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サイユウキ「再」第3話

「輪廻転生」

三蔵が唱えると、俺の意識は何処かへ飛んだ。

いや、俺自身が何処へ飛ばされたのだ。

「ここは?」
「三蔵っ!?ちっ、何しやがった!?」
と俺が周りをみていると、空から何か降ってきた
「なんだ!?これ?」
空から降ってくるものを手に取った。
「す、、砂?なぜ砂が空から降っている?」
足元にも砂があり空から降っている砂が地面に
溜まっていく。
「これって?まさか!?」

そう二蔵は砂時計の様な空間にいたのだ。

「おいっ!ここから出せ!」
と叫んでいると、声が聞こえた。

その声は三蔵だった。

「驚きましたか?」
と聞くと

「何しやがる!?テメーっ、ここから出せ!」
と二蔵は言った。

三蔵は
「先程言ったでしょ?少しイカサマをしようと」

二蔵は
「イカサマ?これのどこがイカサマだって言うんだよ?」

それを聞いた三蔵は
「まぁ、まぁ」
「空を見なさい」
と言って空に何かを映した。

それを見た二蔵は
「あれは!?悟空か?それと親父も」
「そしてあのガキも」
「じゃー俺は!?」
と自分のほうに目をむけると、二蔵は倒れてた。

切り傷から出血し、仰向けになって倒れてる
二蔵に周りは不安そうな表情だった。

「二蔵様っ、二蔵様」
と僧侶達が声を掛けていた。

「今のそなたの姿です」
と三蔵が言った。

二蔵は
「やはり負けたのか・・」
と言うと三蔵は
「何をおしゃっておるのですか?」
「まだ負けてませんから。安心しなさい」
「これからですよ。まぁ、黙って見てなさい」
「少し、そなたの身体を借りますよ」

砂は段々と足からくるぶしへ溜まっていく。

二蔵はただ空に映っている自分を見ていた。

三蔵はそのイカサマを二蔵に話した。
「輪廻転生」
「私がそなたの身体に転生し、代わりに
闘いましょう」
「時間は、空から降る砂がそなたを埋めるまで」
「悪いようにはしません。久しぶりに少し
     斉天大聖孫悟空と話すだけですから」
と言った。

その時、空に映る二蔵の身体が少し動いた。

「生きてるぞ!二蔵」
と親父が話した。

悟底は突然間合いをとり、再び腰にある短刀を
握った。
「違うっ!さっきまでの奴と気配が違う」
と言うと、悟空は
「はっはは」
と笑いながら
「やりやがたなっ」
と言ったその時だった。

「イカサマも通用しない・・・ですか?」
と映像に映る二蔵は話ながら立ち上がり再び話始めた。
「悟空、さすがですね」
「少しは衰えてるのかと思っていましたよ」

「俺が!?ガキとあんたの区別がつかない訳
ないだろ?」
「あんたとどれだけ居たと思うんだ?」
「なぁ!?玄奘三蔵法師」
と言うと

周りは驚いた。
それもそうだ。見た目や声は完全に二蔵だから

「三蔵様?どう見ても二蔵様だぞ」
と僧侶達は話だした。

「一蔵」
と話すと親父は
「この雰囲気は・・・」
「本当に?爺様でございますか?」
と言うと三蔵はにっこり笑みを浮かべ頷いた。

「こ、これは、爺様。お元気でしたか?」
と話すと
「そなたが鍛錬を怠るから二蔵がこの様な事に
なるのですよ」
と言うと
「そ・・それは爺様」
と返す言葉が無かったようだ。

「それにしても寺も変わらないですね」
「一蔵?」
と聞くと
「はいっ、どうかされましたか?」
と親父が言うと
「寺を守っている事は褒めてあげますよ」
「ありがとう」
と言った。

