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藤原和博さんのキャリア本を読んで30代公務員が考えたこと

前回の投稿では、最近キャリア本をまとめて読んだきっかけや、読んだ本を内容別にマッピングした図などを紹介しました。

今回からは数回に分けて、読んだ本の中身を紹介していきたいと思います。さて今回は、唯一複数の著書を読んだ藤原和博さんの本をまとめて紹介です。
4冊の自分なりにポイントだなと思う部分を紹介し、最後に自分に落とし込んで何ができそうかというかたちでまとめてみたいと思います。

本論に入る前の完璧な余談ですが、藤原さんが『45歳の教科書』で行政マンの仕事ぶりについて深い失望をもって吐き出されたように書かれた「何が楽しくて仕事をやっているのだろう」という一文は、お恥ずかしながらも、今自分が転職を考えている背景となった行政キャリアへの疑問そのままでグサッときたところではありました。

それでは、ご紹介していきます。


自分の希少性をいかに高めるか

藤原さんについては、「民間出身者で初めての公教育機関の校長先生」ということは知っていたのですが、最近リクルートに関する本を読んでいたら、藤原さんが元リクルートだと知り、そしてamazonで調べたらキャリアに関する本を何冊も書いていたので、この際にまとめて読んでみました。

どの本にも共通して書かれている、藤原さんのキャリアに対する根底にある問題意識、それは「キャリアの希少性を高めよ」ということです。

AIがどんどん進化して、人が担っていた単純作業が奪われていったり、成熟社会において個別化・多様化しても、自らの希少性を高めれば価値ある商品やサービスを提供していける。
これが、今回読んだ藤原さんの本に共通して書かれていたことでした。

藤原さんのキャリア観の全体像をがっつりキャッチする一冊

それがよく書かれているのが下のリンクの本です。藤原さんの本では珍しくkindle unlimitedで読めるのですが、これに藤原さんの考えがまんべんなく書かれています。個人的には、藤原さんの本ならこれをはじめに読むのがお薦めです。

主張

  • AIの台頭にも負けず、多様な価値観に応える仕事をするには、付加価値の高い仕事をする必要があり、そのために自らの希少性を高める必要がある

  • 付加価値を図る目安は「時給」

  • 希少性は「スキルの掛け合わせ」でつくる

  • あなたの当たり前が、必ずしも他人にとってもあたり前ではない時代

  • 自分も、関わる他人も「納得する解」を出せるかが問われる

  • 社会に合わせて答えが次々変わるから、正解主義ではなく、「修正主義」に変わる必要がある。

  • 一つの正解に最短で辿り着く情報処理能力から、その時々で納得度の高い解を出すための「情報編集能力」への転換が必要。

  • 組織と個人、それぞれが持つエネルギーのベクトルの和の最大化を目指すイメージで、個人としても組織としても仕事をすることが大切。

方法

  1. 仕事の付加価値を高める(希少性はスキルの掛け合わせ)

  2. 信任のクレジットをつくる(信任が大きければ大きい仕事を任せられる)

  3. 情報編集能力を鍛える(ブレスト。ナナメの人の参加、絶対否定しない、バカなアイディアで頭を柔らかくする)

  4. 納得解を実現する


仕事の現場に落とし込む思考法が書かれた本

「さすがに100万に1人っていうのは途方もなさすぎて挫けそう」とタイトル負けしそうな方には、もう少し実際の仕事の現場で使える考え方が書かれているの本もあります。

主張

  • 全ての人は、どんな価値を重視するか、権力志向の二軸で分けられる4つのタイプのいずれかに分けられる

  • ただしそのタイプは流動的である

  • 7つの条件(基本の3つの条件とタイプ別の4つの条件)を満たせば、1%の人になれる

方法

  1. 自分が属する領域(タイプ)と仕事のベクトルの向きを見極める

  2. 各領域で1%の人になるための条件を満たしていく

特に個人的にはベクトルの軸の話は、いろんな人と仕事する時に少し意識していたことなので実感として腑に落ちましたし、ベクトルという図で紹介されたことで、より理解が深まりました。
そして、領域別では今の僕は、「D領域:公務員タイプ」で、明日すぐに転職するわけではない身としては、「組織の理不尽に耐えないという選択肢はない」という一文を見て、しっかりしないとなと思った次第です。。

