【週末投稿】つれづれ有用植物#174(ショウガ科ハナミョウガ属:ゲットウ)
熱帯から亜熱帯アジアに分布しており、日本では沖縄から九州南部にかけて広く分布している様です。
沖縄では「サンニン」、「サニン」などともよばれており、全ての部位(種、花、果実、葉、根茎)が利用され、飲料、食用、滋養、薬用として利用されています。
さらに特徴的なのは高い抗菌力と防腐作用があり、ゲットウの葉で包んで蒸して作る沖縄産の「ムーチー」と呼ばれる餅菓子が有名です。
5月~6月頃に偽茎の先端から穂状の花序を出します。花序はやや垂れ下がり、赤い縁取りの入った白い苞に包まれた蕾が並び、その先が開くとそこから突き出すように大きな白い花を咲かせます。
似ている植物でクマタケランと呼ばれる同じハナミョウガ属がありますが、こちらは花序が垂れずに上向きになります。こちらも同様に葉に香りがあり同様に利用されます。
7月中旬ごろになると花は散り去り、次第に果実が熟してきます。夏の頃はまだ青いままの果実ですが、9月から10月にかけて赤い実になります。
晩秋から初冬になると、赤い果実は枯れ始めて茶色に変色し、実も割れてきます。気温の低下とともに、葉も枯れます。
葉には甘い香りがあるため、香り付けを兼ねて饅頭の包装に使用されたり、肉や魚を包んで蒸し焼きにしたりするなど幅広く利用されています。
「かしわの葉」、「シャニンの葉」などと呼ばれています。
葉から取った油は、同様にアロマオイルや香料として使用されたり、虫よけの効果があるそうです。
ゲットウ 梅雨時期に茎の先端に枝垂れた総状花序を出し花を咲かせた開花風景~種子島の自然(6分弱)
akameeba 様
種子は乾燥させて、主に健胃、整腸の効果を持つ薬として使用されます。
乾燥させた葉を細かく切り、ティーバッグに入れて熱湯を注ぐだけででポリフェノールが多く含んだ月桃茶ができます。
月桃美人茶の淹れ方(2分)
園芸種として品種改良された斑入りのゲットウは栽培されているのですが、これだけ利用用途が多い月桃は、大規模な栽培はされておらず、野生のゲットウを大量に収穫して利用されているそうです。
■併せて読みたい (Let's Green Life)
メンソ~レ、サンニン! 古くから利用されるゲットウ