NFTの無期限先物プロトコルnftperpについて
どうも、こんにちは。Gussanです。
今回はNFTにおける無期限先物取引を可能にするプロトコルnftperpについての内容になっています。
筆者自身がトレーダーや金融出身の人間ではないので、訂正等あれば、是非教えていただければ幸いです。
本記事はプロダクトの紹介記事であり、投資を助言・推奨するものではありません。
今回も間違えがあったら、ご指摘いただけたらと思います。
無期限先物取引について
無期限先物取引について触れる前に、先物取引について触れておきます。
先物取引は、将来のある時点に、あらかじめ定められた数量の売買を行う取引のことです。代表的な商品としては農産物や金属、エネルギー資源などが挙げられ、価格変動のリスクヘッジとして利用されます。
ただ、ここで扱う先物取引は商品Aの現物をやり取りすることは考えておらず、約定日に売り手と買い手の差金分だけをやり取りする「差金決済取引」をベースに考えていきます。
また、先物取引は、満期日前に売買する反対売買と満期まで保有する2つのパターンが存在するようですが、無期限先物について話していく上では、反対売買の方がケースとして近そうなので、そちらをメインに話していきます。
例えば、10/1時点で$150の商品Aについて翌年の1/1に精算する先物取引をすることとします。
Aliceは、商品Aのロングポジション(買いのポジション)から始めます
Bobは、商品Aのショートポジション(売りのポジション)から始めます。
Aliceは商品Aの値上がり益を期待し、Bobは、商品Aの値下がり益を期待していることを示しています。
1ヶ月後の11/1に$100で売買したパターン
11/1の商品Aの価格は、$100になりました。11/1時点で決済されるのでそれぞれのポジションは以下のようになります。
Alice:$150で買い、$100で売ることになるので、$50の損失
Bob:$150で売り、$100で買うことになるので、$50の利益
2ヶ月後の12/1に$200で売買したパターン
11/1の商品Aの価格は、$100になりました。11/1時点で決済されるのでそれぞれのポジションは以下のようになります。
Alice:$150で買い、$200で売ることになるので、$50の利益
Bob:$150で売り、$200で買うことになるので、$50の損失
無期限先物取引は、名前の通り、期限を決めずに無期限で先物取引を行う取引のことを指します。一般的な先物取引は、決済日を決めますが、無期限先物の場合、決済日を決めずに取引を行います。
通常であれば約定日に強制的に決済されてしまうので無期限先物の場合、約定日の規定がないので、ポジションを保有することに対して長期的に持つことができてしまいます。そこで、ファンディングレート(funding rate:資金調達率)と呼ばれる現物価格と先物価格との乖離に応じて生じるコストを設けることで調整を行います。
nftperpについて
nftperpは、2022年5月に$17Mの評価額で、$1.7Mのシード調達を実施したNFTの無期限先物を実現するプロトコルです。2022年11月にメインネットローンチをし、現在Arbitrumで稼働しています。
nftperpの課題意識として
NFTにショートポジションからスタートすることができないので、値上がり益しか期待できない
値上がりを期待するにも、Blue chipなどの代表的なNFTが高価すぎる
これに対して、nftperpはフロアプライスに対する無期限先物を実現するとしています。
nftperpにより、
ホルダーは、自分が保有するNFTのダウンサイドに対するヘッジをすることができるようになる
トレーダーはNFTに対して少額からショート・ロングのポジションも持つことが可能になる
といったことが可能になり、NFTマーケットの金融化を促進させることができます。
nftperpの仕組み
nftperpは、Perpetual protocolがデザインしたvAMMを採用しています。
vAMMですが、virtual Autimated Market Makerと呼ばれるものです。
Liquidity Providerを必要としない
オーダブックなし
あるトレーダーの利益は、他のトレーダーの損失
というのが、大きな特徴になります。vAMMの具体的な説明は省略しますが、仮想的なtokenペアのAMMを実現するものです。
nftperpの場合、価格発見を以下の方法で行います。なおnftperpの取り扱うフロアプライスをTrue Floor Priceと呼んでいます。
主要なマーケットプレイスのフロアプライスからのオラクル情報
Opensea、LooksRare、Sudoswap、Blur、X2Y2の5社の情報を参照しています
ウォッシュトレードや取引イベントの種類を検出し、データの適格性を判断
データの適格性は以下の条件を満たす必要があります(Xはコレクションで異なります。)
プライベートセールによる購入ではないこと
1度のトランザクションで1NFTの取引されていること
同じトークンIDが過去X時間以内に取引が行われていないこと
ウォレットアドレスはX時間内にX回以上購入・売却を行なっていること
統計手法を用いた極端な異常値についてはフィルダリング
時間経過による変動分を考慮しながら販売価格を平均化した際に、その時点での平均価格から0.1倍未満あるいは0.9倍以上の取引価格の取引については異常値としてみなしています。
異常値を取り除いたデータ群からトリム平均、標準偏差、感度倍率をもとにさらに精査を行います。
最終的に正常値として取り扱うデータの幅をAPR(Acceptable Price Range)と呼んでいます。
時間加重平均価格
APR内の取引は適宜データに追加され、1時間に1度更新されます。
売上をサイズ順に並べた際の下位50%の売り上げを平均し、その値をTrue Floor Priceとしています。
まとめ
NFTFiの無期限先物プロトコルとして代表的なnftperpについて紹介しました。NFTのFinancizeの中で無期限先物は、とても重要なピースになると思います。
まだNFTの流動性が低い部分をデータ分析でかなりスクリーニングをしながらオラクルとして利用していることがわかります。一方で、NFTの価格をどこまで切り捨てるかというのは考える必要がなるかと思います。
Blurの台頭やSudoswapのような流動性を高めるプロダクトやオンチェーンの価格発見に役立つようなプロダクトが今後も増えていくことが予想されるので、注視していきましょう。
ちなみにBlurとOpenSeaのロイヤリティ戦争についても記事を書いているのでぜひ読んでいただけると幸いです!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
Twitter:Gussan