【備忘録】特急銀河で行く紀伊半島スタンプ巡り
人身でスタンプが押せなくなった。
『ICOCAでGO和歌山満喫ワクワクパス』を使って、
まだ押していない関西のスタンプを2024/09/09~12日の3日間で押しめぐることにした。
草津線、関西本線(大和路線)、桜井線、学研都市線、きのくに線の駅スタンプを完集するつもりだ。
まず乗ったのは京都駅5:32分発の米原行きで、草津を目指した。
草津では接続時間を20分とって駅のスタンプを押した。
8分停車のあった三雲駅、
7時から営業を始める油日駅
一旦戻って手原、甲西、石部と本数の多い区間を集めていった。
ちなみにXstamperの3駅はどこもインクが混ざっていて
綺麗に押したい身としては微妙な状態だった。
順調と思っていた矢先、琵琶湖線・膳所駅で人身事故がおきたことを手原駅知った。
朝は京都線からの直通便も複数設定されていたはずの平日ダイヤ、案の定5分~10分ほど乗る列車が遅れ始めた。
なんとか線内のスタンプを押し終えて、寺庄駅から柘植行きの列車を待つが時間になっても来ず、案の定10分遅れていた。
本来なら柘植駅に10:30に着き、加茂行きの列車と10分の接続時間がある。
そしてその時間内にスタンプも押すつもりでいた。
しかし、10分遅れとなると加茂行きの列車は乗客待ちしてすぐに発車してしてしまうだろうと予測をたてた。
予想通りでスタンプは押さず。
満足に押すには時間が短すぎるから
押すのはあきらめて次の下車駅・島ヶ原へ向かった。
「選んでくれてありがとう」
島ヶ原は加茂~柘植間の1時間に1本ダイヤの中で唯一行き違いを行う駅だ。
押してる間に両方向の列車が行ってしまって効率よくほかのスタンプを巡れないから、こういう駅は訪問するのに大きな決断を迫られる。
加茂行きの列車は11:08に着いて、乗る列車は12:08発の亀山行き。google mapを見ると近くに木津川が流れていて、大きな橋があるとのことだたので行ってみることにした。
古い駅舎を出て通りの坂を下ると四角い枠を作るように組まれた鉄骨造りの橋があらわれた。
なんとか乗用車がすれ違えるくらいの幅で、隣には歩行者専用の幅1メートルくらいのコンクリートの橋が架かっていた。
ふと川沿いに目を向けるとA4サイズの
「アイス キャンディー」の暖簾が風に揺られているのを見つけた。
店がある。
そう思ってその古そうな木造の商店に足を運んだ、
ガラス張りの引き戸を開けると店主らしき80代くらいの女性が誰かと電話をしていた。
気にせず中をお眺めた。
アイス、菓子、飲料、冷蔵品、消耗品、精米機
特に目新しいものはこれといってなかったが、
子供の頃よく見かけた駄菓子が並んでいてなんだかうれしくなった。
「気になるのはとっていいからね」
電話を終えた店主はそう告げた
「わかりました、ありがとうございます」
そう返して、もう少し悩んでからアイスとお茶を買うことにした。
「ここってどれくらい前からやってるんですか?」
「私が嫁いできたのが60年くらい前でそのころにはもうあったよ」
「昔は精米もやってて忙しい時もいっぱいあった。でも今は人もいなくなって暇なもんよ。」
そう憂い目に教えてくれた。
そして
「こんな田舎だけどうちのお店を選んでくれてありがとう」
そう伝えてくれた。
実は行程を作っていた時、効率よく回れないから、
行き違いの駅は嫌みたいなことを抜かしていたので、
こんな出会いがあることに静かに感動していた。
30分くらいしか時間はなかったけどこの町の風景、雰囲気が好きになった。
カメラを携えてまた行きたいと思えた。
堺市駅のスタンプにまつわる話
島ヶ原からは加茂・木津を経由して、
押していなかった桜井線の天理を回収。
学研都市線を大阪の京橋まで乗り、環状線から阪和線の堺市駅まで来た。
時刻は19:30分を回っていた。
ここではスタンプを押して20:07発の天王寺行きに間に合うように銭湯に入らなければならない。
(メインディッシュのWEST EXPRESS銀河はシャワー設備がなく、和歌山駅での60分停車の間に入れる銭湯などもないため)
この堺市のスタンプだが、1週間前にも阪和線に18きっぷを使って行っていたのだが時刻をしっかり確認していなかったせいで行けたのに行けなかった駅だった。
スタンプは改札外のみどりの窓口内に設置されているため大回り乗車でもスタンプは押せないため後回しにしていた。
ようやく押せるわけだが天王寺で普通列車に乗ってしまったが最後、
後の快速に2回も抜かれて10分もスケジュールから遅れてスタンプよりも風呂にはいることが優先になってしまった。
