ラストオブアスパート2 雑感想
クリアしたので感想残します。
ちなみに私は数年前に前作もプレイしています。
シナリオにしか興味なかったので(というかゲームセンスがないので)、難易度はベリーイージープラス(姉のデータ引き継ぎ)、戦闘は半分ステルス半分ゴリ押しプレイでやりました。
プレイ済みの人向けに書いているのでネタバレ全開。
「気になってるけどやってない(>_<)」って人は今すぐ回れ右して前作をやって、前情報なしでパート2をプレイしましょう。
これは自分でやるべきゲームです。
知らんけど。
評価というべきか感想というべきか。
私ならこのゲームをこう表現します。
「最悪なゲーム」。
このゲーム、最悪。
楽しくない。
なんも楽しくない。
だが好きだ。
この「最悪なゲーム」が好きだ!
概ね高評価。
だが楽しくないし、むしろしんどいので二度とやりたくない。
うーん……感想どうしようかな。
とりあえず要素要素見ていくか。
○戦闘
いや、個人的な意見だよ?
私はゲームの戦闘興味無いんだよ。シナリオを進めるうえで邪魔なものっていうイメージ。
前作もシナリオ目当てでやってたので。
まあ戦闘システムに関しては相変わらずです。物質集めて、道具作って、必要とあらば感染者を燃やし(火炎瓶)、人間を殴り殺し(近接武器)、場合によってはどんぱち(銃)します。
今作、アイテムスキャンができるようになって、物資が集めやすくなったのが良いです。こういう細かなシステムが遊びやすさに繋がるんだね。ベリーイージーなら敵に数秒見られても逃げられるし、敵も弱いので楽ちん。それでも、めんどうなものはめんどうです。
いや、もうこれは私の問題です。私が戦闘を全く重視していないせいです。
でもアクションゲームもTPSも下手な私でも、苦戦する場面はあれど自力でクリアできます。よほどの初心者でない限りクリアできるんじゃないかな?
●以下、戦闘に関するグチ
私は正直ビビりです。
感染者怖いんですよ。暗い中でクリッカーのクリック音聞くのめっちゃイヤです。響くしね! 暗闇であの音ずっと聞くのイヤになるよ。
おまけに今作、イヤ〜な感染者がいましてね。
ストーカー
なんと身を屈めてこちらに近づいてきます。向こうが止まっていると耳を澄ませても索敵にかかりません。
敵がこちらに近づいてくるストレス。
見つかると困るので、今のところの最適解は瓶を投げて一ヶ所に感染者を集めて、火炎瓶で炎上。というか火炎瓶弱体化した?前作はけっこう大炎上してたイメージ。
え、ステルス?
知らない子ですね……
○音楽
作曲、前作と同じ人だと思うんだけど、「これ良いな!」って思う曲はなかったかな? 前作は大学で流れる曲とかエンディング曲とか、よくくちずさんでました。
ありがちなハリウッド的音楽ではないのでクサいということはないです。
ゲーム音楽としては妥当なのかな?
雰囲気はあるので好きだよ。
○グラフィック
さすが天下のノーティドッグ。キレイ。
リアルなんだけど、フォトリアルというより絵画チック?
コンセプトアートを再現するのにこだわってるんだろうね。
凄いのはキャラの表情。
繊細。
ラスアスは演出が良いから。表情が良い。
○演出
一級品。
すごい。
クサくない(大事)。
仲間が死んでだらだらクサい演出するとかしないよ、さすがラスアス。
最初「おっ!」って思ったのは、
病院でノラを殺したときのエリーの震える血塗れの手。典型的なようだけど、カメラワークと間が絶妙。
上手い。
憎しみを持って、痛め付けるつもりで人を殺したショック。
エリーの表情。
あとエリーが水族館でオーウェンとメルを殺したシーン。
トミーがエリーを呼ぶんだけど、ジョエルの声が聞こえるんだ。
エリーの心に占めるジョエルの大きさが分かる場面だと思う。
たぶん前作のメガネ野郎を殺した時を思い出したんだろうな。
あの時ジョエルが来てくれたもんね。
でも、そのジョエルはもういないんだ。
○シナリオ
●かなり悪趣味なシナリオ
ある意味超問題作だよ。
性格悪いシナリオだよ。
何度でも言おう。
このゲーム最悪だ!
よくもまあこんなゲーム作ったな⁉
粗も多いよ?
