ドラゴンラージャ12巻 雑感想

●登場人物(今思ったけど、人外が多い)

○クラドメッサ
クリムゾンドラゴン
カミュ・ヒュリチェルと契約していたがカミュが死亡し発狂。
睡眠期に入った。
目覚めてネクソンと契約。
ネクソンが死亡し、またもや発狂。
人間化し、人間を愛する。

○ジゴレイド
ブルードラゴン
トルーマン・ハルシュタイルと契約していた。
ハッチリン(ドラゴンの子ども)を殺され、ハルシュタイルの手下のリッチモンドを殺害。

●本編
フチ(ドラゴンは、どうやって〈ひとり〉で〈ひとり〉をやりくりするんだろう)
人とドラゴンは両極端。
フチ(くそったれのドラゴン。くそったれの人間)

ところで、フチのキャラクターがいまいち掴めなかったけど、
12巻冒頭で何か掴めた気がする。
何かを分かった気がする。
いや、具体的にどうとは言えないけど、
フチって主人公なんじゃない?
シテ(主人公)なんじゃない?

フチ(いっそ、ドラゴンのように〈ひとり〉で生きていくほうがましかもしれない)

それはなぜ?
人に失望でもしたのか?
関係に疲れたか?

金髪のプリースト「事実であるかどうかは関係ない」

真実は、作れる!(かわいいは作れる的なノリで)

12巻読みやすいなあ。
なんかいいよ。雰囲気かな?
フチがしっくりくるし、好きになる気がする。
なにか面白いことしてくれそう。

カールは青雲の志を抱いたことがあった。
「しかし、この国にはあまりにも展望がなかった」

失望したか〜。

カール「権力集中がかなわない国は問題だよ」「一家の長が家長として尊敬されなければ、どうなるだろうか?」

……どうなるんだ?
そういうのよくわからん。
権力集中? 政治もよくわからん。

ペレールが再登場。
随分とたくましくなったようです。
肉体派魔術師。
アフナイデルは非力。

死んだ者の頼みは生涯の足枷になる。

ただひたすらに、前へ……
だからそういうの期待するじゃん(どこの閃とは言わないが)

ペレール「人は、一生変化しながら生きていくものだ」
「人は動的生命体だ」
フチ「クラドメッサは、熾烈に自分を守ろうとしていた。狂いそうなくらい愛する人間と、関係を絶ってまで」
コダシュ「変身の権能をおそれながらも、あがめるように」
「変身はおそろしく、いとおしく、尊敬に値する」
フチ「神になりたいんだよ。オレたちは、永遠の〈欲求不満〉種族だ」
エルフは調和、人間は変化。
フチは貴族に失望した。

百晩寝れば大人になってまた会える。
フチは嘘つきだなあ笑。

ジャック「マスターは死んだし、首都にもどったところで絞首台以外に待ってるものはないし、好きな女はオレのほうを見てくれないし……。嫌気がさしたんだよ」

ジャック……

ジャックは盗賊ギルドを作るつもり。
ネリアの唇を奪ったのでした。

残る星はなんの種族か?
フチ「ドラゴンと交流する必要性ってなんだ?」

それが気になっていたんだ。

人間はドラゴンラージャを通じてドラゴンを変化させられる。

ドラゴンロードはハンドレイクと同様、全種族を神にしようとした。
しかしそれはできなかった。
違いがなければ完璧は生まれない。
全てが完璧であったなら、完璧という概念はない。
ハンドレイクは挫折を味わい、せめて、ドラゴンと人間が相互に学ぶことができればいいと、ドラゴンラージャを作った。
しかし、人間はラージャを通じてドラゴンを人間化させてしまった。

ハンドレイクはシオネを理解できなかった。

クラドメッサのドラゴンラージャ、カミュは死に、
ネクソンは永遠の森で三度死に、
ラージャになって死に、
シオネに殺されて死んだ。
ドラゴンには耐えられなかった。
ドラゴンは単数。

