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ヘルメット療法について-医療ルネサンス-
こんにちは。
0歳からの頭のかたちクリニック大阪院の小児科医の松下です。
今回も前回に引き続き、2023年5月に読売新聞で連載された「医療ルネサンス」より、赤ちゃんの頭の形についての記事をご紹介します。全5回の連載中、今回は第4回目・第5回目の内容に触れ、私自身の感想についても共有したいと思います。
→第1回目・第2回目の紹介はこちら
→第3回目の紹介はこちら
第4回「ヘルメット療法 自己負担」(2023年5月11日掲載)
第4回では、生後2か月程度のお子さんが寝ているときに向き癖に気づいた親御さんが、ヘルメット療法導入に至るまでの経緯が紹介されています。
ヘルメット療法とは?
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赤ちゃん一人ひとりの頭の大きさ・形に合わせて作ったヘルメットをおよそ半年間装着し続けることにより、頭の骨のゆがみを矯正する治療方法です。頭のゆがみがあっても、軽症であれば成長とともに緩和することが期待されますが、重症の場合、治療をしたほうがよいケースもあります。
一方、本誌ではヘルメット療法は保険適用でなく、1人あたり40〜60万円の治療費がかかること、実施している医療機関が少ないことについても指摘。
当院の姉妹院である「0歳からの頭のかたちクリニック東京院」での治療の過程や田中院長のコメントなども掲載されています。
第5回「軽度なら成長に伴い軽快」(2023年5月12日掲載)
続く第5回では赤ちゃんの頭の形に関するさまざまな質問をQ&A方式で紹介・解答しています。
第1回で取り扱った「頭蓋縫合早期癒合症」の紹介や、その他の頭のゆがみの原因、予防方法、治療方法などの情報です。
これまでの内容を踏まえ、赤ちゃんの頭のゆがみには寝ている際の「向き癖」を作らないなどいくつかの予防方法はありますが、多少のゆがみであれば自然に治っていくこと、重症度によって治療が必要となることなどについて述べられています。
程度に応じた対応が大切
第5回目の記事にもあるように
赤ちゃんの頭のゆがみは成長とともに緩和することも少なくありません。
本誌でもニュージーランドの研究結果を取り上げており、頭蓋変形は生後4か月時点ではおよそ20%の赤ちゃんに認められますが、2歳時点ではおよそ3%まで減少すると記載されています。軽度の頭の変形であれば、向き癖対策を行うだけで自然と目立たないレベルまで改善することも少なくありません。ただし、重症度の高いお子さんにはヘルメット療法などの積極的な治療方法が提案されることもあります。親御さんとしても、お子さんの頭のゆがみを見つけたとき「自然に治るのだろうか」と不安に思い続けるよりは、医師の判断に応じて、治療を受けてみるほうが安心につながるのではないでしょうか。
一人で悩まず、まずはご相談ください
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赤ちゃんの頭のゆがみは、重症度や原因に応じて治療方針も変わります。特に胎児期や出生直後から頭蓋骨がくっつき、脳の発達に影響を与える「頭蓋縫合早期癒合症」の場合、発達などに影響を与える可能性もあるため、注意が必要です。当院では、赤ちゃんの頭の状態に応じて経過観察、ヘルメット療法のご提案、専門の医療機関への紹介などさまざまな選択肢を取り揃えております。
「赤ちゃんの頭の形が気になる」
「いつも同じ方向を向いて眠っている」など
気になることがあれば、ぜひ一度当院にご相談いただければ嬉しいです。
医師 松下 理恵