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米津玄師「死神」
熱狂冷めあらぬ燈幸でございます。
この曲をネタに話まで書いたのに気持ちが収まらぬ。ということで書きます。洗いざらい死神への思いをここに叩きつける。
ちなみに自分で創作した話についても触れながら書きなぐります。
死神レストラン
僕、怖い話が好きです。
米津玄師の「死神」は落語の「死神」が元ネタということで、その話のあらすじを検索して読んでみました。
簡単に話をまとめると、金に困っている男が死神に金儲けの話を持ちかけられ、医者のふりをして金儲けをするが、最後には金欲しさに死神を欺く。それに怒った死神は、男に短いろうそくの火を新しいろうそくにうつしてみろと言う。このままでは短いろうそくの火は燃え尽きる。だが、そのうつす火はお前の命だ、と言って。
読み覚えあるな~~でも落語なんて見ないしな~~どこで見たんだろうなあ。デジャヴ?
と、今日一日考えて気がついたわけです。
小学生の頃「怪談レストラン」という、世界中の怖い話を集めた児童書をこよなく愛して読みまくっていたんですよ。
なんなら今でも数冊持ってる。
そのシリーズの一冊に、死神の話を集めた「死神レストラン」がある。ぶっちゃけシリーズの中でかなり好きなものだったので所持してる。
帰ってから開きました。僕の知っている「死神」がそこにあった。小学生の時点で僕は、アジャラカモクレンテケレッツのパーを目にしていた。
曲の「死神」を聞いて思い浮かんだ話は、ここからきていたんだなと納得すると同時に、それを呼び起こすだけの力を持った音楽に感激する。
落語からさらに元をたどればグリム童話集の話なんだそう。確かに、死神という概念はとても西洋的だ。これが落語の話だというのに違和感があったくらい。
この「死神」の話はバリエーションがある。死神レストランにある「死神」のラストは、ろうそくの火をうつしかえたことに安堵した男が、ため息をついて火を吹き消してしまうというもの。
僕の書いた「死神」もこのラストにしようと思っていた。でもそれじゃあ物足りないなと、土壇場で死神直々に吹き消してもらいました。
嘲笑
嘲笑う。曲の「死神」には笑い声が入っているのもあって、曲全体としてこのイメージが強い。
なんで嘲笑う? 誰が誰に向かって?
それはタイトルの通り、嘲笑っているのは「死神」なんだろう。せっかく金儲けを助けてやったというのに、それを台無しにして死の縁に立ち、自分の命欲しさに足掻く人間のなんと強欲なことか。
愚かだと笑うのも頷けない? 僕の性格が悪いだけ?
ということで僕の書いた死神たちは、死の縁に追いやられ命乞いをする男を笑いものにする。愚かでどうしようもない。救いようがない。
歌詞では「プリーズヘルプミー」と何度も出てきますね。これが命乞いにしか聞こえない。誰か助けて、じゃなく死神に対して助けてくれと言っているような。
僕の「死神」
死神レストランを読み直してびっくり。僕の書いた「死神」、ここの話たちの寄せ集めじゃん。
死ぬ男が腕利きの医者で死神に疎まれているところは、「死神キラー」。死神たちの顔がいいところは「恋人は死神」あたりから来ている気がする。米津玄師の「死神」、僕の死神にまつわる記憶を全部引っ張り出してくれたのかもしれない。恐ろしいね。
この曲もなかなか語気の強い歌詞が多くてとても楽しい。
さあどこからどこまでやればいい
責め苦の果てに覗けるやつがいい
飛んで滑って泣いて喚いた顔が見たい
どうせ俺らの仲間入り
しびれるねえ。なんでか知らないけど煙草が吸いたくなる。
炎って、消えたら煙だけ立ち上るじゃない? だからかなあ。
毒々しく刺々しく、皮肉っぽく嗜虐的。でもだからこその楽しさがあると思っている。さあ死神になりきって嗤おうぜ。
僕だって馬鹿な人間のひとりだけど。