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幅厚比とSN400、SN490の違い【建築士試験】
こんにちは!ゼロ所長です。
今日は幅厚比と鋼の材質について考えるね。
こんな問題が出題されることがある。
柱・梁に使用する材料を SN400B から SN490B に変更したので、幅厚比の制限値を小さくした。
正解は・・・ 〇となるのだけど、なぜだかわかる?
知識ゼロの人が読んだら意味不明の文章だね。
一緒に考えてみよう。
幅厚比
幅厚比は、部材断面の幅と厚みの比率を意味するよ!
幅厚比の計算式は次の通りだ。
幅厚比=幅/厚=b/t
そのまんまだね。なんてことは無い。幅を厚みで割った値なんだ。
力学的な意味を理解できなくても、まずはこの意味だけでも覚えて欲しい。
ちなみに幅厚比だけじゃなくて、AB比という言葉は「AB比=A÷B」を意味するよ。
問題は幅厚比にどんな力学的な意味があるのか、ということだね。
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下図をみると幅厚比の意味がよくわかる。
左と右の図を比較すると、右の図の方が厚みが大きくてしっかりした雰囲気があるね。
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どちらの方が強そうか一目瞭然だ。
もちろん・・・左よりも右の断面の方が強そうだよね。
この違いを幅厚比の値で考えてみよう。厚みが大きい方が幅厚比は小さくなるから
幅厚比が大きい ⇒ (座屈に)弱い断面
幅厚比が小さい ⇒ (座屈に)強い断面
ということがわかるんだ。
つまり、幅厚比は座屈のしにくさを意味する値なんだ。
座屈の意味は下記を参考にして欲しい。
プラスチック製のものさしを手でつまんで、力を加えます。すると急に「ぐにゃ」と曲がります。簡単に言うと、これが座屈です。部材が圧縮力を受けるとき、急に面外にはらみ出し、材料強度より遥かに小さい値で耐力低下を起こす現象
要するに、細長い棒だと圧縮力でグニャっとなる(座屈する)けど、寸胴型の棒ならそうならない、ということだね。
そのグニャっとなるか、ならないかを数値的に表した値が幅厚比ということなんだ。
幅厚比の制限値
幅厚比が大きいと座屈しやすい、小さいと座屈しにくいのは分かったけど、キチっとした値が無いと大小を判断できないよね。
そこで幅厚比には制限値が規定されているんだ。
下図を見て欲しい。
左辺は幅厚比、Fは鋼材の基準強度を表している。tfはフランジの板厚、twはウェブの板厚、Dは円形鋼管の径だよ。
つまり、幅厚比は右辺の値以下になるように、部材断面の幅と厚みを設定するんだ。
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ごめんね。ちょっとややこしいよね。
だからポイントだけ覚えておこう。幅厚比の制限値は
235 /√F
と覚えておくとイメージが付きやすい。
F 値は材料強度というんだ。細かいことは覚えなくてもいいんだけど
400N級鋼材のF=235
490N級鋼材のF=325
だけは覚えておこうね。実際に計算してみると
√ 235 / 235 = 1
√ 235 / 325 = 0.848
となるね。つまり! 490材にすると、幅厚比の制限値がより小さくなることがわかるね。
これは490材では、より厚みを大きくする必要があることを意味する!
中々奥が深いよね。
丸暗記するだけじゃなくて考え方を理解しようね。
参考
最後に参考にした記事を掲載しておくね~。それでは~。
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