バイデン政権のヘルスケア改革と今後の医療保険料の流れ
アメリカでは、バイデン大統領が就任した事によってヘルスケア改革が進むとされています。特に、2010年に当時のオバマ大統領がACA(Affordable Care Act)に署名した際の副大統領がバイデン氏だった事もあり、トランプ前大統領によって滞っていた、あるいは取り消されていた改革が、今回の大統領就任を機に再び動き出す流れとなっています。今回はバイデン政権が行う改革の方向性と、その背景にある医療保険料高騰の流れを整理し、今後の組織戦略を考える上での参考情報をまとめています。
バイデン政権のヘルスケア改革
時期は少し遡り、当時のバイデン大統領候補とトランプ前大統領が激しい選挙争いをしていた頃、バイデン側は「THE BIDEN PLAN TO PROTECT & BUILD ON THE AFFORDABLE CARE ACT」という指針を打ち出していました。この指針のポイントは、高騰する医療費を抑える事、保険の選択肢を増やす事、仕組みをより単純で分かりやすくする事となっており、以下の内容の実施を目指している様です。
a) 全てのアメリカ国民が医療保険を適正費用で利用できる様にする
• アメリカ国民の保険加入率を97%以上に引き上げる
• メディケア同様に公的医療保険に選択肢を持たせる
• カバレッジを増やすために税金控除額を増やす
• 低所得者へのカバレッジを広げる
b) 支払可能で良質な医療提供を目指し、分かりやすい仕組みにする事によって安心感をもたらす
• 全てのアメリカ国民に支払可能な新しい選択肢を持たせる
• 中間所得者層が保険料を賄える様に特別な税金控除を与える
• サプライズビリング(予期せぬ高額請求)を禁止する
• ヘルスケアの市場集中に取り組む
• 医療従事者と取り組み、費用を抑えより良質なサービスを提供できる様にする
c) 処方箋を製造する製薬会社の権力乱用を抑える
• メディケア用医薬品の値段交渉を回避できる例外を廃止する
• 非競争により、製造元が高額な発売価格を設定する事を制限する
• 全てのブランド、バイオテクノロジー、ジェネリックの医薬品のインフレによる値上げを制限する
• 消費者が国外のジェネリック薬品を購入できる様にする
• 製薬会社の広告費による減税を廃止する
• ジェネリック薬品を更に良質なものにする
d) ヘルスケアを特定の人の権利では無く全ての人の権利にする
• 女性が避妊を選択しやすい環境を確保し、憲法上の権利である中絶を保護する
• 特に有色人種に見られる高い妊産婦死亡率を低下させる
• 性別・性自認・性的指向に関わらず、全ての人がヘルスケアに保護される様にする
• 地域の医療センターに対する出資を倍増する
• メンタルヘルスに関する平等性を向上させ、メンタルヘルスケアの利用を促進する
今後の医療保険料の流れ
アメリカの医療保険は世界でも高額の部類に入ると言われており、近年では毎年約5%前後上昇し続け、2021年には5.3%上昇すると見込まれています。高額な医療保険料はバイデン政権の指針でも問題視されている通りで、アメリカの自己破産の主な要因は医療費とされており、実際に2019年は自己破産の要因の 66.5%が高額な医療費から来ているとされています。
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