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フルタイム復帰がとても怖い


来月からフルタイムの仕事に復帰する。契約社員だ。仕事の内容はテクニカルサポート。どちらかというと事務寄りの仕事ではあるが、SE時代の経験を見越して給与を上乗せしてもらえたのと、雇用形態にも関わらず週数回リモート勤務ができる、というので今のパートをずっと何年も続けるよりは社会復帰にいいかもしれない、と思いこの度決断をした。


・今の仕事場について


雇用形態はパート。場所は家から徒歩10分のスーパー。受けた経緯は近隣に複数あるスーパーの中では一番感じがよく、食材も豊富で何より場の空気がいい感じがした。

実際勤務してみても人間関係は基本とても良く、誰かを悪く言ったりする人が自分の部署にはいない。ほかのパートさんも仕事自体が好きでここにいる、というより環境が良いので結果的に長く勤務している人が多い印象だ。時々理解に苦しむ同僚がいるものの直接やり取りすることはほぼない。仕事内容が難しすぎて悩むことはない。基本は単純作業だ。多分高校生でも1~2週間あれば大体のことは覚えられるだろう。

店長も圧をかざしてくるようなパワハラ要素はなく、基本的に温和だ。私が在籍している間に店長が一度異動し、新店長がやってきたがその店長も前店長と同じく、もともとこのスーパーにいた人で、売り場のこともよくわかっているのでパートさんに横柄なこともなくすぐ馴染んでいた。スーパーの店長はカレンダー通りに休めるわけでもないし拘束時間も長く、パートさん同士のいざこざがあれば出て行かなければならないので胃が痛くなる仕事だと思うのだが、長くこの仕事を続けている店長さんってほんとにすごいなあと思った。

・気持ちの変化について

妻としての人生に多くを求めなければこの仕事でもいいのかもしれない、と感じる方向に気持ちが傾きつつはあった。いわゆる無理せず細く長く稼いでいくパターン。夫も私が家事をしている方が仕事に集中できるので楽だ、と言ってくれてはいた(普通にありがたいことだ)。それに30代前半からSE時代の過酷な勤務体系とパワハラ上司&親会社、結婚したてのころに勤務した市役所と電力会社で遭遇した汚客様(そうじゃないお客様もいたけど)に心底疲弊していたので、仕事なんだから仕方ないと自分の身体と精神を犠牲にして働き続けることに対する疑問がとても大きくなっていた。その頃流産もして、ショックな体験が色々重なってしまった。大学を出て就職し、結婚して40手前まで職は変わったがほぼフルタイムとして働いてきて、所謂女性としてはよくがんばってきたほう、なのかもしれない(大手企業の営業とか総合職だと当たり前の光景なのかもしれませんが)。子どもこそいないが、それなりに働いてきたと思う。無理な生活がたたったのか、健康的に多少の不具合も出てきて、そろそろ自分をねぎらう進路をとってしまってもいいのではないかと考える自分がどこかにいたりもした。SEの仕事にしても誇りは持てていたと思うけど、基本残業・終電前提の過酷な労働環境のことを思うと現在のエンジニアブームの波には懐疑的で、SEは万人にお勧めできるような進路ではないと今の私は考えている。特に女子。

ただ前提として、今の環境は夫がいるから成り立っているだけで、彼に何かあれば私は本当に一人で生きていくことができなくなってしまう。神戸の実家に戻らないのであれば、容易に孤独な社会的弱者になりそうだ。それを考えるとそれでいいのだろうか。今だけを見れば確かに「楽」だが、今後の長い将来を思うとうっすらとした不安もあるのも事実だった。加えて私には子供がいない。今の生き方をするのが正しいのかどうか、わからなかった。そんな時転職サイト経由で一通のスカウトメールが届いた。文章がよくあるメールテンプレをそのまま張り付けたものではなく、採用担当者がある程度実際に自力で考えた上で、読んだ人の心に残るようなものに思えた。仕事内容はこれまでのSE経験がほぼ活かせそうなものだったので、試しに面接に行ってみることにした。

・新しい会社の面接


面接地は横浜だった。今まで地名として聞いたことはあっても始めて行く場所だった。大都会のお膝元の港町ということもあり、出身地の神戸と似ているのだろうか、という予感を抱いていた。自宅を出てバスに乗り最寄り駅から東海道線に乗って横浜で降りる。もっと遠いイメージだったが、電車は東京を通り過ぎてあっという間に横浜に着いた。都内のようにすべてがきれいで巨大な場所ではなく少しだけ地方の雰囲気のする駅。でも人は神戸よりはるかに多い。駅前にステンドグラスがあったりしてなんとなく文化の趣を感じる。海風の気持ちよさも「似ている」と感じた。懐かしかった。