アムルタットの別名〈夕陽の監視者〉
全てに滅亡があることを証明するもの。

そういえば、ようやくアムルタットに身代金の支払いに行くわけだ。
ずっとそれが目的だったのに、えらいおまけがついちゃったからな。
忘れてはなかったです。たぶん。

親父と再会。
なんだなんだ。
この世のものとは思えない奇妙なダンス。

デートリヒ・ハルシュタイルは死亡していた。
契約したカッセルプライムが死んで、後を追うように。

フチは父の背中にキルシオンを見る。
自信満々で落ち付いた親父。

まさか……アムルタット?
さすがにないかな。
でもドラゴンは変身できるから、今まで会った誰かの中に、ドラゴンがいたかもね。
というかラージャを通じて人間化するなら、人間の中に紛れ込んで暮らすドラゴンがいるかもしれない。

親父はアムルタットに憎悪を感じない。
感情を向ける相手ではない。
感情の伝達ができない。

ローネン・ヒュリチェルも無事だった。
ネクソンのことをまっさきに聞くローネン。ネクソンの死を伝えると顔が蒼白になる。
ローネン「そう……か」

父親だったんだな。
ダメだ……また泣いてる。

ローネン「おまえは、なぜ私を助ける?」
フチ「ヒュリチェル家の悲劇は、そろそろ終わるべきだと考えているからです」

ところで、ネクソンの罪は許されていたと思う。
ネクソンが死んだのは、過去に犯した罪に対する報いではないと思う。
ただ、ヒュリチェル家の悲劇ではあったわけだ。

アムルタットは時間の忠実なしもべ。

死は〈約束された休息〉。
人間に与えられた贈り物。
ドラゴンにはない。

フチ(初雪のなかを……。そう、家に帰るんだ)

おう。家に帰るまでが冒険だな。

フチ(舞いおちるもみじのなかを、旅立った)(そして、とうとう初雪を迎えたんだ)

秋の終わりか。冬が来るのか。

フチ(そう、これで終わりだ。家に帰る時間なんだ)
(オレの、〈魔法の秋〉は終わった)

ヘルタント領主はアムルタットを憎んでいない。
彼は自分の復讐心を表現したかった。
領地のためと、自分の心を偽った。

復讐心で相手を変化させたい。
しかし、アムルタットは変わらない。

人間は人間のまま。
人間自体は何も変わっていない。

文明の進化は、人類の変化ではない。
ルトエリノ大王は、文明の進化を人類の進化と混同した。
ハンドレイクは、変化できない人間を変化させようとした。
アムルタットは変化しない。
だから、ヘルタント領民は変化した。
フチ「オレも復讐できなかったけど、つらくはありません。無意味だと知ったから」

復讐心を諦める。
罪を許したのか?


ルトエリノ大王は、ドラゴンロードに触れて変化した?

だから、ドラゴンロードを殺せなかったのかな。

フチ(現在に忠実にならなきゃ。未来のために感情を偽ってはならない)

イルリル!
挿絵のイルリルめっちゃ美しい!
雪と調和するイルリルなんて、きっとこの世のものとは思えないほど美しいよ。

イルリル「友だちでしょ?」
フチ「イルリルが友だちでありがたいし、嬉しいよ」
イルリル「私もありがたく思うし、嬉しいわ。フチ」

そうなんだ。
フチとイルリルは友達なんだ。
ところで、クラス10の魔法は無いのよ。イルリル……

イルリル「フチといっしょにいた時間は、あなたにとって、なんの意味もないのかしら」
「私が、あなたのなかにいるかしら。目に見えなくても?」
フチ「オレは嬉しいんだよ。エルフがこの世界を去らないことが」
イルリル(にっこり笑って)「私もよ」

フチ「オレ、知ってることなんかないよ」

ウンチャイは何でも知ってるって言ってたけどね。

リタ「最近になってもっとも言いたかった言葉、でも言えなかった言葉を言ってみて」

……うん?
おまえなに?
え?
アムルタットさん……?
いや、さすがに……

ありました。

助力者がアムルタット?
ユピネルとヘルカネスが手を引く?

