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エイブリズムから考える『私が存在するためのアクセシビリティ』

こんにちは!UIデザイナーのORIと申します。
こちらはアクセシビリティ Advent Calendar 2024から執筆しています。
今回はアクセシビリティカンファレンス福岡2024に参加して知った「エイブリズム」から気づいた、私が存在するためのアクセシビリティを考えてみようと思います。

エイブリズムという概念との出会い

アクセシビリティカンファレンス福岡2024で、田中みゆきさんの「障害は乗り越えられるべき課題なのか?」というセッションを聞き、そこで「エイブリズム」という概念を初めて知りました。

エイブリズムとは、健常者を中心とした社会の価値観や構造が、障がいのある人々を排除してしまうことを指します。セッションを通し、自分が無意識に持っていたバイアスを考えさせられました。

心打たれた私は、同じく田中さんの著書『誰のためのアクセシビリティ?』も読んでみました。
その中で印象に残った言葉があります。

「アクセシビリティを広めるのと同時に、当事者がコンテンツを作る流れがもっと生まれなければいけないと思っています。」

この言葉について、もっと深く考えてみたいと思いました。

自身の登壇経験を振り返る

今年、私は「みんなに知ってほしい視覚過敏のアクセシビリティ」というテーマで登壇しました。

今まで他者に話したことのない、当事者体験を語りました。

多くの感想をいただき、その中のある方から「自分が障がい者という認識はなかったが、自分の中でアクセスしづらいことを考えるきっかけになった」という感想をいただきました。

これがとても嬉しかったです。

デジタル庁のウェブアクセシビリティ導入ガイドブックにもあるように、視覚障害、聴覚障害、発達障害、色覚、そして一時的に不便を感じる状況など、誰もがアクセシビリティの恩恵を受けてます。

「視覚過敏のためのWCAG」というタイトルのスライド。テキストは「今回は視覚過敏についてフォーカスしますが、アクセシビリティは万人のためのもので、必要としている人は数多く存在します。」と書かれている。その下に以下の例が箇条書きで示されている:視覚障害のある人、聴覚障害のある人、言語障害のある人、上肢障害のある人、発達障害や学習障害のある人、知的障害のある人、色覚特性がある人、高齢者、一時的に障害がある状態の人。
ウェブアクセシビリティ導入ガイドブックを元にした筆者作成のスライド

こうした感想を貰って、「だれもがアクセシビリティを考えることができる」ということを、改めて実感しました。

そして、だからこそ、「観客」としてアクセシビリティに関わるのではなく、自分自身のアクセスしにくいことを見つめ、だれもがそれを改善していく「プレイヤー」として行動できる可能性が平等にあると強く思いました。

偶然にも、そのような考えを持った内容を、登壇の最後にしていました。

「まとめ」というタイトルのスライド。中央に大きく「ここにいるみなさんにとってのアクセシビリティも知りたいです」と書かれており、最後に吹き出しマークが添えられている。
「まとめ」というタイトルのスライド。中央に「まだWCAGにないような、自分だけのこだわりや課題点の議論が活発になれば、さらに良いプロダクトが社会に増えるのではないか」と書かれており、「自分だけのこだわり」「課題点の議論」「良いプロダクト」という単語が緑色で強調されている。

デザイナーとしての想い

突然ですが、私はUIデザイナーとして働いている中で、ふと自分自身はなぜ作っているのか?を立ち返る時間があります。

それは、「どうして私はこの世界に存在しないのか」と「私は私を救うために作り続けなくてはいけない」という2つの想いから来ていると感じます。

小さい頃から、私は何かを作ることが好きでした。それは、目の前にある世界には、私が存在しないと感じたことが多かったからだと思います。

誰かのためを考えることから生まれるモノもありますが、私の場合、自分の中からしか生みだせません。たとえ誰かを思っていても自我は入るものと思います。

でも、誰もがクリエイターになれる今、それがいいと思っています。

「みんなが自分の中のアクセスしにくいことを共有し、コンテンツの作り手となり、デザインをしてほしい」というのが最近の願いです。

さいごに

補足として、言いたくないことは言わなくて良いし、最大限に個人を尊重したいという想いも強くあります。

私自身の意見としましては、今後もデザイナーとして、自分と向き合うことで、アクセシビリティの実現に貢献したいです。

そして、だれもがクリエイターとなり、自分自身や周囲のアクセスしにくい部分を考え、改善までに繋げられる環境ができることを想っています。


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ORI
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