蒼のカリストが選ぶ好きなアニメアワード2020年版 第三部第3位
第3位 ダーウィンズゲーム
平凡な少年が危険なゲーム「ダーウィンズゲーム」に巻き込まれ、数多くの仲間と共に、大いなる敵、危険な罠、邪悪な謀略に巻き込まれていくことになりながらも、成長していくサスペンスダークファンタジー。本作は別冊少年チャンピオンにて、連載中の大人気漫画です。
本当なら、本作が僕の中での一位と思ってます。何故かと言いますと、魅力的な設定とキャラクターの数々に、二転三転するストーリー。そして、ダークな世界観と見れば見る程、蠱惑的な本作にハマること受け合いです。こんなに何度も観たくなるような作品は他にはないと思います。じゃあ、何で、3位かは、おいおい分かると思います。
そんな魅力的な本作について、語ろうと思います。
第一話 初陣 ファーストゲームが凄い
最近はアニメの第一話が一時間スペシャルが珍しくはないですよね。そもそも、30分でも、一苦労なのに、60分アニメを作るのは、当然、倍負担が掛かる為、中々に大変なんですよね。そんな中での本作はいきなり、ゲームは始まりました。
そんな中での一話はゲームに巻き込まれることとなる主人公・カナメは同級生に誘われ、何気ない気持ちでインストールしてしまいます。それから、消えていく同級生。いきなり、敵として、初心者狩りのバンダ君と闘うことに。
その過程で、またしても、親友キョウダが巻き込まれてしまい、仕方なしに巻き込まれるカナメ。何とか、交通事故で相手を倒し、ゲームに勝利したのですが、その場にいたはずの親友は消え、絶望にくれるカナメ。
この一話だけで、カナメの機転の速さやストーリーの展開の速さ、バトル作品特有の言葉回しから、異能バトル特有の力の使い方の上手さと理不尽なまでの戦闘描写と中二描写が多く詰まった本作の良さが分かり易い前半戦。そんなカナメの人間性が上手く伝わるのが、本当に見事と言いますか。
そんな後半戦はカナメとカナメの後のパートナーとなるシュカとの闘いが描かれ、スピード感溢れる展開が圧倒的。このゲームには異能(シギル)と呼ばれる力を中心に描かれており、この世界の根底に関わる力の詳細が分かるストーリーが描かれており、一段、燃える展開なのが、また良い。
最初は何も知らなかったカナメ、そんなカナメと命のやりとりを通して、急接近するシュカ。彼女の圧倒的な力に最初は苦戦し、ヘタレたりするのですが、自らのシギルに覚醒し、高ランカーのシュカを逆に圧倒し、勝利を収めることに成功します。
此処までの流れが気持ちが高鳴り、アドレナリンが止まりませんね。これ程の情報量と圧倒的なバトルシーンの連続が良い感じに停滞せず、ちゃんと消化出来るのが、本作の一番の魅力なんですよね。
アニメで重要なのは、1話と言いますが、その言葉を踏襲し、僕の中で完璧な一話を提供したと思われます。此処まで、完璧な導入は中々、無かったので、本当にこれは絶対に神アニメの予感しかしなかったですね。
これはもう、ワクワクしかないですね。そんな、最高の導入からの一話から始まった本作。それからも、中々に面白いお話の続きもお送り致します。
駆け引きがヤバい
本作の見所は異能(シギル)バトルだけに限らず、駆け引きも魅力の1つなんですよね。どんなに力が強くても、持ち手の思考や戦略で強敵に打ち勝つ爽快感が気持ちいいんですよね。そんな展開を一番感じることが出来たのは、第八話の平穏(フラジャイル)より。
このダーウィンズゲームは対人戦に限らず、イベントも開催しており、最初に開催されたのが、宝探しゲームというものでした。プレイヤーが全員、リングを所有し、そのリングを時間内に三つ所有するというゲーム。
どのプレイヤーも、只のバトルロイヤルと勘違いしているプレイヤーもいたのですが、実際はとあるエリアに隠されたお宝を見つけるというサバイバルゲームだったのです。この中で、カナメは後に大切な仲間となるリュージ、レイン、スイと言ったメンバーとの出会いやムフフな展開から白熱したバトル展開が続いたりと毎話毎話が見逃せません。
その中で、ようやく、このゲームの隠された謎を解き明かしたのですが、その場所に居たのは強敵であるクラン・エイスが陣取っていたのです。エイスと因縁深いリュージは敵討ちの為に命を張って、リーダー王を倒そうとしますが、相手にならず。腕を斬られてしまいます。絶体絶命の中、颯爽と現れたのは、カナメでした。
カナメと王は交渉します。それはカナメとリュージの無事と引き換えに、このゲームの報酬を与えるというもの。その為に、カナメは嘘っぱちの駆け引きで、王を信じ込ませ、見事、ゲームクリア報酬と共に王を出し抜くことに成功します。
この駆け引きが凄く面白かった。このゲームの報酬は銀行の貸金庫と言って、その鍵と称して、原付の鍵を投げ渡し、その隙に闘っていた場所の暗証番号付きの保管所にパスワードを打ち込むという安直でその場しのぎに見えますが、この駆け引きが素晴らしい。
