信号機、歯止め、赤い星。

中心からだんだんとずれていく。ここではないどこかへ、行きたかったともいえるし、違う世界で今でも生きているとも語ることができる。会見で何を聞かれても、僕は何も答えるつもりはない。人の痛みなんて、きっとあってないものだから、僕は僕のために綴っている。結局は紙切れか。蔓延る隙間に僕たちの爪痕、つまりは芸術を刻んでいる。その同志を見ることが、一番幸せで、一番幸せで。老いて行く世間、死んでいく世界、でもきっと、僕が残したものは永遠に残るのだ。詩人が死んでも、詩が残るように。どっちでもない、どっちでもいい。それだけ世界はどうでもいい。

自意識過剰、上出来だ。呪っている世界、死んでいく世間。取り乱す世界を僕はただ茫然と見ているだけ。信号待ちで、蒼に変わった瞬間進む世間。僕は青い空に身を任せて、空に溺れる。深呼吸して体を感じて、世界を謁見して、小さく頷いて、小さく死んでいくだけ。誰に見つからなくてもいい、誰が生きていてもいい。僕は僕で居るだけで、この世界も優越感に浸るために用意されたものなんだから。

ぼろぼろまで荒んでいても、自分だけは自分のことを分かっている人間でありたい。孤独がほとばしる世界、世間、一般常識、テスト勉強、受験、石。胸が痛んでいる植物たちを背に、僕たちは電子機器に根を下ろしている。ただいま、と言っても、誰も来てくれないように、この世界には自分しかいない。だから、あなたのためだけに生きればいい。もし、君が進んでいないのなら、世界は進んでいない。もし、あなたが進んでいるのなら、世界は進んでいる。ただそれだけなんだと、知っているのは僕だけか。

生み出すことが人生。ならば人間は終わりだな。何も生んでいない、ただ消費しているだけ。空を見上げることも、だんだんと声を荒げていくこともしないで、信号が青になったら進む。本来であれば、熱を持った赤い星であることも知らずに。気の迷いだって心に触れても教えてくれない。揺れても日は答えなんて吐き出してくれない。思いがけない出逢いと共に、罠にかかったと悪魔が喜んでいるように。

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海野深一
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