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2024年旅して、展示見た思い出

昨年に続いて個人的に変化が大きい1年で、アートを見るために行った旅行も多かった。いろいろな景色を背景に作品を体験できることはとても贅沢だった。以下開催順。

1. 第8回横浜トリエンナーレ 『野草:いま、ここで生きてる』
リニューアルした横浜美術館をメイン会場にした今回の横浜トリエンナーレは、ある意味コンパクトで見やすかった。社会の今の様相を捉えた作品がぎゅっと凝縮して並び、とても充実した濃い内容であった。個人的には、今までの横浜トリエンナーレの中で1番、とすら思った。
そう思えたのは、じわじわと、今年は台湾や韓国にも行って国際展を見てからである。韓国は光州ビエンナーレと釜山ビエンナーレ、台湾では、国立台湾美術館のアジアン・アートビエンナーレを見たりした。それぞれ国外のキュレーターを招いて、国際的な眼差しもありながら、開催国の歴史や社会的背景も多分に反映される。国際展も想像以上にドメスティックさがあるように感じたし、それでいいとも思った。
そのような後に、改めて今回の横浜トリエンナーレを思い出すと日本からその先の世界を展望できて、共感を持って見られる内容であったと思う。

縄文土器にまで遡っていた横浜トリエンナーレ

2. アートサイト神津島2024
アートサイト神津島は作家と共に島を巡り、彼らのパフォーマンスを目撃するツアー形式の展示というよりパフォーマンスであった。4日間くらいの会期中2日間参加したが、途中の「トレッキングの日」はみんなで神津島の天上山に登りながら、途中でパフォーマンスが起きるというもので、登山と雄大な景色と、ときどき発生するパフォーマンスはすばらしい体験であった。神々に近づいたようだった。夜はみんなで島の灯台に登ってほぼ暗闇の中のパフォーマンスを見たり、作家との距離もかなり近いけれど、やはりそれぞれのパフォーマンスは上演でステージがそこに立ち現れた。
春にたまたま大島に旅行行っていたこともあり、東京の島嶼部の魅力にハマった。大島の三原山、神津島の天上山も火山島で特徴的な地形で、厳しい登山せずとも絶景に出会える。併せて海岸もそれぞれ個性があって東京の異郷

ダンサー上村なおかさんのパフォーマンス

であった。

4. 鎌倉別館40周年記念 てあて・まもり・のこす 神奈川県立近代美術館の 保存修復
今年学芸員資格を取った。8月に学芸員実習を控え、まさにこの展示は必見と思って駆け込んだ。会期最終週で図録は売り切れ、無念だった。作品保存に関わる道具一覧の展示から、実際の所蔵作品の修復事例や額装についての工夫など、わかりやすく博物館の裏側を知れる構成であった。作品をコレクションしている身としては、作品がどのような箱にどのように梱包されているのかもとても興味があるのだが、そのような部分も十分に楽しめる内容であった。展示関連映像を素通りしがちだが、神奈川県立鎌倉館が閉館し、葉山館入り口へとイサム・ノグチ《こけし》を移送するドキュメンタリー映像には見入ってしまった。

5. 芸術激流2024
芸術激流はラフティングしながら川の岸辺の作品を鑑賞するというアウトドアとアートが好きな私としてはこの上ない最高のイベントである。私が大好きな国立奥多摩美術館が地元のラフティングスクールと組んで実施するという2022年に第1回が開催され、その時は、迷っているうちにチケットが売り切れた。今回は2回目ということで、すぐに申し込み!!仕事も休暇をとって参加!!
当日は、気候は最高で、ちょっと曇り空だったがラフティング日和だった。8人ボートで1人はインストラクターさん、本来はみんなで力を合わせて〜自力で進むみたいな感じのはずだけど、今回はインストラクターさんがかなりリードしてくれる、我らは言われたタイミングでたまにオールで漕ぐ、という超安心のラフティング!!途中、霧が立ち込める(スモークも焚いていた)中、岸の森から動物たちの声が聞こえる(音のインスタレーション)と呼応するように、川の中洲で狼の遠吠えをしている山川冬樹さんのパフォーマンス

は言葉にならない凄みを感じた。さらに、途中で関野吉晴さん(冒険家)が中洲で火を起こし、鹿肉を焼き、食べさせてくれるというのも最高だった。

開始前川の岸辺から作品の裏側を見る

3. DIC川村記念美術館 西川勝人 「静寂の響き」
DIC川村記念美術館話題の美術館、閉館前駆け込み…もありつつ、はじめて自然光のみでの展示があるというのに惹かれて行った。撮影禁止(涙)だったが、とてもよい展示空間だった。腰の位置くらいの低い壁が迷路のように空間を区切り、その台座面上に架空の建築物のミニチュアのような彫刻が置かれている。壁には空の写真が掛けられていた。日用品だったのかもしれない、どのように生まれたのか想像が広がる形が積まれて建つ建物ののような彫刻がどれもとてもよかった。確かに天気によって展示室内の空気が変化し、何度またはずっと見ていたい展示だった。こちらは来年1月26日まで、まだ、しばらく開催中。

見続けるても、まだまだ新しい感動に出会える。今年は転職し、アート界隈に近づいた。鑑賞者であり続けながら、いろいろな関わりが広がりますように。来年もどうぞよろしくお願いします。


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