蒼のカリストが選ぶ好きなアニメアワード2020年版 第三部第4位
第4位 安達としまむら
第4位は安達としまむらです。僕の大好物である百合作品で、キラキラした青春と不器用な2人の友情と恋のお話。電撃文庫で好評連載中の本作は現在、10巻まで発売中です。
友達がおらず引っ込み思案な安達、人付き合いはするものの、薄っぺらな人間関係を築くしまむら。そんな2人は校舎の体育館にある卓球スペースでサボタージュしている所で出会います。
2人とも、似ているようで、似ていない2人は友人となり、絆を深めて行きます。その過程で安達はしまむらに恋に落ちます。そのことにはしまむらはもしかしてとは思いますが、気付いてはいません。
そんな、もどかしい青春群像劇を僕の視点で振り返ろうと思います。
しまむらの視点
しまむらは先ほども書いた通り、人付き合いはするものの、薄っぺらい関係でなぁなぁの付き合いで深い関係を築かない面倒くさがりな性格です。本当はやりたくはないけど、生きる上で必要だからと無理をするタイプのありふれた人間像がとても魅力的で何処にでもいるような人なんですよね。
そんなありふれた彼女と出会ったのが、安達でした。最初は何気ないお話をする位でしたが、徐々に話が進むにつれ、友情を深めて行きます。
しまむらにとって、安達は同い年の妹という感覚で、面倒だけど、遣り甲斐を見出していると言いますか。面倒見も良いしまむらはそんな彼女の挙動不審な行動に振り回されたりして。
旗から見たら、安達の愛故の行動をしまむらはおかしい子だなと心配する姿は姉であり、お母さんだったりと不思議な関係性がこの作品の魅力なんですよね。
個人的な主観ですが、しまむらがめっちゃ、好みなんですよね。ツッコミが的確なのが、面白い。この作品は会話劇で構成されており、ボケとツッコミの順序が軽快で絶妙なテンポが聴きやすく、とても、楽しい。
それでいて、誰かを傷つけない。悪い言い方で言えば、傷つけたらと面倒くさいと考えたりして、色んなことに悪戦苦闘する姿のしまむらがとても、愛おしいんだよなぁ。ルックスも勿論好き。彼女のモノローグもスキで、何とも、文学的で彼女の冷めた見方が等身大のスーパーマンでも、超絶ヒロインでもない。
色んなことに苦労し、学校という所が凄い好きなわけじゃないけれど、惰性でいて、何をどうしたらとか、考えるよりも、何となく生きているしまむらが実に愛らしいと言いますか。
安達の目線
そんな2人の関係性は物語が進むにつれ、深まっていきます。そのデートに誘うまでに、もどかしい思いを抱えながら、破れかぶれになっていくのが、また面白いんですよね。
物語は大体、その結果が全てなので、それに至るまでの過程が何とも、人間らしいと言いますか。
特に安達の迷いが鮮明に描かれており、喜ばせたい一心からの行為に奮闘するんです。クリスマスには、誘うまでにやきもきして、プレゼントを買ったり、チャイナ服で乗り込んだりして。
バレンタインではチョコをどうするかと占いを基に迷走するんです。最初の頃はあんなにクールだったのに。愛に目覚めたら、どうにも止まらないんですよね。
その中でも、消極的なんだけれど、積極的に攻めないと何処か、遠くに行ってしまうのでは?と言う不安を払拭する為に動く安達の奮闘が物語の中心で、それを温かく見守るしまむらの関係性がまた愛おしい。
これが百合作品の良い所なんですが、百合作品程、強調が強くないのも、魅力の1つなんですよね。
これが男女なら、気持ち悪いんだろうと感じるんだろうけれど、女の子同同士だから、可愛いし、ずっと観られるんだろうなと。
百合作品をちょくちょく読んでいるのですが、大体、1話から個性が強いんだよなぁ。その中でもあだしまはナチュラルに、自然な流れで百合になるのがね。
これだけ見たら、友情を育む姿がとても、尊い。これを男同士で見られないのが、まだまだ、僕の器量の無さがね。
そんな2人の関係に水を差す存在はヤシロです。謎の宇宙人を称する彼女の存在が話が進むにつれて、存在感を増していくことになります。
最初はお邪魔蟲だったのですが、じれったい2人の関係を変えていくきっかけになったりと話が進んでいくことになるんですよね。
こういうキャラを通して、無駄なキャラが居ないのが、この作品の良き所なんですよね。
日野と永藤
そんな2人に限らず、百合を展開するのが、この2人。まだまだ、アニメでは詳しい描写が描かれてなかったのですが、脇役の百合に興味がムンムンと湧いてしまいますわ。この2人の次回予告がまた面白い。