それっぽい話しを信じ込ませる。担保はクリア。それだけで、此処までの嘘っぱちを作り上げ、そのように信じ込ませるだけの度胸と頭の回転の速さ。
それがこの作品の魅力で、バトル要素をより引き立てる心理戦含め、只の肉弾戦じゃないバトルの真髄がココにはあると思いましたね。
心理戦や駆け引きは当たり前ですが、とても、難しく、先の先まで、読んで、相手に遅れを取らないように、考えを展開させる。それが上手く合致しないといけない大変さをアニメで上手く表現しており、観ていて、ハラハラが止まらないんですよね。それだけ、この作品の持つ空気感が好きで、好きで仕方ないんです。
カナメとシュカ
昔はこうじゃなかったんです。昔は男女のバカップルを見る度に苛々とムカムカで、胸いっぱいだった僕。これから書くキリアスで色々変わるのですが、それはそれとして。そんなことがきっかけで、イチャイチャしている作品が好きになったんですよね。
その理論で、カナメとシュカも好きになりました。この時点では、シュカがカナメ大好きと歪んだ愛をぶつけてくるだけですが、今後の展開だと・・・。
それは別として、シュカ最大の魅力は完全にヤンデレなんですよね。好きなものの為なら、何でも尽くす。邪魔するなら、殺すという姿勢が気持ちいい。カナメにだけ見せる歪んだ優しさ。それは彼女の過去に起因するわけなんですけど、そういう優しさを向けられたいなぁと思う程、愛に飢えてるんですけど。
そんな偏愛を傾ける相手であるカナメは自分は何の力も無いと言いますが、バトル漫画の主人公宜しく、戦闘センスに鋭い洞察力と頭の回転の速さと内容盛り沢山の才能の塊系主人公。
一度も負けたことが無かったシュカを知恵と勇気で乗り越え、それがきっかけで、2人ともいい感じになるのですが、チョロすぎるだろ。
そんな今作で一番良かった場面と言えば、この2人のキスシーンですかね。このテーマの最初に書いた通り、SAOをきっかけに僕は変わってしまいました。
あの作品に出会って、嫌いだったものを好きになり、漫画とかのキャラが惚れ合う描写を心の底から、好きになってしまった。そこまで、人生を歪ませるような作品。それがSAOなのです。
脱線しましたが、その回は第6話「金剛(ハードネス)」より。
この回は宝探しゲームにて、離れ離れになってたシュカとカナメ。シュカサイドの話で、後に仲間になるスイに負けてしまい、地下鉄の水の中に閉じ込められてしまった。
カナメはそんなシュカを助けに地下鉄に向かいます。力に覚醒したカナメは彼女を助けに向かいます。何とか、シュカを見つけ、彼女を助け出しますが、息がありません。迷うカナメは彼女に人工呼吸を行い、ようやく、蘇るシュカ。
その後、シュカは目を覚ましますが、その後、再びキスを行うという流れが何て、ロマンチックなんでしょう。昔から、キスシーンが大好きなんですが、こういう危機の場面或いは危機を奪した後のキスシーンが大好きな僕にとって、この場面の尊さは計り知れないと言うか。言葉に出来ない。
そんな困難を乗り越え、シュカの過去を知ったカナメは距離を近づけるきっかけになるのですが、実にてぇてぇです。こういうサブクエを着実に乗り越えて行って、最後には美しい大輪の花を咲かせることでしょう。
どう見ても、シュカの偏愛で、カナメはこの時点では少しずつ、傾きつつあると言うか。確実にカナメもシュカが気になってないわけではないので、どうか、2期を宜しくお願いします。こんな感じで終わるには、とてもとても惜しい作品なので。
蛇足ですが、シュカ演じる上田麗奈さんのこういうヤバい女の演技好きなんですよねぇ。
蠱毒の王
宝探しゲームを勝ち抜き、修行を経験し、サンセットレーベンズを立ち上げ、劉 雪蘭との闘いを経たカナメ。
その回はアニメを見てくれ。しかし、カナメに悲劇が襲い掛かります。ヨウタがエイスに拘束されてしまい、代わりに指を贈られて来てしまいます。
怒りに震えるカナメをシュカを含むメンバーが慰めます。個人的にココのシュカはちょっとヤバいんですけど、おススメでございます。
それから、レインの手に入れた情報と共に、サンセットレーベンズの面々と借りて来たダンジョウ拳闘クラブから、イヌカイでエイスを滅ぼしに行きます。
その過程で、カナメは指を失ったヨウタに連絡を取り、彼にシギルを目覚めさせるように、促します。
その結果、彼もまた、このゲームに生き残る術を手にします。
それから、ヨウタとの連絡は一端、途絶え、スイとレインの2人は見張りの排除、イヌカイはケーイチと交戦し、なるべく、リーダーの王の邪魔を減らす行動を行います。
結果として、カナメとリュージの2人は何とか、彼らのいる倉庫に潜入に成功し、ようやく、再会を果たした王とカナメ。