・実際の面接について

面接自体は滞りなく進み、不快感や圧迫面接的なものはなかったと思う。普通に敬意をもって接していただけて、ありがたかった。最も気になっていた求人票記載の正社員登用の実績についても確認をすることができた。登用の実績は実際にあるが「当社のフィロソフィーに共感し、実業務を知ってもらって、お互い理解を深めもっと職業領域を広げたい、と思ってくれたら考えたい」とのことだった。これを読んでふわっとした回答…と思う方は多いと思う。まあ、でも論理的に変な回答ではない。つまり相性を重視しているのだろう、と考えた。社歴的にまだ立ち上げたばかりの段階なので、人件費も限られているだろうし、何より変な奴に投資したくないのだろう。お互い、納得できる取引をしたいのは労働者も雇用者側も同じだと思う。
私が敢えて契約社員なのも、30代前半の時のようなしんどい思いをするのはこりごりで、次に長く働くところはしっかりと環境を見定めてからにしたい、加えてブランクもあるという要因がある。正社員をもう一度この年からできるのか?という不安は、正直かなり大きい。もし環境が合わなければ一年で契約を解除できる。なので、ずるずると続けないのであれば、この取引は悪くないのではないか、と考えた。

・面接が終わった後

正社員登用については、もっと数値的に何人登用されたのか、というのは尋ねておくべきだったと思った。が、まず自分が社会復帰できるのかどうか様子見をしてみる意味でも最低1年間は勤務してみる、というのは悪くない選択肢かもしれないと感じた。そもそも関東で働いたことがないから、関西と商習慣とかも違うかもしれないし。やってみて、やっぱり駄目だったときにこれ以上自分を責めるようなことはしたくなかった。その時に正社員だと「こんな短期間しか勤務できなかった、自分は本当にダメな奴だ」と感じて二度と立ち直れなさそうな気もした。そういう意味では、今の自分にとっては相応というか慣れるという意味で、この企業さんなら大丈夫なのではないかと思った。でも決断の決め手になったのは横浜という町が神戸に似ていたから、かもしれない。面接は18時過ぎだったので、終わった後には定時帰りの人もたくさんいて、そこでも神戸でSEとして働いていた時の懐かしい空気を思い出した。もちろんリモートができるとかそういう条件面もあるのだが、案外そういう心理的な部分で人は進路を決めてしまうのかもしれない。

ちなみに業務内容はそれなりに面白そうで、スーパーとは全然違うが自分の経験が活かせそうなのは嬉しかった。お客様もホワイトそうだった。夫くんからのOKも出た。
今までやむなく事務の仕事をしてきてはいたけど、夫の転勤の都合と居住地が僻地で仕事がそもそもなさすぎた、という部分も多かったので、基本楽しくはなかった(人生勉強はできたけどね)。なので少しでもIT関連の仕事ができること自体は嬉しいと思う。電力会社に勤務していたときも、電力料金計算の仕組みとか実際のプラン変更時にシステムがどう動いていっていつDBに反映されるか、みたいな技術的うんちくを知るのがとても楽しかった。そのあたりはやはり私も元SEとしての職業病なのかもしれない。

・来月に向けて…

今は怖いな、できるかな、と考えている。人生の長い夏休みが終わろうとしていてそれも少し寂しい。出社前日は眠れるのかどうか。合う職場だったらいいな、と考えている。時間的な拘束の意味では私には子どもがいないけど、育休明けのお母さんの気持ちがわかる。絶対こわいよね。しかもお子さんがいれば、家庭と仕事の両立というのはもっとシビアにのしかかってくるわけで、自分の時間などないのは納得できる。フルタイムで小さな子供を抱えて働くお母さんは本当にすごい。

今のうちに出来ることは、簿記の試験があるのでがんばって今月中に受かりたいのと、少しでも前向きに考えたい。多分しばらくは時間もなくなると思うので、noteでこまめにアウトプットもするようにしたい。最初は大変かもしれないけど、コンフォートゾーンを飛び出そうと考えた自分を信じて、なるようになるの心持ちで入社までの残りの日々を過ごしていきたい。


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