【短編小説】639億秒目の空/憂杞
639億秒目の空
俺が生まれるとすぐに、〈現世〉にある時計やカレンダーを「見る」よう本能に促された。真っ先にキャッチした視覚にデジタル置き時計という代物と記された数字が映る。
10月13日、午前7時59分33秒。西暦2024年。時計の読み方と書かれていない年数は、視覚の持ち主であるヒトの記憶と思考から把握できた。この複数の数字の並びが、63,900,000,000秒目である俺を現世のわかりやすい単位で示したものらしい。
日本国の普通の一軒家に住む高校生を自認するこのヒ