しかし、時既に遅く、ヨウタは王に切り裂かれ、バラバラとなり、帰らぬ人となってしまいました。カナメの心は完全に再起不能となり、発狂してしまいます。
復讐に成功した王はその場面に白けてしまったのか、殺すことを決意し、手下に殺させます。それまで、人を殺すことに躊躇いを感じていたカナメが覚醒するきっかけとなってしまい、その手下は脳天目がけて、撃ち抜いたのでした。
カナメは悟りました。ゲームだろうが、現実だろうが、関係ない。この世界には内も外も無い。この世界には化け物しかいないと悟った彼はこれまでの甘さを認め、覚悟を決め、感情的だった表情は無くなり、何処までも冷徹で機械のような動作で、エイスを滅ぼし始めていきます。
その正確さだけで、敵を残らず排除していく姿は恐ろしくも、哀愁漂う哀しみを背負った姿に見ていて、心がとても、痛くなりました。
大体の主人公はその甘さを武器にしたり、剣心は殺すことに意味は無いと不殺を貫いてたりと色んな主人公の形がありましたが、カナメは邪道と言われれば、それまでですが、最も人間らしい覚悟の決め方だったと思います。
人は正しく生きれない生き物です。やらなきゃ、やられる。やられたら、やり返される。やられたら、やり返したい。それが人間の基本構造であり、それが人間としての本性だと思います。彼の行為は正しくはありません。だからと言って、否定は出来ません。やられたのに、やり返さない、そんな彼を許す。そっちの方がイカレています。考え方は人それぞれ、しかし、世間はこういうやり方を好みません。
それは同じケダモノになってしまうからです。そうなったら、最早、正義なんてものはありません。しかし、友を何人も失った彼の狂気じみた怒りを清算するには、これしかない。憎しみは新たな憎しみを産みます。しかし、カナメはどうすることも出来ない敵に対し、行った行為は間違いじゃない、間違いじゃないからこそ、哀しい。どうか、彼が救われることがあるといいんですけどね。
一方、シュカは王を誘い込み、王を手玉に取ります。力にずっと、過信していた王はそこそこ、調べていたらしいのですが、シュカのシギルに圧倒され、四肢を奪われてしまいます。
それまで、鎖のシギルと勘違いしてた王の予測を裏切るシュカのシギルは荊棘の女王(クイーンオブソーン)は紐状の構造物を自在に操る王級・念動系のシギルであり、鎖は言わば、クラピカのアレと同じ。
完全に手玉に取られた挙句、全てをレインにリサーチされていたこともあってか、奥の手さえも、バレていた王は完全に負けてしまい、逃亡してしまいます。
その先に待っていたのは、王を仇にしていたリュージとカナメ。敗けを認めた王でしたが、カナメが前回のゲームで手にした特権『勝者総取り(ハイ・ローラー)を行使し、相手も同額まで、払わせるという賭けを仕組んでおり、持っているチップを全て賭け、相手に同額までを「賭けさせる」勝者総取りの大勝負を仕掛けたことで、王率いるエイスは崩壊、同時にケーイチも消滅してしまい、彼らが持っているポイント全てを手に入れたカナメ達。
死の間際、王は前記してなかったのですが、レインとの会話で、このゲームは蠱毒であり、強い蟲を壺に入れて、最後まで殺し合って、生き残った蟲が最強の蟲を競わせるゲームなのではないか?王はその王こそ、カナメであって、自分じゃなかったと分かるや否や、カナメに彼也のエールというか、罵声を浴びせ、最期は2人の銃弾を浴びせられ、消滅していった王。
勝利をしたカナメですが、その表情は喜びではなく、どん底の表情の彼の表情。何も守れなかった彼でしたが、シュカは家族になったからこそ、無理しないで欲しいと懇願し、サンセットレーベンズの面々は改めて、気持ちを強め、同時にこのゲームを仕掛けたゲームマスターをぶん殴る為、このゲームクリアに再び、歩を歩み始めたのでした。
まとめ
この1シーズンを通して、思ったことはヘタレで優しかったカナメが多くの犠牲、絶望を通して、大人になっていく姿がしんどかったです。こんな大人になって欲しくなかったです。そんな彼だからこそ、シュカ含む、家族がいる。誰もが、色んなことに絶望した仲間達がいるから、カナメは何とか、なっていると思うと心が休まるような、休まらないような。
この作品は、正に理不尽な人生を体現するような話でした。その後、カナメはそんな犠牲を少しでも、減らせるように、また努力するんですけど、只のバトルものでは無い作風、世界観や設定、容赦がない位の残酷な描写含め、こういう作品を待ってた僕にとって、心にグサグサ刺さる素晴らしい本作となりました。
しかし、この作品はまだ始まったばかりなので、どうか、アニメ2期を期待せずには居られません。もっと、シュカやカナメの2人やその他のメンバーの活躍含め、今後の展開を期待せずにはいられませんね。そんな本作が気になった方は是非とも、拝見してみては如何でしょうか?