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サイユウキ「再」第1話

ギャンブルってのは人を駄目にする?

何故だ?

それって、ハナから勝てないのが
わかっているからじゃないのか?

そもそも人生もギャンブルと同じだろ?
なら、テメェの人生もハナから勝てないのか?

そんなもんっわかんねぇだろ!?

ギャンブルも人生も賭けねぇと勝てないんだよ!
賭けずに負けるなら、賭けて負けるが本望。
イカサマでも何でも勝ちは勝ちだから。


「ニ蔵っ!?ニ蔵はおらんか?」

「はい!住職、ニ蔵様は今、出掛けております」

「あやつはまた!何処をほっつき歩いとる!」
「おいっ、皆のものニ蔵を連れて参れっ!」
と、クソ親父が寺で騒いでいた。

寺内を僧侶達が走り回り
「ニ蔵様ぁ〜っ!?」
「ニ蔵様ぁ〜っ?」
「全くあのお方は何処へいらっしゃる」
「それより早く見つけるのだ」
「とにかく探せっ」

「探すのじゃっ」

ほんと騒がしい寺だ。

その頃俺はと言うと
「ロンっ!一盃口(イーペーコー)、ドラっ….と」
「今日はついてるぜ」
と麻雀をしていた。


「クソぉ〜またやられた」
「お前、イカサマしてねぇだろうな?」

「おい、おい、言いがかりはやめてくれよ」
と言った具合にギャンブルをしていた。

「ニ蔵様ぁ〜ここにおられましたか」
「はぁ、はぁっ」

使いの僧侶が息をきらしながら俺のもとへ

俺は
「なんだ?騒がしい」
「ちょっと落ち着けって」


息の乱れを整えて俺に言った。
「二蔵様、一蔵様がお探しでございます」

俺は
「ったく、今いいところなのによぉ!」
「悪いな!今日はここまでだ」

と言うと
「おい、おいっ勝ち逃げかよ」


「わりぃわりぃ。また今度なっ」

「ったく寺の事か?仕方ないな」

席を立つと・・・
ポトッ
(卓上から牌が落ちる)

「あのクソ野郎がっ!」
「やっぱりイカサマじゃねーか」


本堂へ向かいながら
「ところで、あのクソ親父がなんのようだ?」


「さぁ??内容はわかりかねますがとにかくニ蔵様をお探しでございます」
「とにかくお急ぎください」
「あと、クソはお辞め下さい。さぁこちらへ」


俺はその時まさか自分にとんでもない事が起こるとは思ってもいなかった。

「わーかった。だから焦るなっ」

「あぁーせっかく勝ってたのによ」
(イカサマだけどな)
「それにしてもくだらねぇ事なら寺の金使ってやるからな」

「とにかくお急ぎください」
「こちら袈裟の方をどうぞ」

「いらねぇよどうせ大した話じゃないだろしな」

俺は親父に呼ばれ本堂へ向かった。
襖を開け中に入ると檀家や修行僧たちがいた。

本堂がざわついた。

「ニ蔵様だ」

「あれが後継か?」

など賛否両論。

「おい親父、用ってなんだ?」

「その前にだ!なんだその格好は?」
「仏様や檀家様たちに失礼だぞ」

俺は
「ファッションだよ!ファッション」
と言った。
クソ親父は
「まぁいい、座れ」


俺は座った。すると親父が話しだした。
「ゴホンッ!失礼」

「大変お待たせしました。これより昇龍寺緊急総会を始めたいと思います」
「まず始めに、檀家の皆様にはいつも大変感謝致しております事、深く御礼申し上げます」
「日頃の感謝並びにまたこれからもご協力の程よろしくお願いします」

クソ親父の挨拶はいつも長い。

「本日も‥」

本当に長い挨拶が続く。

耐えきれず俺は言った。
「で、本題は?」とすると親父は

「そ、そうだな」
と言って本題を話だした。


「私の曾祖父である玄奘三蔵が昔天竺へ向かった際に、お釈迦様へ渡した経文を時代の流れにより

この度一新した」

再び堂内はざわつく。

「皆様、ご静粛に」
「よって、再び天竺へ届けなければならない」 

「その責務を我が息子二蔵に託そうと思う」
「二蔵行ってくれるな?」

本堂内がざわつく。それもそうだ。
いつの時代の話しだっ!てくらい思うくらい。
皆都市伝説だと思っていた。
実際、三蔵が天竺へ向かった際に書き記した書記は残っているが….

まさかその話が本当だったとは!?
いや、まさか!?

