![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/148118107/rectangle_large_type_2_0b7c6a13c936932150cd200bf542cbdc.png?width=1200)
中学生の頃。
- 修羅場 -
次の日いつも以上に思い足取りで教室へ向かう。
その日はもう登校前から、いつ保健室へ行こうか。
そればかり考えていました。
昨日の今日。色んなことが起こりそうな予感を考えつつ教室へ入ります。
まだ陽キャ軍団は来ておらず人数も少ない。
私は少しホッとし、さっさと支度を済ませノートに落書きを始めます。
私の席は一番後ろの席で、最悪な事に数日前行われた席替えで集団無視の主犯と隣の席に。
その主犯の前の席はアバターでした。
しばらくして周囲がざわついてきます。
一人、また一人と人が増えていきます。
安い香水の匂いが漂います。
彼女が来たことが分かります。
誰かと話しながらカバンを置き椅子に腰掛けます。
私は落書きに夢中になるフリをし、意識は耳に集中します。
すると
おはよー
と。確かにこちらに向けて発したような声がします。
そんなわけは無い。と思い聞こえないフリをします。
何描いてるの?
と同時に彼女の顔が見えます。
主犯です。
話しかけられています。
主犯に。
頭が真っ白になり全身に緊張が走ったのが分かります。
私は一瞬固まりましたが平常心。と言い聞かせ、
落書きしてるだけだよ。と言います。
すると彼女はふーん。と言いすぐに、
別れたの?と続けます。
私は来た。と思いました。
少し間を置き頷きました。
すると彼女が
残念だったね。と悲しげな顔で言います。
イラっとしました。
そんな事1ミリも思っていないくせにと。
同時に怖かったのも覚えています。
彼女が何を考えているのか分からないからです。
私はうん。とだけ言いました。
それと同時に鐘がなります。
ほっとしました。
数時間に感じた数分の地獄でした。
アバターはその日も遅刻でした。
その後何事もなくお昼休みに入り、私は逃げるように保健室へと急ぎます。
保健室に着くとアバターとDJがすでにおりました。
アバターは眠そうに机に突っ伏して座っており、DJはいつも通り音楽を聴いていました。
先生はその時不在で、DJが言うには会議で抜けているとの事でした。
私はいつも通り先生の机のそばの椅子に座り、こっそりケータイをいじります。
すると聞きなれない声が聞こえてきます。
アバターとDJの声もします。
急いでケータイをしまい目を向けると、そこには主犯とそのお友達。陽キャ女子がおりました。
あの時の絶望感はそれは大きなものでした。
「先生は?」と主犯。DJが「会議。病気?」と聞き返します。すると主犯が「◯◯がお腹痛いって言うから」と。
その子に目をやると具合が悪そうです。
するとアバターがムクっと起き上がり。
「ベッド空いてるよ」と言い指さします。
陽キャ女子はベッドにその子を寝かし、残った二人がアバターとDJと雑談を始めます。
私はその隙に出て行こうと思い立ち上がります。
すると主犯に呼び止められます。
「こっち」と隣の椅子を指さし座れと指示。
私は後悔しました。
先生がいない時点で戻ればよかったと。
争うこともできないので観念し座ります。
すると主犯が話し始めます。
「ねー知ってたー?」
私、アバター、DJ「?」
主犯「あいつ嘘ついてた」
アバター「誰のこと?」
主犯「◯◯だよ」
アバター「?」
主犯「あいつに騙されてたんだよね」
アバター「なんの話?」
主犯「だからー◯◯(私)が、あいつの彼氏を奪ったって」
私「?!」
アバター、DJ「は?どういうこと?」
主犯「◯◯(私)とメガネが付き合ったって聞いた時にあいつが泣いてて、どうしたのか聞いたら奪われたって言ってたの。てっきり彼氏を奪ったのかと思ってたら、単純に好きな人を奪われたって事だったらしくてさ」
私「...」
アバター、DJ「おぉ..。」
主犯「だからごめんね。勘違いしてた。あいつまじうざいわー。そうならそうって言えよ。なんか本当ごめん。」
といい私に手を合わせ謝る二人。
アバターとDJは状況が理解できず、私たちが実は喧嘩してたと思い込み、勘違いとか可哀想だろうがー。◯◯は何も悪く無いし。と突っ込みます。
私はただぼーっと戯れ合う彼らを見ていました。
中身の無い話に付き合い、ヘラヘラ笑って過ごし昼休みが終わりました。
教室に戻ろうとすると二人がついてきます。
すると二人が、
「ねートイレ行こうー◯◯(私)もきてー」
と半ば強引に連れて行かれます。
私はトイレで彼女らの身支度が終わるのを待ちます。
すると主犯が
「ねーあいつまじむかつくわー。」と言います。
するともう一人も「なんか大袈裟だしさー」と便乗します。
私は黙って壁のタイルを数えていました。
「もう喋るのもだるいから喋るのやめるわw」
「私もそうしよw」
二人が笑いながら確認し合います。
「ねぇ、◯◯はどうする?w」
そういうことか。そうやって始まるのか。
初めてそちら側に立った瞬間でした。
私は絶対にお前らみたいにはならない。
そう決めていたはずなのに。
頭では分かっているのに。
決断できない。
断るとどうなるのか。
便乗するとどうなるのか。
同じにもなりたくない。
敵にもなりたく無い。
頭の中が真っ白になって行くのが分かりました。
心臓の鼓動が全身に伝わってくるのが分かります。
「◯◯って誰だっけ」
精一杯、脳みそフル回転で搾り出した答えがそれでした。
それ以外私には浮かびませんでした。
すると二人は
「最高!」と笑いトイレから出ます。
どういう意味なのか。
私はどうなったのか。
私の出した答えは
正しかったのか間違いだったのか。
その後の授業に身が入るわけもなく。
気がつくと学校が終わっていました。
もう帰りたい。
何も考えたく無い。
そう思い急いで身支度をし教室を出ます。
すると後ろから
「◯◯ばいばーい」と聞こえます。
振り向くと主犯が手を振っています。
彼女の取り巻きが私を見つめます。
私は軽く手を振り小走りで教室を出ました。
その日はゴボウともアバターとも会わず真っ直ぐ家に帰りました。
私は罪悪感でいっぱいでした。
なんとも思わない。たったそれだけの事を何故言えなかったのか。
でも言ってしまっていたらどうなったか。
と考えながら1日が終わりました。