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同時代のアートをみんなで楽しみ持続させる世界を夢見る
ちょっと簡単に自己紹介をしておくと、私のこの20年くらいの推しは「現代アート」(同時代に作られるアート作品)で、年間100以上のギャラリーや美術館の展示を巡り、23歳ごろから細々作品をコレクションするまでに至って、昨年とうとう仕事もアート関係の端っこに転職したような人間です。
今回 #推したい会社 は、それゆえ、もちろんアートに関連した会社です!笑
1. Funwow株式会社
株式会社Funwowは「現代アート友の会」としてアート(特に現アート)の鑑賞や、その先に作品の購入体験を支援するためのコミュニティサービスFunwow.artを展開している。
作品の背後にある深い意味や、作家の思考プロセス、そしてアートがもたらす新しい視点にじっくりと向き合い、深く理解する機会を創出し、より身近に、より親しみやすいものとして提供しようという試みだ。
Funwowが時間をかけて関係性を構築したギャラリーと協働してギャラリーツアーやアーティストトークを実施するなど、ギャラリーでの新しい体験を提供するイベントを継続的に企画している。
そして最も斬新なのが、対象のギャラリーを訪れることでポイントを貯められて、作品購入に使えるという仕組みである。
とても楽しそうじゃないですか?
2. 楽しいだけでは続かないが…
とても楽しそうなサービスである一方、収益の可能性が全然見えてこない!
そもそも、アート関連の市場は大きいとはいえず、まだまだ閉鎖的でもあり、マネタイズが難しい。
例えば作品を売るためのショールームとしてのギャラリーでの展示は無料なのが通常だ。その場合、作品が売れる以外での収入の道がない。イベントの場合は参加費が主な収入として考えるられるが、運営に関わる人数やイベントの費用に対して、大抵利益は期待できない。アートに関わる事業は、企業や公的な助成金によるものも多いのが現状である。
ラグジュアリー向けのサービスなら収入は期待できるかもしれない。資金を持っている人へのアドバイザリーやプライベートサービスなど。
しかし、Funwowが取り組んでいることはアートファンを増やし、作品を今まで買っていなかった人が買うようになる仕組みづくりである。
もちろん作品を購入したいと考えている人は多いと期待したいし、潜在的なニーズの掘り起こしが期待される。しかし、潜在的な欲望に対するサービスにおける収入となるとさらに難問だ。
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3. 希望を託す
株式会社Funwowの代表山口智己さんは、大学時代の先輩だ。なんとなくカルチャー好き同士で仲良くなって、横浜のアートイベントにみんなで行ったりした。2009年ごろのことだった。
私は、ずっと美術が好きで、その時は文化政策に興味があった。どうやったらアート好きをもっと増やせるのか。こんなにもおもしろい発想を持ち、ダイナミックな作品をつくる作家たちにテレビの芸能人のように、みんなが熱狂し、現代美術の展示に多くの人が訪れ、音楽のように、現代美術が大衆化したらいいのに、と想い続けている。
大学のときは、そんな想いを共有する友人は少なく、アート関係の仕事に就いた人も近くにはいなかった。
時は経ち、2015年のある日、途絶えていた山口さんから連絡がきた。
急に「こんなサービスつくろうと思うんだけどどう?」とアート関連サービスをつくろうとしていることを知り驚いた。あの山口さんが…?
4. 変わらぬ原動力が実を結ぶか
2015年からちょうど今年10年経つ。当初のサービス案からずっと形を変え、現在のFunwow.artがある。事業として成り立つよう、枠に捉われずサービスの形を模索する山口さんのまっすぐな気持ちに希望も込めて、ずっと応援している。
2024年末には、東京都が主催する創業予定者や創業間もないスタートアップ企業の基礎スキル獲得を支援することにフォーカスしたインキュベーション施設の「ASAC アクセラレーションプログラム」にFunwow.artが採択された。協働するギャラリーも増え、着実に支援の輪を広げている。
「大学写真部の先輩が現代美術作家として活動していて、食えるようになって欲しいんだ」と。山口さんの原動力は自分の大好きな先輩が作家として食べていけるような仕組みをつくりたいという想いから発している。
それもとても素敵だと思っている。
頑張って欲しい!!もっと知られて欲しいFunwow.art!!
Funwow.artコミュニテイーサポーター吉田覚子より