亜成虫
先日、ショーを終えて片付けをしているとカバンにカゲロウがひっついていました。
でもよく見ると何かおかしい。何か生気がないように見えます。
カゲロウの「抜け殻」でした。
こっちがパフォーマンスしている間に、すぐそばでカゲロウにも人生のドラマが起きてたんやな、などと思いながら、その時は帰路につきました。
帰ってからしばらくして、ふと疑問が浮かびました。
あれって何かが変だな、と。
というのは、抜け殻が「成虫」だったんですね。
理科で習ったと思いますが、虫って幼虫から成虫になるときに脱皮しますよね。だから抜け殻は幼虫のはずです。例えばセミの抜け殻みたいに。
こういう疑問があると、気になって調べずにはいられません。
結果、カゲロウには「亜成虫」という段階があることが分かりました。
通常、虫は幼虫→成虫と成長していくものですが、カゲロウは幼虫から成虫になる前に亜成虫という段階を踏みます。
亜成虫から成虫になるときにもう1度脱皮をするため、亜成虫の抜け殻が残ります。
僕が発見したのはこの亜成虫の抜け殻だったんですね。
疑問が解けると同時に、何となくこれって人生にも同じようなことが言える気がしました。
幼年期(幼虫)が終わって、20代30代になり立派な大人(成虫)になったつもりでいたんだけど、
そのあたりの年代に挫折が待ち構えていることも多くて、
それを乗り越えてやっと本当に成虫になれたとき、若い時はまだ亜成虫だったんだなって思い返します。
酸いも甘いも経験して、もうすっかり成虫になった気でいますが、もしかしたら自分はまだ亜成虫なのかもしれません。
脱皮を繰り返して成長あるのみですね。
カゲロウに人生を少し教えてもらえたような気がしました。