本堂はザワついた。

親父が話出した
「皆様、ご静粛に!ご静粛に!」

「皆様が驚かれるのも当然」
「おとぎ話のような出来事、ですが私は幼い記憶ですが曾祖父にその話をきいたのです」
「だから、私は天竺が存在すると信じております玄奘三蔵が書いたこの書物。その内容通りに西へ進めば必ず辿りつける事でしょう」

檀家、僧侶達が話す。
「ほんとか?」
「ほんとうにあるのか?」
「天竺は存在するのか?」


俺は親父に聞いた。すると堂内が静まった。
「そんなあるかないか分からない場所へ、書物を持っていくって事か?」

それに続くかのように僧侶の1人がこう言った。
「お言葉ですが住職、そんな賭けのような事で、後継である二蔵様を危険に晒す様な事はどうかと思います」
それに続くように
「私も同感でございます。」

「現にその書物が本当だとして、玄奘三蔵様が
牛魔王を討伐したとしたら、まだその残党達がいるかもしれません」

「現に町の外れでは魔族が出ると町の者たちの間で噂になっております」

檀家が話した。
「そうだ!実際に町の外へ出たきり行方不明になっているものいる」

堂内が再びざわつきだしたその瞬間
突如堂内に疾風が訪れた。

「何だ!?急に」
煙幕と同時にそこに人影がみえた。

「敵か?1人??」
「いや、2人だ」
俺は立ち上がり襲撃に備え構えをとった。

煙幕が徐々に薄れそこには、2人の男がいた。
1人は大男で、もう1人は子供?だ。

だからもう1人は大男に見えたのだ。


僧侶達も臨戦態勢に入った。

そう、俺たちは臨戦態勢に入る。

だが、その男を目の前にして正直動けなかった。
何故か?と言うとその男から発せられるオーラと言うのか?
2人はただ立っているだけのに、隙がない。
只者でない事は確かだ。

男は口を開いた。
「おい!おい!大層な歓迎だな」
「三蔵の没100年と言うから、手でも合わようと
来たのだが何か勘違いさせてしまったようだな」

すると親父が

「もしや、あなた様は悟空様では?」

その男は
「おう!我は斉天大聖孫悟空!」
「ではあんたは一蔵だな?」
「それにしても、随分年をとったな」

「ワシがあんたを始めて見たのはまだ幼い頃だ」

その男は斉天大聖孫悟空だ。
かつて三蔵と共に旅をしたとされる悟空だった。

俺たちが目を疑っていると悟空は
「だいたいの話は外で聞いていたぞ!」

俺は思った
(外でだと?いつから?)

悟空は言った
「いつから?そうだな??お前が卓に点棒を投げた時からかな」
「あれはもう少し牌を待って役を上げるべきだったな。先を急ぎすぎたかな?」

(こいつ、ココロの中を読むのか?)
俺は言った。
「おい、大猿!そんな前からいて、気配まで消して挨拶もなしかよ。失礼じゃないか?」

悟空は
「おぉ。それは失礼だったな」
「でも、わかっちゃいねぇな。サプライズってやつだよ」
「なぁ?悟底。サプライズだよな?」

(となりのガキは奴の息子か!?)

「・・・・」

悟空続けて
「それはそうと、お前たちもサプライズじゃないか?」
俺は
「なんだ?俺たちもサプライズとは?」
と聞いた。

すると悟空は、
「再びあの天竺へ向かうんだろ?それはサプライズじゃないか!楽しいそうだ。だが、言っておくがそんな甘い道のりじゃねぇぞ!なんの苦労もないそこの坊ちゃんが?
笑わせるなよ!」


俺は
「いきなり土足で人の家におしかけたあげく、
喧嘩でも売りにきたのか?何がサプライズだ?」

そして俺は言った。

「なら、賭けるか?天竺ってとこにいけるか?
いけないか?」

悟空は笑いながら
「ハッハッー賭けか?それは楽しそうだ」
「それもいいがその前にひとつ別の賭けをしないか?」

「別の賭け?賭けって何を?」
俺は聞いた。


悟空は言った。
「ここにいる我が息子の悟底
(ごてい)
          勝てるか勝てないか」

俺は
「このガキと俺が?いいだろ!やってやるよ」
「で、何を賭けるんだ?」

悟空は

「もしお前が勝ったら悟底を天竺へ同行させてやる。旅の道中きっと役に立つはずだ」

「負けたら?」
俺は聞いた。


悟空は

「負けたらか・・気にする事はない」
「その時はお前は死んでいる」
堂内は騒ついた。

「さぁどうする?三蔵法師の子孫よ」
「きっとあの世で見てるぜぇ」

クソ親父が俺と悟空の会話に入ろうとしたが
俺は言った


「その賭け、乗った」と

【次回:斉天大聖とその息子】

#週刊少年マガジン原作大賞

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