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中学校のプチヤンキー、書き初めで不正行為の巻

冬休みの宿題といえば書き初めである。私は筆が下手なので、母親に叱られながら、毎度憂鬱な気持ちで書き初めに臨んでいたものだ。

公立の中学校だと「よくないヤツ」が一定数いる。煙草を吸ってしまったり、先生に無意味に歯向かってみたり、けんかに明け暮れたりと、その種類はいろいろだ。

私が通っていた中学校にも「よくないヤツ」がいた。彼はもともとやんちゃで中学の時から喫煙していたとのうわさが絶えなかった。

ある冬休みの書き初めで、国語の先生から「下にお手本を引いて写したら許さん」と注意を受けたことがあった。
多くの生徒はちゃんと自分の文字で書いたわけだが、彼は明らかにお手本の文字を下にひき、ただなぞっただけの書き初めを提出したことがあった。

生徒の間では「よくあんなバレバレの書き初めを提出できたな」などと話題になったのだが、その「よくないヤツ」が書いた書き初めが学校内で「銅賞」として表彰されていたのである。

クラスに張り出されている彼の書き初めを見ると、確かに左下に「銅賞」を示すえんじ色の付箋が貼ってあった。
大概、書き初めが上手なのは物静かな女子である。
多動でうるさい彼の書き初めが銅賞というのでも笑えるのだが、小筆で書かれている名前は(お手本がないので)めちゃくちゃ下手なのも笑いを誘った。だれがどこからどうみても不正だとわかりそうなものなのだが、結果的に彼は銅賞を得たのだ。

先生たちがわかっていなかったのかわかっていてあえて選んだのかはわからないが、あの光景に憤懣やるかたなかった静かな女子たちも一定数いたのではないか、と思う。

こうした不正行為は、学校だけではなく世の中にもあふれている。
世の中ではそういった不正が横行し、そして場合によっては罪に問われるわけだが、不正を目にして「自分もあんな風に…」と羨望のまなざしを向ける人もいれば、「不正なんて許さない」と義侠心を抱く人もいる。

思えば閉じられた学校の世界ではあったけれど、社会にはびこる「ずる」をされて抱く心境を学ぶうえでは、実は学校とは社会の縮図そのものだったのかもしれない。

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