20時過ぎの快速で天王寺に戻ったら、5分後の特急はるか52号で京都までワープするつもりでいたから余計に焦っていた。
WEST EXPRESS 銀河・紀南夜の旅
なんとか堺市で20:07発の天王寺行きにも乗れて、無事特急はるかへの課金も成功して終点京都へ到着。(21:06着)
向かい側のホームには記念撮影をする人たちと夜空の様な鈍色をまとった117系、WEST EXPRESSE 銀河が停車していた。
車内放送をデッキで撮っていたら見覚えのある顔がこっちを見ていた。
「あっ」
「えっと、○○大学の、、、○○学部の、、、?」
「やっぱり??」
そう、こっちを見ていたのは2年前に退学した大学の同期だった。
実に会うのは3年ぶりくらいだ。
「チケットとれたのは知ってたけど今日とは思わなかった!」
前日に空席を見つけ、買ったことをXに投稿したのを見たらしい。
思わぬ再会に学校のこと、就活のこと、仕事のこと、いろいろ話した。
ひょんなことから銀河の車掌さんとお話しする機会があり、
和歌山停車中と出発後の4号車で同期と一緒に話を聞いていた。
特急(はるか)乗務なら300回くらいチケッタ―のスタンプを押していること。
車両の形式による乗務員室の冷房機器の有無や客室のおこぼれなのかとか、
窓の大きい283系は実は暑いとか、
銀河の担当区間とか前回乗務した時は同業他社の社員が乗っていて夜な夜なお話ししていたこと、
御坊から先は動物と接触する区間が多く、非常ブレーキがかかった時には狭い車内を運転席まで駆けていった話とか、
なかなか聞けない濃い話を聞かせてくれた。
その後はお開きになり席に戻って仮眠をとることにした。
実にカラフルな和歌山支社印
翌日、目が覚めたのは串本駅に着く5分くらい前の06:45頃だと思う。
何も考えずに車内をうろついていたら串本駅到着の放送が流れ、1時間の長い停車時間が始まった。
ちなみに外はまぁまぁな勢いの雨である。
この停車時間の間に、臨時バスで近くの観光スポットまで行くことが出来るが、あいにくの天気で行く人は少ないようだ。
当の自分はというと、目もくれずに改札外の駅スタンプへ一直線。
紫のインクが内蔵されているはずのXstamperの横には何とも怪しげな黒インクのスタンプ台が設置されていた。
試しにそのまま押してみると若干の紫色も残っていて、
やりようによっては自前の紫インクで本来の色を押すこともできるだろうと思った。
だがスタンプとインク台の後先を考えるとあまり良くない為、駅の方針通り(自前の)黒インクで押させてもらうことにした。
別のお客さんも押すタイミングがあったので譲りがてら常設の黒インクの状態を盗み見したらこっちもスカスカらしいので、悪い期待を裏切らない和歌山支社さんと言ったところ。。。
自前インクで押したのはこんな感じ。
08:07発の普通列車で紀伊勝浦駅へ先回りをして、20分の押印時間を確保することに成功した。
改札外にあるスタンプへ一目散。
ここも和歌山駅、串本駅と同じ和歌山支社の管轄なので紫色のXstamperが設置されているはずなのだが、
こちらは串本駅と異なり藍色のインク台を設置の様子。
(勘弁してくれ)
こちらも駅の方針に従って(自前の)藍色インクを使用して押印。
少し手こずったけど銀河が入線する前に押印完了。
普通列車に追い抜かれた特急列車に再び相まみえ、ラストの新宮を目指した。
印影はこんな感じになった。
さてさて京都からの長い特急銀河の旅も終点へ。
新宮駅到着は09:35で、朝に京都・大阪・名古屋から来る特急列車のどれよりも早い。
当然駅巡りもしやすいのだ。非常にありがたい。
というか午前中がすべて移動でつぶれるのは正直惜しい。
新宮駅も改札外にスタンプが設置されており、管理が行き届いていれば紫のインクが出迎えてくれる、、、はずだった。
そこに設置されていたのはなんと赤色。
デフォルトの紫色要素は微塵もない。
なにもつけないで押しても赤かったのであきらめて自前の赤インクで押印。
ひどすぎて何も言えないとはこのこと。
インクをゴムにつけて押すタイプなら色を変えても問題はないが、
インクが内蔵されているXstamperにそれはダメでしょう、、、。
その後、白浜、紀伊田辺、御坊と駅のスタンプを押したが、
インクがしっかりと内蔵されている駅がなかったのは残念だった。
「もうお客さんしかいないから前行っていいよ」
紀伊田辺から乗った普通列車を終点御坊で下車し、
紀州鉄道に乗り換えた。
ここは5駅ほどしか駅がない非常に小さなローカル鉄道で
