ダブり〜2限目〜E
「ユウ、今大丈夫か?」
ゴウからだった。
俺は、
「あぁ、大丈夫だ」
「ちょうどお前に電話しようと思ってたんだ」
ゴウは
「そっか、、。じゃー話は早いな」
と落ち着いた雰囲気で話していた。
この雰囲気の時のゴウは、完全にキレている。
俺は、
サワナカの見舞いの途中で遭遇したことを、
ゴウに話した。
「とにかく、処置待ちだから話聞くから」
と言った。
「じゃーそっち頼むなっ」
とゴウは言って電話を切ろうとした。
本当に落ち着いた雰囲気だった。
俺は、
「お前、絶対に無茶するなよ」
「これは、完全に警察が動くから」
「変に関わり過ぎるなよ」
と言った。
ゴウは、
「おう」
と言って電話を切った。
電話が終わり、待合いへ向かうと
頭に包帯を巻いた状態で
「縫いました。」
と俺に言ってきた。
俺は、
「でも、これで済んで良かったな」
「あっちは、今手術中か?」
さっきまで、強がっていた男が
「はい。大丈夫っスかね?」
と不安そうに言った。
俺は、ゴウから連絡があったことを話した。
「とにかく何があったか話してくれないか?」
そいつは、俺にあったことを話した。
「はい。実は今日俺たちルートへ行く前に、
あいつと買い物に行く予定をしてたんですよ。
そして待ち合わせ場所で俺があいつを待っていると、いきなり4人組に絡まれたんです。」
俺は、こう返した。
「まぁ、あるちゃあるよな」
すると続けて話した。
「よくあることなんですけどこの辺じゃ、
うちらの制服見て絡む奴あまりいないでしょ?
でも奴らは逆にうちらだから絡んできたように思えたんです」
俺はこう返した。
「そう言われるとそうかもな。わざわざ絡んでくるのは、あって1、2校くらいか?」
「で、そいつらの特徴は覚えているのか?」
と俺が聞くと
「すいません。あまり詳しくはわからなくて」
「でも、学生ではないと思います。」
俺は、
「そっか、まぁここからは警察に任せて
とりあえず怪我を直せ」
「さっきも、ゴウには言ったけどくれぐれも無茶な事はするんじゃないぞ」
と言った。
そんな話をしていると、慌ててこっちに向かってくる夫婦が俺たちに声をかけてきた。
「息子は大丈夫なのか?なぜそうなったのか詳しく説明してくれないか?」
それは刺されて手術中の男の親だった。
頭に包帯を巻きながら自分も怪我の痛みがあるにもかかわらず、そいつは頭をさげ両親に事の説明をしていた。
泣き出す、その母親。
怒りに震える父親。
そして、頭をさげるその光景を俺は見てはいられなかった。
手術中のランプが消え医者が出てきた。
その一言に、
俺たちは、とりあえずホッとした。
「息子さん、命に別状はありません。
刺し傷も浅く、少し入院すれば、すぐ日常生活に戻れるでしょう」
ありがとうございます。
ありがとうございます。
と、何度も頭をさげる両親だった。
そんな中
「そこの、問題児。喜んでる場合じゃないぞ」
とそこへ来たのは
マミさんだ。
「息子さん、ひとまず無事でよかったです。
私は生活安全課のマミと申します。息子さんが刺された件について話を聞きに来たのですが、今日はとりあえず聞けそうにもなさそうですよね」
「犯人は我々が全力を持って捕まえますので」
と両親に話した。
俺はその隙にそっとこの場を離れようとした。
「おい、どこ行くんだユウ!?」
「あっ、マミさん。久しぶりです。」
と俺は言った。
すると
「お前、何が久しぶりだ。今逃げようとしなかったか?」
と言ってきた。
俺は
「逃げるだなんて」
と返すと、マミさんは
「お前、ちょっと時間があるか?」
俺は
「忙しいから」と断ろうとしたが
マミさんは
「時間、あるよな?」
と聞いてきた。
俺は、マミさんの話を聞く事にした。
「その前に、そこの包帯くん。悪いけど少し話聞かせてくれないかな?」
と、言った。
「ユウさん、どうしましょう?」
と俺に聞いてきたが、俺はそいつに
「バカな事は考えずあったことを全て話すんだ」「この人は信用できるポリ公だ。」
と言うと
「わかりました」
付き添いでいた刑事の所へ話をしに行った。
マミさんは
「ちょっとコーヒーでも飲みながら話すか?」
と言って俺を連れて屋上へ行った。
2限目Fにつづく
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