エッセイ「長夜」

心の中で、あなたに逢うことができたらいいのに。自分が、自分がっていい加減に蜃気楼を纏う。消えない悲しみも、人生も。ずっとずっとこべりついている空気が気持ち悪くて、自分がこの枠から外れてしまうことが怖いんだ。誰もが人生を歩んでいる。心からいつでも、幸せになりたいと思っている。何度祈っても、何度誓っても、いつもうまくいかない。大げさでも何でもないけど、幸せって何なんだろう。

この星に何ができるんだろうと自分に問う。言葉足らずで何もできない。音楽も弾けないしスポーツも何もできない。生きている意味なんてあるのかなって少し思う。消えてしまいたいって泣きわめいても、何もうまく行かない。いつもいつでもうまくいくなんて、そんなことはあり得ないけどさ。全てがぼやけて見える。奇跡であふれている。涙で繋ぐ、この人生だから、あなたの名前すらも詠んでいてもいい。

これ以上でもこれ以下でもない。人生なんてちっぽけな感情の集まりだ。そもそも生きるって何なんだ。なんでこんなに自分が苦しまないといけない。天文学的な確率で出会ったからと言って、その人に運命を感じて何になる。闇をひきつけ、騙されて心を壊される。小さくても大きくても、直感で分からないことは分からない。漠然と愛を感じて、伝えあっている愛を重ねている。偏桃体で頷いた日曜日。これは祝日でも何でもない。人生なんて、言葉だけでいい。幸せになんか、成らないでいい。

幸せになりたいと思っても、何かが自分のことを曇らせる。世界は何も変わっていないじゃないか。僕が居た頃と、何が違う。何が変わったんだ。何を変えたんだ。相変わらず苦しんでいる人間はいるし、何もうまくいかない。障害は重なり、障壁は立ちはだかる。幸せを期待しても、何も起こらない。それならいっそのこと、何も期待しないほうがいいんだね。そうだよね。人生は何も起こらない。何も、何も。

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愛は猫の眼
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