少年の詩

ひととひとが出会わないと物語にならないというのは、残念なことである。
この空の下には不良在庫といえるほど、売り切れないほどひとがいるのに、我々は出会えないでいる。

この事実に、びっくりする。

こんなにたくさんのひとがいるのに！
「出会いがねえんだよ出会いがよオ！」

物語の登場人物たちはバチバチ出会いぐんぐん物語を転がしていくのは「スターウォーズ」かすきな皆様もご承知のことと思う。

バチバチ出会った末に！物語は陳腐なほどの縁と運で結末を迎える。それぞれの役割に見合った結末を。

実はサークルは小さい。

翻って我ら70億は、結末らしい結末も迎えられぬまま、死んでゆく。
ほくが10代の頃は「48億の個人的な憂鬱！」と歌われていた。30年ほどで、70億だ。セックスばっかしてんじゃねえ！

ひとが生きているということを緊密な意思で描いた今作に胸が震え、ユーモア、というか効果的なイヤミを吐き続けられるひとになりたいなぁと思う。

生きることに意味はない。言ってしまえばマヌケである。

だから、飽きねぇなあ。
さあ、沸騰するビートを！　
なにしろ乾いて候。

mixiのレビューより転載。
「天地に燦たり」
川越宗一
文芸春秋

★5つ