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【週末投稿】つれづれ有用植物#280(カキノキ科カキノキ属コクタン)

黒檀(コクタン)は、カキノキ科カキノキ属の熱帯性常緑高木の数種の総称で、黒い木という意味です。
日本で黒い木といえばクロガキが、古くから珍重されていました。
輸入される木材の中で、代表的な黒い木といえば、黒檀(コクタン)です。英語ではebony(エボニー)と言います。

樹木は20~30メートル程度まで成長しますが、発育がとても遅い木です。

インドが原産と言われ、南アジアからアフリカにかけて生息する樹木で、材木は産地によっても色合いなどが若干異なってきます(沖縄県に「ヤエヤマコクタン」がありますが分類上は同一とみなされています)。

黒檀は成長が遅く、直径が18cmになるのに200年かかるとも言われています。

【幼木】

春から夏にかけて花が咲きます。黒檀の種類により色や形が違いまが、一般的には小さな白い花を咲かせます。香りはほとんどしない様です。

果実は直径約 2cm くらいの楕円形で、熟すと黒くなります。
実の中には多数の種子が含まれており、鳥や動物により各地に運ばれます。
種子は食用にもなります。

【コクタンの果実】
【ヤエヤマ コクタン の果実】

比重がかなり高いため重く、堅く、また加工に難がある木材として認識されています。

木材の表面は滑らかで油分がある為、磨くと光沢が出ます。加工時に磨きを掛ける事によって、非常に美しく黒光りをして、長い間その黒い輝きを保ちます。

木材は古代から世界各国で家具や、弦楽器などに使用されてきました。

昔はクラリネットの原料としても使われていましたが、コクタンは吸水性があるため、楽器には向かず堅く似た性質で吸水性が少ない「グラナディア(アフリカン・ブラックウッド)」に代わりました。しかし黒檀は若干の倍音を含んだ上品な音で、グラナディラは倍音をほとんど含まず、小さな音から大きな音まではっきりと鳴る(音響特性がよい)のが特徴なのだとか。

【ピアノの 黒鍵として】
【数珠として】
【カスタネット として】
【バイオリンの 指板として】

銘木としても代表的なもので、正倉院の宝物にも黒檀が見られるほど古来より珍重され、半永久的な耐朽性を持ちます。

高級材で成長が遅い事から、乱伐による資源の枯渇が題となり保護の対象となる地域も増えており、維管束植物レッドデータブック (環境省)にも登録されているそうです。

日本で本物の黒檀は、ほとんど入手できない状況なのだそうで、国産材としては近縁種の心材も黒檀と総称されています。
色や模様などの特徴に名前が付けられていますが、明確なルールは無い様です。

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