アムルタット「フチ・ネドバル。おまえはどんな別れをするんだ?」
フチ「あなたの追憶の中で、楽しむでしょう。あなたのなかにいるオレをだいじにしてください」
アムルタット「わかった。私のなかにいるおまえをだいじにしよう。これで、おまえと私の道はわかれた」

ん?
いや……それはどういう……
なんかすっげー厭な予感するけど。

これから地上には人間の世界が広がる。
アムルタットは最後のドラゴン。
ラージャはいなくなり、人間は直接、ドラゴンに近づく。
全ての種族を人間化した後、未来を失った自分たちを発見する。

フチはアムルタットを夕陽に逃避させた。
そこで人間を待たせる。
人間が自らを正して、新しい人間になれれば、会わずに済む。
アムルタットは子孫への贈り物。

フチ「オレの役割は、ここまでだ。初雪を挽歌がわりに旅立った〈魔法の秋〉のように、オレの物語はこれで終わったんだ」

〈終わり〉

おい、ちょっと待て。
なんかまずくないか?
大丈夫か?
大丈夫じゃない気がするんだが。
アムルタットってある意味で時間の象徴では?
そいつがいなくなったら、人間は時間を失うのでは?
考えすぎ?
フューチャーウォーカーを読めば分かるか……

ところで、フチです。
はい、主人公です。
こいつは主人公です。
間違いなく、この物語の主人公です。
シテだった。浮世離れしてるし。
最後に人類の行く末まで選択する主人公。
そしてアムルタットと対話したドラゴンラージャともいえるか。

12巻のフチがしっくりきたのは、彼が浮世離れした存在だったからか。
今までより遠い感じ?
11巻までのフチ一人称なんか違和感あったのかな?(私は)。
シテ(主人公)をワキ(語り手)に持ってくる違和感。
王泥喜もそれなのか?
浮き世離れした主人公を語り手に持ってくる意味とはなんだろう?

フチは変化した人類だったのか?
ドラゴンラージャは人間として生きられない。
人間じゃなくなるってこと?
それは変化だろうか?
いや、でも存在しないとも言ってたな……
ヘルタント領民の人々は変化した。
フチ、けっこう周りからびっくりされてたもんなあ。
……おいおい考えよう。

そういえば残り一種族はなんだろう?
あとシオネの出番がなかったな。

●全体の感想

これにてドラゴンラージャ読了。
面白かったです。
フチの元気すぎる一人称が合うかどうかで好みが分かれそう。
私はまあ読めるって感じ。
耽美さのかけらもないぜ!
私の耽美フィルターが負ける元気さ!

一番面白かったのは、やっぱり過去と記憶の下りかな。
つまりネクソン。
いや~ネクソンはいいよ。
良いと思います。

あと最後の最後にフチです。
こういう面白い主人公好き。
物語の〈主人公〉っていう存在が象徴的なのが好きだし。
学校であった怖い話とか逆転裁判4とか。
主人公という存在がね。特別なんだね。
プレイヤーや読者が感情移入していると思われた主人公が、
実は全然その感情や思考がシンクロしていないというのも一緒か。

全体的に哲学的な話が多いです。
異種族を出すことによって人間の存在を問うという構造。
最後らへんは普通に理解してないです。
さっぱりわからん。

罪を許せるか、っていうテーマもあるのかな?
憎悪を諦めるということは、変化させることを諦めることかな?
人間は周りを人間化させる。
多様な存在を残すというのは、全体的に見れば利益になる。
種の保存ってやつかな?
人間しかいなくなるということは、滅亡への道だと。
そういうことだろうか?
知らんけど(保険)

私的には、パーティメンバーがもったいないのよね。
人間関係とか役割とか大好きだから。
もっと関係が見たいし、掘り下げ終わったらただの戦闘要員みたいになっちゃうのが残念。
私が読み取れなかっただけかも知れないが。
7巻からネクソンネクソンばっかり言ってたし。

好きなキャラクターは
ネクソンとイルリル、シオネ、フチです。

続編のフューチャーウォーカーが楽しみ。
人間関係が描かれて、全体的に鬱らしい。

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