静定構造物と不静定構造物の意味、違い【建築士試験】
こんにちは!ゼロ所長です。
今日は静定構造と不静定構造について考えてみるね。
建築士試験でも静定、不静定、不安定、安定の問題は出題されている!
公式を使えば簡単に解けるけど、公式の意味、静定、不静定の違いを理解すれば間違いないね!
ところで静定構造、不静定構造の教科書的な意味を説明すると
静定構造 力のつり合い条件で反力が求められる構造
不静定構造 力のつり合い条件だけでは反力が求められない構造
なんだけど、わかるかな?
知識ゼロの人が読んだら意味不明の文章だね。
一緒に考えてみよう。
目次
安定・不安定、静定・不静定
まずはじめに、安定・不安定、静定・不静定を解説するね。それぞれ図のような関係性があるんだ。
それぞれの意味は下記の通りだよ。安定・不安定は専門用語というより、日常的にも使う用語だね。
安定(あんてい) ⇒ 荷重による、移動や転倒を起こさないこと
不安定(ふあんてい)⇒ 荷重により、移動や転倒が起きること
静定(せいてい) ⇒ 支点に生じる反力が3以下の構造物の状態。安定
不静定(ふせいてい)⇒ 支点に生じる反力が4以上の構造物の状態。安定
安定は文字通りの意味だね!動いたり、倒れたりしないことなんだ。
これを専門的にいうと「移動しない」とか「転倒しない」という言い方になるよ。
不安定はその逆!
静定、不静定は両方とも「安定している状態」なんだけど
静定 ⇒ 支点が1つ無くなると不安定になる
不静定 ⇒ 支点が1つ無くなっても安定のまま
という違いがある。
要するに、不静定の方が「より安定した状態」と言えるね。
言葉の語感から、何となく
静定構造 ⇒ 良さそう。
不静定構造 ⇒ あんまりよくない。
と思ってなかったかな?
実はコレ、全く逆だから注意しよう。より安定した状態の「不静定」の方が良いに決まってるね!
ちなみに、安定・不安定、静定・不静定の構造物をそれぞれ
安定構造物
不安定構造物
静定構造物
不静定構造物
というよ。それじゃあ、それぞれの構造物について詳細を解説するね。
安定構造物
安定構造物は、外力が作用してもすぐに壊れたりしない力学的に安定した構造物だよ。
当然だけど、身の回りにあるほとんどの建物は歩いたり物を置いても壊れたりしない。つまり、安定構造物だといえるね!
これを専門的に言い換えると、外力で移動や回転をしない構造物とも言えるんだ。
そして安定構造物の中には
静定構造物
不静定構造物
があることを覚えておこう。繰り返すけど、静定構造物、不静定構造物も安定した構造物なんだ。
それじゃあ、力学的にどうすれば構造物は安定するのだろう?
大切なポイントは支点にある。図のように、ピン支点が1カ所しか無い場合、梁は簡単に回転してしまう。
ここに支点を1つ増やしてみよう!どうなるかな?
なんと梁は回転しないで安定するんだ。
簡単にいうと、支点が多いと構造物は安定する。
支点に種類にもよるけど、ピン支点であれば最低でも2つは支点が無いと安定しない!
固定支点だと1つでも安定する。
以上を専門的に言い換えると「最低限、力のつり合い条件を満たす構造物」が安定構造物と言えるんだ。
ここでは力のつり合い条件を詳しく解説しないけど、下記のサイトの解説を転載するね。
興味のある人は下記を読んで欲しいな。
不安定構造物
不安定構造物は安定構造物の逆の意味だね。
いつも使う家を押すと動いたり、物を置くと建物が傾いたりしたら、どうだろう?
危ないね。
現実社会にそういう建物はほぼ存在しないけど、そういう構造物を不安定構造物という。
たとえば図の梁は両側がローラー支点になっているね。
ローラー支点は水平方向に自由に移動する。だから、水平の力を加えるとスケートみたいに、すーっと滑っていくんだ。
これは明らかに不安定構造物だね。
静定構造物
静定構造物は安定構造物の1つだよ。
力のつり合い条件式(ΣH=0、ΣV=0、ΣM=0)を解くだけで、支点に作用する反力を求められる構造物のことなんだ。
力のつり合い条件式から3つの等式がつくれる。
だから支点の反力数の合計が3つ以下の安定構造物は静定構造物になるよ(例外もあるけどね)。
静定構造物の例は単純梁とか片持ち梁があるよ。
見た通り、静定構造物は1、2つの支点だけで安定する構造物だから、もし、1つの支点が壊れたら「不安定構造物」になることは注意したいね。
ギリギリ不安定にならない、余裕の無い構造とも言えるかな?
ゼロ所長としては静定構造物は少し不安になるかな。教科書で問題を解く分には、静定構造物は楽なんだけどね。
不静定構造物
不静定構造物は、力のつり合い条件だけで反力を求められない構造物だよ。
力のつり合い条件式だけだと3つの等式しかつくれないから、反力の数が3を超えると、未知数の方が多くなるね。
簡単にいうと、支点が沢山ある構造物だね。
だから、不静定構造物を解きたいなら、力のつり合い条件だけじゃなくて、変形やエネルギーとか、その他の条件式も必要になるんだ。
不静定構造物には支点や部材が沢山あるから、1つの支点や部材がダメになっても力学的にすぐ不安定になるわけじゃない。
言い換えると、構造物に余力があるということだね。
少し難しいから余談だけど、不静定構造物の中でも、反力が余分な外的不静定構造物と、部材が余分な内的不静定構造物があることは、頭の片隅に入れておくといいかな。
安定・不安定、静定・不静定の見分け方
これまで安定、不安定、静定、不静定の構造物を解説したけど、実は、公式を使って、構造物がどれに該当するか判別できるんだ!
ごめん、最初に言えば良かったね。
この判別式を使えば下図のような構造物でも、機械的な計算で判別可能になるよ。
公式は下記の通りだ。
判別式: m=n + s + r - 2 k
n:反力数
s:部材数
r:剛接接合材数(部材が剛接合として繋がっている部材数)
k:節点数
上に書いた判別式を計算した値をみて、0より大きい、小さい、または同じになるかで、構造物の状態を判定できるんだ。便利だよね。
m=n+s+r-2k=0・・・静定(建物が安定している状態)
m=n+s+r-2k<0・・・不安定(建物が不安定な状態)
m=n+s+r-2k>0・・・不静定(建物が、より安定している状態)
不静定構造物のときの m の値を不静定次数というよ。
ちなみに、判別式が使えない構造物もあるから注意してほしい。でも、建築士試験の問題では出題されないと思う。
参考
最後に参考にした記事を掲載しておくね~。それでは~。