でもその粗を考慮に入れてもやっぱり好きだよ。
これは復讐劇です。
アビーたちが父を殺された復讐にジョエルを殺し、エリーがジョエルを殺された復讐に、実行犯を殺しに行く。
●粗もある
はい、粗です。
もうすでに粗です。
この世界、人が死ぬのは当たり前なのね。
感染して自殺したり殺したり、争いになって殺したり。
前作でもそうですが、
ジョエルもエリーもたぶん他のキャラも何人も殺してます。
ゲームシステムとして殺してる。
いちいち復讐なんてしてらんない。
だからシナリオのレベルは高いけど、システムと齟齬が起こってるわけ。エリーが復讐の鬼になって、どんどん化け物になっていくのは面白いんだけど、
ノラやオーウェンやメルを殺して、今更動揺するのは変なわけ。モブをいっぱい殺してるから。
前作も今作もいっぱい殺した。
そこらへん上手いことできれば良かったんだけどね。
●エリーとアビー、人間と復讐鬼
前編がエリー、
後編がアビー。
この二人は対比になっているわけだけど、
逆方向に向かうわけね。
エリーはジョエルを殺され復讐に実行犯を殺していくわけだけど、
その過程でどんどん人間離れしていく。
というか強い。
容赦がない。
殺しまくる。
怖い。
ジョエルに復讐をしたアビー。
彼女は復讐に取りつかれていました。
そんな彼女はオーウェンを探しに、ウルフの基地を出るんだけど、その途中でセラファイトっていう、戦争中の対抗組織に捕まり、セラファイトの宗教の教えに背いた二人の女の子に助けられます。
一度は二人と別れたけども、夢を見るわけね。お父さんの死体を見つけた病院の夢。本来はお父さんが死んでるけど、扉を開けた先で女の子二人が吊るされてる。
「私、なにしてんだろ」
と言いながら、アビーは二人が隠れたコンテナに向かう。
「なんで助けるの?」
と聞かれてアビーは
「罪悪感がして」「楽になるかなって」
と言ってる。
復讐に取りつかれたアビーが、人を助けることを選ぶわけ。
そんなに親しくない二人を助けたい。
ある意味、罪を償いたい気持ちもあったんでしょう。
復讐鬼から人間に戻るのね。
人間離れしていくエリーと、人間になっていくアビー。
この二人の物語です。
●ゲームで暴力を体験する
ゲーム性ってなんだろう? って常々思うわけだけど、
「体験」っていうのがその一つかもね。
ラストオブアスパート2で何を体験させるって、
「暴力」と「殺し」。
殺意、と言ってもいいか?
前作より圧倒的に痛さもグロさもグラフィックとして上だし、
人を殺すっていうのが強調された演出だと思う。
向こうがこっちを殺そうとするから殺す。
好きな人を殺されそうだから殺す。
好きな人が殺されたから殺す。
そういうのをどストレートに描くわけ。
少なくとも私は、目の前にいる敵を「殺そうとしている」って感覚に何度かなった。
●ラスアス2における私的暴力体験
人を殺すこと、暴力を振るうことを体験する。
基本的に殺す時は□ボタンを押さなきゃいけないわけで、
エリーでノラやオーウェンやメルを殺した時も□ボタンを押しましたよ。
悪趣味だなあと思いました。
でも、私が最初に特に強くそれを強く感じたのは、
アビー編でセラファイトの本拠地に行った時でした。
セラファイトのやたら図体のデカイ男が襲ってきます。
襲ってきたから応戦します。
レブを守るために、
生き残るために、
死なないために、
近接武器で□を押して攻撃します。
向こうはこっちを殺そうとするからこっちも殺す気。
「もう止まってくれ! 早く死ね!」
って私は思いながら□を押すのね。
で、敵もこっちもボロボロになるの。
敵さんなんて口を刃物で裂かれて血塗れなの。
痛々しいし、グロい。
画面見るのイヤで薄目で見た。
それでも敵さんは戦う。
私はびっくりしたのね。
「そんなになっても戦うの!?」
でも当然だよね。
そうしないと死ぬから。
殺されるから。
アビーも私も殺す気だから。
その時、
「ああ、これこういうゲームなのか……」
と気づいたのね。
それと同時に
「これはとんでもないゲームかもしれない」
ってね。
アビー編の最後、
エリーと戦う場面も壮絶。
怖いんだよ、エリー。
