芸術家は孤高という波に乗る。

一人の時が在ること。孤独だと思っていること。それは、あなたが同世代で特異な存在であることを考えてほしい。孤独ではなくて、孤高だということを。

人間は、大きなものから見ている。大きなものに目線を取られて、幸せに気付くことができない夜がある。眠れないで、眠らないで考えることをしない日々がある。小さくても大きくてもいいから、言葉の中にはきっと希望が存在していることを忘れないでほしい。心の中には大きな膜があって、その膜に邪魔されて、人生が見えなくなってしまっていることに気づいてほしい。幸せが転がっているけど、それでも愛を知ってほしい。

不安定を乗りこなすのが人生なんだと思う。物を作っていると、不安定な時に焦ってしまうことがあるけど、そんなことはまだまだ未熟で、静かに待っていればいいんだということを、大体の人間は知らない。芸術家の本望は生きること、だと思うんだよね。甘えにはならないけど、芸術家は自分の心と戦っているんだと感じる。心ってのはすごく強くて、小さい人間を簡単に飲み込んでしまうんだ。この身を滅ぼしてでも作ることから逃げなかったものだけが、この世界に形として何かを残せるんだと。

計画とは、時に人間を神秘から遠ざける。深く潜ることが、精一杯できることなんだよ。潜ると見えなくなるでしょう。見えなくなってからが本番なんだから。誰にも見えないところで、自分と戦い続ける。言葉と向かい合い、協力しながら、世界の輪郭を撫でていく。願うよりも感謝を告げて、何もしてくれない世界を永遠に願い続ける。二人でいることが正解だと信じていた世界に、誰かが入ってくるのを待つ。

重ねるところから始めるのがいいんじゃないかな。小さくてもいいから、隠れてもいいから、自分と自分を重ねてみる。そしたらきっと、何かが生まれると思うんだ。欠片が重なって、たまに傷つくこともあるけど、重なったものは人生を切り拓いてくれる。目を瞑れば海に行けるこの世界で、永遠を切り取って貼って、完成させていく。それができるのが人生だと思うんだ。波に乗るように芸術に向き合う。時間を超えて、世界を超えて、愛を語る場所を探している。いや、もう見つけたのかもしれない。

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海野深一
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