遊泳飛行、禁止。

普遍的な言葉では終わらない、力強い何かがそこにはあった。真昼に眠る感情を少しずつ汲み取って、汚れを落とすように、何かを掴むように。簡単な毎日を繰り返しているだけなんだと、言ってしまえば簡単で、それでも抗いたいと願うことが、きっと人生というもので。

でもきっと僕たちは、遠くに見える光すらも追えないまま、人生を終えるんだろう。それは足元に咲いたいろいろな光の中をいい加減にあしらって、言わずと知れた連載漫画を写し取るだけなんだと。ここにいることが僕にできる最大限の抗いなんだと。誰かが見つけてくれればそれでいいんだと。

口だけの人間にはもう飽きた。心まで浸食されて、何者でもない言葉を携えて生きていくことの、何が楽しいんだ。生きづらいことは紛れもない自分のせいだと、なぜわからないのだろうか。

何かを生み出すことは、自分を満たすことに通ずる。普遍的で、終着点がお金になる世界で、知識を付けても自己啓発をしても何も生まれないことを僕は知っている。ただ一度だけ、あなたの心をおしまいにすればいいと願うことは、別問題なのだろうか。歯止めが利かない表現の世界で、こうして息をしているだけで荒んでいくのを止められる。

他人なんてどうでも良いと、飛び込んでも自分だけじゃ満たすことができない夕暮れだから、あなたのことなんて変えようとも思っていない。手を伸ばしていけないところに行くんだと。夜空の星に小さくなって、ただ好きと言うだけでいいのに。尾ひれを揺らして藻掻いている金魚のように、紅く存在するだけで、生きていることが肯定されたらいい。

荒んでいる心を戻っても顧みない。ただ必死になって泳いでいく世界で、何を得ても何も得られない。紙切れ同様の人生になるかどうかなんて、僕にしか決められないんだ。救うために書いているんじゃない、掬われるために書いているんだ。甘いだけのケーキはもう終わりだと。鼓動が早まっていく世界で、息継ぎを賭けて戦う。

膨れてしぼんでいる。世間から見てもいい加減にすればいいと言っているんだろう。小さくも大きな世界で、僕たちは今を、泳いでいる。

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ウミノシンイチ
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