殺気も凄いし、強いし、何回もゲームオーバーになった。
確実にアビーを殺そうとしてくる。
「ああ、殺られる」って思う。
だから、こっちも殺しに行く。
慣れ親しんだキャラだし、愛着もあるけど、
殺す気で行かないとゲームオーバーになる。
こっち(アビー)が死ぬ。
攻撃ボタン□を押す。
エリーはボロボロ。
アビーもボロボロ。
「なんてゲームだ」って思った。
無論、ラストは痛々しすぎてまた薄目で□を押した。
暴力を振るう方(私も含まれる)も振るわれる方も見ていられなかった。
なんも面白くない。
最悪な気分だった。
●化け物になるエリー
シナリオとシステムが矛盾してるという粗はあるけど、
流れとしては私的には好き。
ジョエルの死を受け入れられなくて、殺したやつが許せなくて復讐に向かう。
相手をわざわざ痛め付けて殺し、
動揺するも、もう後戻りできない。
で、アビー編最後の対エリー戦。
あれは化け物だ(確信)。
あいつはやべー。
人ではない。
エピローグでやっと落ち着いてくれたかと思いきや復讐の炎はまだ潰えていなかった。
パートナーのディーナも捨ててアビーを探しに行く。
誰かこいつを止めろ。
憎悪の連鎖。
これは呪いだ。
見ていられない。
見たくない。
もうやめてくれ。
止まってくれ。
このゲーム最悪だ!
そんな気持ちだった。
ボロボロ泣いた。
●人間になるアビー
最初、絶対に愛着湧かないと思った。
でも好きになった。
復讐に囚われたアビーが、ヤーラとレブに出会って、二人を守ることを決意する。
そのためにウルフも裏切る。
二人を守るため。
「私の仲間はあんたたちだけ」
そう言ってウルフを裏切る。
なんでこの二人だったかって。
考えてみれは序盤でアビーはジョエルに命を救われてる。
ヤーラとレブはセラファイトから自分を救った。
ジョエルへの贖罪の気持ちだったんじゃないかなって。
敵だった人間だけど、自分を救ったから。
因果な話だよね。
憎しみと殺意の連鎖。
1の最後から続いた呪い。
ヤーラが死んだ時はボロボロ泣いてね。
愛着はあったけど、泣くほどではなかった。
状況が状況で、たぶん感情が高ぶってた。
あの緊張の中で死なれたから、感情が悲しみに転化したんだよね。
エリーが殺すために戦うなら、
アビーは生きるために戦うんだよね。
死なないために戦う。
やってることはおんなじなのにね。
だから、アビーは最後、
「私はもう戦わない」
って言ったのね。
戦わない=殺さない
●ラストオブアスパート2の本筋
私の解釈だけど、
これは、
エリーがジョエルの罪を許す物語。
完全に前作の続き。
世界よりエリーを選んだジョエルをエリーは許す。
アビーを許すことでジョエルを許す。
そして自分の間違いと、過去は取り戻せないと受け入れる。
ジョエルはエリーが生きるために多くの人間を殺したわけだけど、
今回はエリーがジョエルの死に報いるために殺した。
エリーは自分の行動が間違いだと気づいて、ジョエルが自分を生かした気持ちにも気づいた。
二人は同じことをした。
(全然違うような気もするけど)
このゲームのシナリオ、
やってることはあまりに無意味なんだ。
作中、キャラの行動がなんの結果も生まないでしょう?
復讐に行って仲間のジェシーは死に、トミーは大ケガ。
ヤーラのために病院に行ったのに、ヤーラは死に、
レブは母を助けようとして母を殺し、
エリーはジョエルの死を受け入れるはずが、ジョエルに貰ったギターを弾けなくなった。
空しい話。
無意味。
エリーがギターを弾けなくなったのは、
エリーへの罰。
あるいは罰でもなんでもないのかも。
意味なんてない。
そうなっただけの話でさ。
○私的不満点
エリーが殺人に動揺するのはシナリオの矛盾。
システム上、人を殺しまくれるのがダメだった。
シナリオのレベルが高いだけにもったいない。
あと、
アビーとオーウェンのラブシーン。
唐突すぎる。
まるでアメリカドラマのようだ。
ラスアスでそういうの見るとは思わなくて、笑ってしまった。
○全体の感想
あまりに残酷で、
胸糞悪くて、
空しくて、
最悪なゲームだった。
二度とやらない。
でも私は、
このゲーム好きだよ。
おしまい