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ゲームシナリオサンプル『スリープ・ダイ・ビューティー』①
■タイトル
『スリープ・ダイ・ビューティー』
■ジャンル
殺人鬼から逃げるサスペンス
■レギュレーション
・25字×3行(同じ発言者の場合は、段落を開ける)
・ルートは1つのみ(選択肢もなし)
・スマホゲームシナリオを想定(地の文はなく、主人公の心の声が地の文に相当します)
■あらすじ
とある豪華客船の中で陽炎は目を覚ます。
そこで陽炎は逃げようと言う少女棗と、顔の見えない殺人鬼に出会う。
陽炎は棗と共に、客船を歩き回ることになった。
三人の少女たちに出会い、一人を殺され、殺人鬼と対決することになる。
辛くも殺人鬼を倒し、その顔を見る。
それは陽炎自身だった。
そして、目を覚ます。
目覚めると病室で寝ていて、催眠療法が行われていた。
実は、船内唯一の生き残りで、犯人を捜すために記憶が必要だったというのだ。
しかも……唯一の生き残りは『棗』だった。
棗は証言を拒否し、催眠療法で再び船の中へ潜るのだった。
■キャラクター
・陽炎(かげろう)
男。18歳。主人公。
・棗(なつめ)
女。16歳。辛辣な物言いだけど、他人主義的。
・美録(みろく)
女。20歳。女医の卵。優しい。疲れている。
※黒幕
実は、製薬会社で新薬を開発していたが、
危険だと言うことで計画が凍結されてしまった。
しかし、薬に愛着を持っていた美録は
人体実験をしようと考え実行した。
(それを止めようとした友人を殺し、船に飛び乗った)
・珊瑚(さんご)
女。18歳。冷静を装う怖がり。
・ラム
女。14歳。元気だけが取り柄の、少し馬鹿な子。
・殺人鬼
不明。なぜか人を殺し回っている。
※正体
棗。美録の薬によって自我を失っている。
時折、自我を取り戻す。
■舞台
『セントマーティン号』
豪華客船。ラグジュアリークルーズ船。
客室60室の他に、バー、ゲームセンター(カジノ)、プロムナード、豪華食堂、映画館など特別室が存在する。
大西洋、インド洋、太平洋を横断する世界一周旅行をしていた。
SOS信号を頼りに太平洋の真ん中で発見され、一人の記憶を失った少女を除いて、全ての人間が死んでいた。
少女の記憶を取り戻すため、催眠療法を駆使することにした。
■本文
○プロローグ 夢現のあの日の君
//背景:薄暗い部屋(見分けが付かないくらいぼんやりしている。それが点滅するように明るくなったり、暗くなったり)
//SE:カチカチカチと揺れる時計の針の音(催眠に導入したという暗示。後半にまたこの音を使います)
【?(睡眠療法士)】
今からあなたは……旅に出ます。
とても辛い旅になるでしょう。
でも、これは〝行かなくてはいけない〟旅なのです。
さあ、目を覚ましなさい。
そして必ず戻ってくるのです……。
//このシーンは現実で催眠術をかけられ、凄惨な事件のあった当日のことを夢見ることを仕向けられています。
(つまりこの世界は、夢の中)
//暗転(目を閉じるように)
//SE:波の音(ここが海だとわかるように)
【?】
ん……んん、ここは……どこ?
【?】
もう終わったの……帰っていいの?
【?(棗)】
何を言ってるの!?
早く目を覚ましなさい!
//背景:船のデッキ(画面端に海が見えている)
【陽炎】
ん……あ、ここは――?
//立ち絵イン:棗(表情処理=差分は省きます)
//また、陽炎の立ち絵がない理由は、主人公だからと言うこともありますが、『現実にはここに陽炎はいないから』です。
【?(棗)】
陽炎、目を覚ましたのね。
良かった……。
【陽炎】
君は?
【棗】
何を言っているの?
棗よ。忘れちゃったの!?
【陽炎】
なつめ……棗……。
ああ、思い出した。
たしか昨日、君がハンカチを落として。
【棗】
そう、拾ってくれたのよね。
――って、そんなこと言っている場合じゃないの!
【陽炎】
……?
そんなに慌てて、どうしたんだ?
【棗】
どうしたもこうしたもないわよ!
来るのよ!
――あいつが!
SE:がっしゃーん(なにかが壊れる音)
【棗】
ひっ!
【陽炎】
い、今のはなんだ?
【棗】
走らなきゃ、あいつが来ちゃうわ!
追いつかれたら殺されちゃう!