途中の紀伊御坊駅にほかの駅のスタンプも集約されている。
本数も比較的多いのでアクセスはしやすいなと感じた。
降りたのは19:20着の西御坊行き。
乗車したのは最終の19:58発御坊行き。
十分な時間が取れて、じっくりスタンプを押せた。
「忘れ物はないですか?もしあっても郵送は出来ないので取りに来ていただく必要がありますからね。」
しれっと恐ろしいことを言ってくる駅員さんに「大丈夫です!」と応えて
暗闇の中レールに反射する一本の光が近づいてくるのを待った。
1両の列車が紀伊御坊駅と終点・御坊駅の間に位置する学問駅を発車した。
運転士さんが唐突に、
「もうお客さんしかいないから前行っていいよ」
と運転席と反対側のロングシート先端に座っていた自分に声をかけてくれた。
前面にかぶりついたことはなかったので、
言われるがまま進行方向の貫通扉の前へ。
それでもJRなら運転中の運転士に話しかけることは禁止されているので
流石にこちらから話しかけるのは気が引けた。
だが心配は無用だった。
「こんな田舎の短い路線に乗りに来てくれてありがとう!2.7キロしかない短い鉄道だけどまた来てくださいね」
と、スタンプを押しに通りかかっただけの人がかけられてもいい言葉のキャパを余裕でオーバーしてくる優しい運転士さんであった。
そして全面展望にかぶりついている傍らで、マスコンを握りながら紀州鉄道のことについて少し話してくれた。
JR(旧国鉄)が御坊駅を開業させた場所は市内の北部で、ほかの地域から利用するにはかなり不便な場所だった。
そのため地元の融資でこの紀州鉄道を開業させたとのこと。
当時はもう一駅西御坊駅よりも先に駅があったが廃止されたり、貨物輸送も過去には扱っていたこと。
紀勢線と紀州鉄道の間に渡線があり、行き来することも昔はできたこと。
今は駐車場になっている紀州鉄道御坊駅の横は貨物ヤード(今でいう貨物駅のような)だったことなど、
改めて到底スタンプを押しに来ただけの人に伝えていいのかわからないくらい貴重な話を直々に聞かせてもらった。
貨物ヤードの話が終わってしまう頃にはJRの線路が左側に現れ、ホームが近づいて行った。
合計わずか1時間にも満たない寄り道が今日一番の思い出になった。
今後も地元の人たちやマニアに愛される鉄道であってほしいと願った。
関西空港で乗り遅れた話
奇跡のような時間を紀州鉄道で体験した後は、御坊駅から20:26発特急くろしお36号に乗車する。
この日の36号は283系オーシャンアロー編成での運行で、新大阪寄りの先頭車は前面の大きい窓が特徴のグリーン車を連結していた。(銀河の車掌曰く乗務員室は暑いらしい)
関西空港への乗換駅・日根野で下車し、関西空港駅へ向かった。
関西空港駅では、開業30周年を記念してJRでは当時の復刻スタンプが、並走する南海ではラピートの30周年記念スタンプがそれぞれ期間限定で設置されている。
約20分の乗り継ぎ時間に対して悠長にスタンプを押していたら
乗るつもりの空港急行なんば行きをギリギリのところで乗り逃した。。。
危うく京都に帰れなくなるかとヒヤヒヤしたが、
JR東羽衣駅に寄り道をしつつ、最近お世話になることが多い京都行きの新快速で24:30に京都駅に到着した。
エピローグ
終電で帰宅するのは生活習慣に悪影響を与えかねないのでなるべく止めたいところだが、
うまくセーブできずフル出力で押し事へ出勤してしまうのが毎回のことなので、
押そうと思っていたすべてのスタンプに時間制限でもない限り多分直せない。。。
それにしても今朝は紀伊半島の果て・新宮にいたと思えば夜には京都に帰ってきているあたり何かすごいものを感じる。
京都・大阪・名古屋から特急を使ってどんなに早くても昼過ぎにしか着かない新宮へ9時台にアプローチしてスタンプを押しながら帰って来たのだ。
今回の旅で公式の和歌山支社印は全てコンプリートした。
ただ、広川ビーチ駅の観光案内所?に昔のスタンプがあるらしく今後それも回収しに行かなければならない。
そして、阪和線の東佐野駅。
ここは19時で駅員さんがいなくなるから後回しにしていたのを完全に忘れており押せていない。
次に紀州へ足を運ぶときはここの二駅へ必ず行くことを行程に入れたおでかけを計画しなきゃと思っている。
9月末で関西から撤退する自分にとってそれがいつになるのかは正直わからないのでなるべく早く行きたいところだ。
今回は紀州鉄道でおきたまさかの出来事が一番印象に残っていて、
今度はカフェでも探しに紀州鉄道や御坊へ足を運んでみるのも悪くはないかもしれない。