お盆
祖母が死んだ時、私はその体が冷たくなり、骨になり、煙になって海の彼方、風に溶けていったのを見た。
お盆には祖母の前で手を合わせる。
帰り道は、海を眺める。
そして、いつか私も煙になるんだと考える。
私は何者でもなくなって、全てから解き放たれて、風になる。
苦しみや悲しみだけではなく、愛や喜びからも解放される。
それは悲しいことではないと思う。
私はあらゆる全てに縛られている。しかし、縛られているからこそ今の意識の形を保っている。
あらゆる全てから解き放たれた時、きっと本当の意味で楽になれる。そう願う。
全てが辛くなった時、私は心の中で煙になって海の上の空を漂う。そうすると、少しだけこの世の中がどうでもいい夢の中のように思える。
いつか来る死は、形のない煙になってどこか遠くへ行きたい。
そんな終わり方をしたい。
いいんですか!私は遠慮しませんよ!