「さっ、懐かしむのは後にして、
        続きをやりましょうか?」
と言った瞬間に何かを唱えた。

「閻王炎(えんおうほむら)」

すると悟空の周りを炎が囲み、三蔵が指をふると
その炎が悟空を包み込んだ。

寺内の温度が急に上がり、だんだんと汗が出てくる。

三蔵は
「閻王炎、閻魔大王があやつる地獄の炎を
召喚し標的を燃え尽くす」
「あっ、もちろん水では消せませんからね」

炎は悟空を包み温度と火力を上げていく

親父が
「さすが爺様!これであの斉天大聖も」
終わった、と言いたかったのであろうが

三蔵は
「一蔵」
と口にチャックをする仕草で言った。
「気付きませんか?」

勢いをまして燃える炎の中から声が聞こえた。

「もういいかい?」
と悟空の声だった。
それを聞いた三蔵は驚く事もなく
「もういいよ」
と言った。

その言葉を聞いた悟空は
「うおぉぉぉっ」
と叫んだ。

ただ叫んだだけだ。

すると凄い勢いで燃えていた炎が一瞬にして
消えた。

悟空は何をする事なく、ただ叫んだだけで
その炎を消したのだった。

悟空は
「相変わらず、趣味の悪い術だな」
と言うと

「悟空こそ、相変わらずですよ」
と三蔵は返した。

親父や他の僧侶達が汗をダラダラと流している中
一滴の汗も流してない悟空に驚いた様子だ。

悟空は笑みを浮かべ
「じゃー次は俺の番だな」
と言って三蔵に攻撃を仕掛けた。

「まずは、これで」
と言ってその場で構えてをとった。

そして
「すぅーっ」
と息を吸い込んで正拳突きをした。

三蔵は周りに
「伏せなさい!!」
と言った。

周りの者はその言葉に驚き、皆その場に伏せた。

少しすると僧侶の1人が
「なんだったんだ?」
他の僧侶達も
「びっくりしたな」
「とにかく伏せたが何もなってないぞ」
と言うと

「あ・・・あれを!」
とまた別の僧侶が言うと

「な・・ん・・だ?あれは!?」
と指をさした。

その指の先は、寺の壁が破壊され裏にあった山の
木もなくなっていた。
悟空の拳から放つ風圧でここまでの威力が
あるのだ。

三蔵は
「危ない事をしますね?もしこれが逆方向なら
町がなくなっていますよ」
と悟空に言うと
「あんた、敢えてその場所に立っただろ?」
と言った。

三蔵はそれを聞いて
パチンっ
と指をならした。

「では、これは?」

「百鬼夜行」
と唱えた。

床に陣が浮かびだしその中から1体、2体と
次々に人の形をした黒い影が出てきた。
1体、また1体と
その影はそのまま悟空へ襲いかかる。

悟空はその影を振り払うが次々と襲いかかる
影に少し苦戦している様子だった。

「また趣味の悪い術だ」
必死に抵抗するも、影は陣から続々と出てくる。

その数、100?いや200?
影が寺内を埋め尽くそうとしている。

他の奴らはさっき悟空が壊した壁から
外へ出た。

まだまだ影は陣から出て悟空への攻撃を続ける

その様子を見ていた三蔵は
「これでひとまずは落ち着きましたかな?」
「さーどうする?斉天大聖」
と言ったその時

「父上ぇぇー!?」
と悟底が声を出した。
そして三蔵に言った。
「僕がお前を殺してそれを止めてやる!」
と言って三蔵に攻撃を仕掛けた。

だが、三蔵は悟底の攻撃をいとも簡単に交わし
こう言った。
「お父さん譲りの元気な子ですね」
と言ってまた何かを唱えた。

すると、悟空を狙っている黒い影が、悟底のほうにも向かって行ったのだ。
その影を振り払う悟底。

だが、影は悟底をものみ込む。

それは空から降ってくる砂がちょうど膝位の
時だった。

影にのまれた2人の声が聞こえなくなった。

勝敗はあったよに思えたその時だった。

ブァーッ!!!!

と音とが鳴り、次の瞬間

「ぐはぁぁっ」
と三蔵がうずくまった。

三蔵の腹に何かが当たった。

そして、さらにも1発。

「グワッ」
またもや三蔵はうめいた。

次の瞬間

バァーン!

と今まで埋め尽くしていた影が飛ばされた。
竜巻に飛ばされたように。

悟空だった。
服が破れ、至るとこから血を流し
「はぁ、はぁーっ、はぁー」
と息を切らしているその手には棒を持っていた。
悟空は
「伸びよ!如意棒!!」
と言うと三蔵をその如意棒で攻撃した。

何度も伸ばしたり縮めたりして
その速さを目で追うのは困難なほど

三蔵もなんとか防御しているが先程
もろにくらってしまった事もありダメージは
ある様だ。

悟空は如意棒を自分の前に出し
「千本神楽(せんぼんかぐら)」
と言った。

すると、如意棒が増え悟空の周りを無数の
如意棒が囲み

「はぁーっ!」

如意棒は三蔵を目掛けて飛んで行った。

1本、また1本と三蔵を目掛けて飛んでいく。

三蔵は次々と攻撃をくらう。

「今が好機!トドメだ」
と悟空は如意棒を振りかざし三蔵にとどめを
さそうとした。

ガンっ

「まだ頑張れますよ」
と叩きつけられた如意棒を頭の上でガードした

悟空は笑いながら
「さすがだな!」
と言って手に持っていた如意棒をなおした。
そして三蔵にこう言った。

「やめだ!やめだ!」
「お互い、姑息なことせずに、
   今から殴り合いをしようじゃないか?」
と言うと三蔵も笑いながらこう言った。

「確かに。その方が後腐れも無さそうだし
そうしましょう」
と、言って悟空を殴った。

悟空も三蔵を殴った。

三蔵の拳は、悟空の左頬へ
悟空の拳は、三蔵の左頬へ

2人はモロに拳をくらっているのに笑っていた。

その時

ドーンっ

物凄い殺気が寺内に漂う。

三蔵は
「笑ってる場合じゃなくなりましたね」
と言った。

「コ・・ロ・・ス」
「コロシテヤル」

雲行きが怪しくなり、外はだんだん暗くなって
きた。

「ウァァァ」

と叫び声と同時に、三蔵が出していた、
百鬼夜行の影達が一瞬にして消えた。

三蔵は悟空に
「悟空、これは洒落になりませんよ」
と言うと悟空は
「ちっ、外れやがったか!?」
「こうなると手におえんのだ」
と言った。
三蔵は
「私たちが戯れている場合じゃなさそうですね」
と言うと、悟空も
「そうだな!」
と言って攻撃をやめた。

俺がいるこの空間にも伝わる殺気。

二蔵は
「なんだ?このとてつもない殺気は?」
「いったい向こうで何が起きてるんだ?」
と空に映る映像を見ていると

「あいつ・・」

そうこの殺気を放っていたのは悟底だった。

         【次回:斉天闘神大聖】






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