基本は優等生で、不良行為を行うあだしまとは違い、優秀な2人ですが、言動はふざけています。日野はおちゃらけて、ムードメーカーなのに、実はお金持ちで家の中で苦しんでいるという境遇があります。
あんまり、表には出していませんが、相当、家が好きじゃないようで、その所為か、日野の実家の精肉店で過ごしています。
そんな永藤は日野と幼馴染の関係。おっとりしていて、うっかり屋さんで、人の名前を覚えるのが苦手な彼女は序盤は安達の名前が分からなかったりとちょっと、ポンコツ具合が可愛いんですよね。
その中で、彼女がいちいち、もどかしい百合を想像する中で、スカッとする百合を提供してくれるのが、日野永藤の特徴なんですよね。
おでこにキスしたり、会話がコントのようで、いちいち可愛すぎる。2人の距離感が実に丁度良くて、とてつもなく癒しなんだよね。いつも、くっついていて、これなんですよ、これこれ。これが百合の良い所なんですよね。
女の子同士で仲良くて、距離が密に濃いのが、最高にテンションが上がると言いますか。
そんな2人の何気ない会話が仲良しと百合の曖昧な感じと掛け合いが最高に高鳴りを抑えられないんですよね。そして、入浴シーンもあるので、グヘへへへへ。
まだまだ、一期では片鱗しか見せてなかったので、果たして、二期でのこの2人の本気が観られるのかが、楽しみですねぇ。
成長
クリスマスやバレンタインを超えて、春の新学期を迎えた安達としまむら。そんな2人の関係に変化が訪れます。最初は驚いて、飛び跳ねてた安達ですが、しまむらに新たな友人が出来てしまい、中々、近づくことが出来なくなり、再び、不登校になってしまいます。
一方のしまむらはクラスで新たな友人ですが、名前も知らず、あだ名のみが先行するような薄っぺらい関係を作ってしまい、それまでの安達との関係性と違い、心に不和を生じてしまいます。その隙を突くように、現れたのは小学校時代の幼馴染である樽見でした。
彼女は小学校の頃までは仲良しでしたが、中学生でお別れになってしまった経緯がありました。2人は偶然、再会を果たし、樽見はしまむらとの時間を取り戻そうと遊びに行こうとします。
楽しそうな樽見を他所にしまむらは、違和感を感じてしまいます。樽見はしまむらとお揃いのストラップをプレゼントしたりしますが、これは友愛の証なのか?それとも?
その過程で、安達に対する思いを吐露したりとしまむらにとって、一生懸命にぶつかる彼女の姿に心が動かされていることが伝わる回でしたね。
空気だけで、1人になりたくないから、その場の雰囲気だけの形だけの付き合いじゃないからこその関係性に心惹かれるしまむら。
一方の安達はまた1人になってしまい、誰も居ない卓球スペースに行くのですが、しまむらへの思いを抱えながらも、一歩を踏み込めず、悶々とすることに。
仕方なく、街中を1人彷徨い、街中で樽見に遭遇したりとずっと、愛に苦しむ安達。そんな中、安達は占い師に出会い、アナタには思い切りが足りないと逃げない勇気を貰います。
此処で叫んだりする場面は如何にも、青春らしくて、好きなんですよね。そして、色んな葛藤を超えて、安達はしまむらの手を取り、再び、友達に戻ることが出来ました。
学年も変わり、クラス替えでダメになる人は多いですよね。僕もそんな感じでした。その中でも、こんなありがちでリアルで生々しい感じが好きなんですよね。
高校生にとって、この世界が全てで、宇宙なんですよね。だからこそ、色んな不和や不満、葛藤、苦悩に苦しみ、色んな理由をつけては、逃げたくなる日々。ぶつかることって、力を使うから、嫌になることばかりで、もしかしたら、傷つくだけかもしれません。
しかし、最近思うのは、此処で逃げてると逃げ癖がついて、ダメになってしまいます。まぁ、高校生でそれを求めるのは、難しいんですよね。だからこそ、ちゃんと向き合おうとした安達とそんな手を取ったしまむら。この関係性がまた一歩進むのが、最高に好きです、好きです、好きですわ。
まとめ
そんな不安定で安定しない青春群像劇であり、百合として展開される安達としまむらですが、この作品を実は中々、こういうの買わない私が1巻と2巻購入しました。勿論、最終的には全巻揃える予定デス。
それ位、この世界観に埋没してしまう位、面白い本作。その他にも、OPENING、ENDINGも最高でゆったりした劇伴含め、2期を絶対にやって欲しいと心底、思える位の名作でした。
数多くの百合作品をずっと、追いかけて来ましたが、これだけ、応援したくなるような世界観と空気感、言い回し、キャラの造形美は中身と色んな要素が詰まったあだちとしまむらをどうか、応援宜しくお願いします。