【この頼りない背中からはいつか翼が生えて綺麗な夜空へ連れてってあげるから】①
『2人は合うと思うんだけどなー。付き合ったらいいのに、そしたら一緒に遊んだりできるじゃん。』
急に思い付いたのか、前々から考えてたのか、友達のタケが僕に言ってきた。
この会話から、僕の運命のベクトルはあなたに向いて行ってたのだろう。
今だから、そう思える。
高校3年の時、僕は専門学校へ進学を決めていたこともあり、大学受験組の殺気立つ毎日とは裏腹に、卒業単位だけは落とさない様、授業はちゃんと出とこう位のスタンスだった。
それまではバンド活動をしていたけど、進学や進路が県外に行くメンバーもいたことから、それをきっかけに高3の9月には解散した。
毎月ライブハウスに出演させてもらっていたから、ぽかーんと穴があいたようなそんな気分だった。
これでも他校からもライブに見に来てくれる位人気はあったんだよ。
友達のタケとは毎日自転車で通学するくらい仲が良かった。
帰り道は激安のうどん屋へ寄り道して、食べて帰るのが日課のようになっていて、
まさに、青春だった。
いつも待ち合わせているコンビニで、地理の先生が朝から缶チューハイを手に取っていたことは2人だけの秘密だった。
タケには長く付き合ってる彼女がいた。
あんまり話したことはなかったけど、目が大きくて可愛い彼女だった。
ある日突然タケが、
『お前とウユちゃんって合うと思うんだけどなー!』
急にどうした!?
と思った。
ウユちゃんは存在は知っていたが、ホントに知ってるくらいのレベルで、どんな人とかもほぼほぼ知らない位なのに、なぜまたタケはそんなこと言い出したのだろう??
疑問でしかなかった。
タケに聞いたら、タケの彼女とウユちゃんは仲が良く、タケと僕は仲が良く、2人の会話のノリで2人が付き合ったら良いのになぁーという感じで話が盛り上がり、実際にくっつけちゃおうぜ!!となったらしい。
まぁ、僕も彼女いないし、嫌いなノリではなく、タケの前では「えー!ちょっと待ってよー」みたいな感じでいたが、実際の所は何だかワクワクしている自分がいたことは、バレて無かったと思う。
タケの彼女経由で僕のメールアドレスを教えてもらい、メールをしてみた。
率直な感想というと、不思議ちゃんなのかな?という感じだった。
『私は博愛主義者になりたいの』など
よくわからなかったが、優しい人、自分のタイプになかった、とても綺麗な人だった。
バンドをやってたおかげで、僕の存在は知っててくれていたみたいで、ウユちゃんとの連絡を楽しみ始めていた自分がいた。
お互い紹介の様な形で連絡取り始めたこともあり、僕は勝手にウユちゃんにも彼氏はいないと思っていた。
いや、思い込んでいた。
学校では別のクラスだったが、棟が一緒だったので、休み時間にすれ違ったりする時に少し目が合うのもワクワクする感じがあった。
だけど、そのワクワクもすぐに終わりを迎えることになった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?