30代向けの2冊

これは正直、これまでの2冊と比較するとあまりピンとこなかったですが、30代の後半戦、しっかりせなあかんなと背筋を正した本でした。
藤原さんのリクルート時代のキャリアの後半が30代なので、ご自身の経験と照らし合わせながら書かれているんだろうなということが、藤原さんによるリクルート伝記『リクルートという奇跡』を読むとなんとなくわかります。

主張

  • 仕事ができる人ほど偉くなり、管理職になると自分がしたい仕事ができなくなる

  • 30代は、40~50代をどう生きるかを考えなくてはならない

  • 30代のうちに「自分の技術とは何なのか」を決めなくてはならない

  • 会社の肩書なしで働く力を身に付けよう(覚悟と自覚があるなら「フェロー」という働き方がお薦め)

方法

  1. まずは組織の中で自営業者的にふるまうにはどうしたらいいかを考える(組織とパートナーシップを保ちながら、組織に寄って仕事をする個人)

  2. 会社の中で個人が目覚めるために大切なのは、会社と個人が互いに合意できるテーマを発見すること(会社と個人の両方が幸せになるベクトルの和を目指す)

  3. 「可視性」「共感性」「運動性」の3つが揃った事業やリアクションの針を、外部環境の変化を考慮しながら打っていく


この本のメッセージとしては、組織に縛られずに生きろ、ということだと自分は受け取りました。本の中で紹介されている「上司が最大のリスク」という言葉は、今自分がもう少しでマネージメント職という立場で職場を見る時によく感じることです。

キャリアの大三角形のことは「100万に1人〜」でも触れられていますが、45歳ということで、3つ目のキャリアをどこに打つか、という部分が少し詳しく書かれています。転職というよりは、リタイア後のキャリアも見据えた点の打ち方を意識して書かれています。

主張

  • 40代は仕事や生活で強制的なモードチェンジがやってくる時期

  • 「転職・起業」を「組織に留まること」のリスクは、40代半ば以上からは、ほぼ同じ

  • 成熟社会でキャリアを積むには、自分の価値観を持ち、それを表現していくことで、仕事を自分にピッタリな仕事にしていく

方法

  1. 3つのキャリアの掛け算で40代からの人生の基盤を作る(情報処理能力×情報編集力×基礎的人間力)

  2. 3つ目のキャリアをつくり、キャリアの大三角形をつくる

  3. 人生の自由度を高めるため、信用を積み重ねる。(信用=信頼×共感)

以上、本の紹介と簡単な感想でした。


まとめ:自分への落とし込み

藤原さんの本を読んで、キャリアを考える上でのいろいろな要素が提示されていますが、今回は「希少性」ということに絞ってまとめてみたいと思います。これ、今の自分は本当に低いですね。

地方自治体の事務職という、3年ごとに全く違う分野に転職するような異動を繰り返し、かつ仕事の内容は何でも屋みたいな働き方を普通に続けていては、希少性が高まらないなと思いました。
藤原さんが、希少性のモノサシとして提案している「時給」は、それほど低くはないですが、そもそも公務員の給料なんて能力とほぼ関係ないので、市場価値から水増しされているのでアテになりません。

と、悲観してみても始まらないので、希少性を高める方法を無理やり考えてみると3つくらいのことが思い浮かびます。

  • まちづくり×観光×福祉という役所の中のキャリアの掛け合わせで考える

  • 前職の民間時代に得た、建築士の資格とファシリティマネジメント(≒不動産管理)の経験をもう一度活かせないかという視点で考えてみる

  • まだ見ぬ3つ目のキャリアのヒントを得るために、まずいろいろアウトプットをしてみる(→このnote)

で、さっそくこうやってnoteを初めてみた、というところです。

ということで、今回は藤原和博さんの本から、キャリアのことを考えてみました。
藤原さんは今回はキャリアの本を紹介しましたが、ご自身が在籍していたリクルートのことを書いた本もとても面白く、むしろそっちの方が筆が走っています。ビジネスドキュメンタリー。
いつかこのブログでも、キャリア本以外のものも紹介したいです。

いかがでしたでしょうか。感想などコメントいただけれるとうれしいです。


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