【陽炎】
殺されるって。
SE:殺人鬼の足音(大きな足音。歩いている)
//立ち絵アウト:陽炎
//立ち絵イン:殺人鬼(フードなどで顔が見えない)
?(殺人鬼):
……………………ッッああああああ!!
//画面を揺らす演出
//立ち絵アウト:殺人鬼
//立ち絵イン:陽炎
【陽炎】
!
【棗】
いいから走って、陽炎!
【陽炎】
あ……ああ!
//暗転
【棗】
はあ……はあ……。
追いつかれたら、
みんなみたいに殺されちゃう
【陽炎】
あいつがみんなを?
……みんなを。
//背景やキャラクターがクロスフェード(主人公が早々に覚悟を決めるので何かしらの演出が欲しい)
【陽炎】
やっぱりダメだ。
棗、先に行ってくれ。
【棗】
陽炎、何を考えているの?
……まさか、戦うつもり!?
【陽炎】
あいつは俺がここで食い止める。
【棗】
ダメよ!!
あいつは普通じゃないの!!
【陽炎】
でも、ここは海の上だ。
いつか追いつかれる。
【棗】
陽炎……本当に記憶がないの?
そう言って、向かっていった人が、
何人死んだと思っているのよ!
【陽炎】
……!
【棗】
だってそうでしょ。
あいつ一人ならみんなで止めれば、
きっと止められるって普通は考えるわよ。
でも、ダメだったの。
みんな殺された。
あいつはね……。
ただの殺人鬼じゃない。
化け物なの。
【陽炎】
化け物なんて、
この世界にいるはずがない!
大丈夫。
動けなくさせるだけだからさ。
//一枚絵:なぜか地面に転がっている、血に染まった銃
(実はここには死体が落ちていて、
その死体が抵抗する時に使った銃なのですが、
これは夢の中なので死体がありません)
【陽炎】
(あそこに落ちているのは……!
……銃?
どうしてこんなところに!?)
(今は考えるのをやめよう。
あいつを止められるのなら!)
//立ち絵イン:殺人鬼
【殺人鬼】
ぁ、ぁ、ぎィィィィィィ!
【陽炎】
棗、逃げろ!
【棗】
陽炎、戦っちゃダメ!
//立ち絵アウト:棗
//SE:陽炎が走る音
//立ち絵イン:殺人鬼
【陽炎】
止まれ!
止まらないと撃つぞ!
【殺人鬼】
ッ、きッ、きッッ、き。
【陽炎】
こいつ、笑ってるのか。
俺は本気だぞ!
警告したからな……。
警告したからな!!
//SE:銃声
【殺人鬼】
…………ッッ。
【陽炎】
嘘だ、確実に足を打ち抜いたはず。
なんで立っていられるんだ?
なんで痛がってもないんだよ!
【殺人鬼】
……ッツ!
//SE:殺人鬼の足音(少し速い)
【陽炎】
くそぉぉぉぉ!!
来るなぁぁぁぁ!!
//SE:銃声(二発)
//SE:殺人鬼の足音(速い)
//SE:銃声
//立ち絵アウト:殺人鬼
【陽炎】
と、止まった。
……やったのか?
【殺人鬼】
キ、ッキ、キキキキ。
【陽炎】
なっ……!
う、嘘だろ。
何発も銃弾を受けて、
なんで笑っていられるんだ?
本当に……化け物、なのか?
そんな馬鹿な……。
//立ち絵イン:棗
【棗】
陽炎、逃げるチャンスは今しかない!
船内に逃げ込めば、
あいつを撒けるはずよ!
ルートは知っているからついてきて!
【陽炎】
…………。
【棗】
こら、しっかりしなさい!
私たちが、なんとしても逃げ延びるの。
そして、ここで起きたことを伝えるのよ!
殺されたみんなのためにも!!
【陽炎】
みんなのためにも……。
ああ、そうか。そうだな。
逃げよう!
棗、頼む。
【棗】
ええ、任せて!
こっちよ!
//暗転
//しばらく波の音と背景だけ
//SE:殺人鬼の足音
//立ち絵イン:殺人鬼
【殺人鬼】
…………………………ッ。
………………な…………つ…………めぇぇ……。
つづく
※表紙の写真は、みんなのギャラリーより、しま様の『AM3:00頃🌕️』を使用させていただきました。
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あとがき
ちょっと長めにゲームサンプルを作っていきます。
単純に、こんなサスペンスを思いついたよということで。
全体で6~7話くらいになりそうかな。
また、これは来年辺りの転職活動に利用していこうかなと。
失敗したら、普通に営業に回しますが……。
また、後々の事を考えて、演出面をちょい詳しく書きました。
自分がやるにしろ、スクリプターさんがやるにしろ、
演出で悩むことがないようにしたいですね。
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