles Certified Viralのインパクトを分析しました。
現時点でこのマーケティング施策の良し悪しの判断はできませんが、既存のDoodlesのホルダーの10倍以上のホルダーを獲得している点においては、DoodlesのIP認知の拡大には十分価値のある施策だと考えられます。
またデータが少ないため、今後、価格の変化や流通量などのDoodlesのコレクションに与える影響について要注目です。
Duneのスター集めてるので、今回作成したダッシュボードにいいねください。
今回作成したダッシュボード:
https://dune.com/gussan_0214/impact-of-doodles-certified-viral-on-the-doodles-collection#doodles-certified-viraldoodles
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