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『スパイダーマン:ノーウェイホーム』はマルチバースの入り口。

先日、1/7(金)に公開された映画「スパイダーマン:ノーウェイホーム」を鑑賞してきたので、備忘として以下に感想を残しておきたいと思う。

※本記事にはネタバレが含まれます。

本作品はMCU版スパイダーマン三部作の最後を飾る作品であり、スパイダーマンの成長を”やり直し”をテーマに描く物語である。前作の『スパイダーマン:ファーフロムホーム』からの続編であり、ミステリオ殺害の容疑をかけられ”スパイダーマン=ピーター・パーカー”が認知された状態から物語は開始する。

今作も大人にイジメ抜かれるピーターパーカー

本作品は日本に先んじて海外では既に年末に公開されており、ネット上での評価は『アベンジャーズ:エンドゲーム』並みの高評価であった。実際に作品を鑑賞する前に日本での評価にもざっくり目を通してから臨んだが、その中で以下のような感想を発見した。

前評判ではかなりの高評価であった本作でも、前作まで同様にピーター・パーカーは悪い大人たちにイジメ抜かれる。
考えてみればMCU版でのピーター・パーカーは高校生として描かれており、ヴァルチャーやミステリオといった悪い大人たちに常にいじめられているように思う。本作では高校生ゆえの思慮の浅さがとんでもない事態を招いてしまい、それが視聴者には最高の結果を、ピーター・パーカーには最悪の結果を産んでしまったように思う。
今までの”ホーム”シリーズでも苦労してヴィランと戦うものの、あまり報われていない様な印象を受けていたが、今回も例に漏れていない。

別次元からやってくる人々

今作は事前に噂されていた通り、過去にSONYから公開された『スパイダーマン』・『アメイジング・スパイダーマン』シリーズからスパイダーマン・ヴィラン共に次元を超えて参戦するいわば、実写版スパイダーバースだ。
ヴィランの登場は予告編でも公開されていたが、一番のサプライズはスパイダーマンの登場だ。メンター的立ち位置として登場しMCU版ピーター・パーカーの成長を促しながら、観客を大いに沸かせた。
これはヴィラン側にも言えることなのだが、MCU版のスパイダーマンにフィットさせつつ、それぞれのキャラクターを掘り下げて描くのがとても優れている様に感じた。特に、トビー・マグワイアとアンドリュー・ガーフィールドが年齢を重ねて、後日談として描かれていたのは巧妙であった。
『スパイダーマン』シリーズから参戦したトビー・マグワイア版ピータ・パーカーとMJとの関係や、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズから参戦したアンドリュー・ガーフィールド版ピータ・パーカーのグウェン・ステイシーへの想いなど、視聴者が気になっていたスパイダーマンのその後について違和感なく描かれており、素晴らしい作りになっていた様に思える。
また、ヴィラン側もうまくMCUに溶け込みつつ、各々の背景やスパイダーマンへの想いについてしっかり描かれており、最終決戦までの流れが非常にスムーズかつ違和感がないものに仕上がっていた様に感じた。


MCU版ピーター・パーカーのその後

残念ながら、MCU版のピーター・パーカーは今回もあまり報われない結果になってしまう。ネッドとMJの大学進学についての嘆願を考慮していない等、多少自業自得な面もあるが、その代償としてメイおばさんの死ピーター・パーカーの存在の忘却はあまりにも大きすぎる様に感じた。
『ヒーローは報われない』という様な台詞が劇中でもちらほら見られたが、元も正せばミステリオのせいで事件が起きているので、まだ高校生のピーターにはかなり辛辣な様に見えるし、終盤では独りよがりな決断をしてしまったようにも見える。
一方で、別次元のスパイダーマンとの友情や一連の事件を通しての精神面の成長も良い面としてある。全てを忘れたMJに何も告げずに店を去るシーンやクラシックなスーツを着てスイングするシーン等はまさにその象徴で、MCU版スパイダーマン三部作での成長巣立ちを感じることができた。
『スパイダーマン』シリーズのトビー・マグワイア版ピーター・パーカーの様に、JJJにコケ降ろされながらも正体不明のヒーローとしてしっかり活動する構図に戻ってきたのは、過去作の先輩スパイダーマン同様”親愛なる隣人”としての新たなるスタートを飾ったように思う。
新三部作の制作も決まっているようなので、今後のピーター・パーカーに大いに期待したい。

ラストのクラシカルなスーツ。

総括

MCU版のピーター・パーカーは他のスパイダーマン作品の中でも飛び抜けて幼く描かれており、アベンジャーズを始めとする仲間に常に助けられているように見えていた。しかし、ついに何もかも失って一人になってもなお、”親愛なる隣人”として活動を続ける彼の姿は間違いなく鉄の意志を持った一人のヒーローであろう。
これまでの”ホーム”シリーズで悪い大人たちにシバかれ続けながらも仲間と協力して進んでいく現代的なスパイダーマンも最高だったが、次回作から描かれる孤高のヒーローとしてのクラシカルなスパイダーマンにも期待したい。

本作は多方面から高評価を受けている一方で、ピーター・パーカーの成長の描かれ方には少し議論を醸し出しているようです。
一連のシリーズ作品としてはとても綺麗な纏まり方をしていると思うので、皆さんも時間があれば是非ご鑑賞ください。

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